続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年04月22日

「虎に翼」夫(飯田基祐)の登場に梅子(平岩紙)のスンッ顔がハマっていた<第16回>

「虎に翼」夫(飯田基祐)の登場に梅子(平岩紙)のスンッ顔がハマっていた<第16回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第16回を紐解いていく。

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THE平和

昭和10年(1935年)、寅子(伊藤沙莉)が晴れて明律大学法学部に入学しました。
いよいよ授業開始の前、家ではお祝いが行われています。
「やっと地獄の入口に立っただけ」と言うはる(石田ゆり子)に、寅子は「あれから地獄も変わりましたよ」と軽く返します。

法改正されて、女性も弁護士になれる時代が来たため、お気楽にお酒を飲む寅子。
姿勢を崩し、ぐいっと飲んで、ぷはーっと息を吐く。この飲み方がやけに堂に入っていて、良家のお嬢様ふうではありません。大衆居酒屋や屋台で一杯やってるおじさんのような印象ですが、こういうイメージもいつどのように生まれたのか定かではなく、単に先入観でしかないわけで。この偏見を覆す描写も、男女に対する意識の変化のように感じます。

と同時に、ざっくばらんな飲み方に親しみを感じる層も取りこぼさないという制作上の戦略も感じます。伊藤沙莉さんの起用が生きています。

花江(森田望智)は別居して子供ができて、安定しているようで、優三(仲野太賀)はまだ司法浪人。悲喜こもごもであります。

さて、大学はやはり地獄なのか、どんな男性からの厳しい目が待っているかと”臨戦態勢”で臨んだところ、「ご機嫌よう」と知的そうな見目麗しき男性・花岡悟(岩田剛典)が優雅に迎えてくれました。

【朝ドラ辞典2.0 ご機嫌よう(ごきげんよう)】

「花子とアン」(14年度前期)では語り(美輪明宏)が物語の終わりにあいさつで「ごきげんよう」と言っていた。上品な印象を受ける挨拶。
出会ったときも別れるときも使える。

花岡は、寅子たちを「開拓者」と呼び、「ほんとうに尊敬しているんだ」と讃えます。すっかり嬉しくなる寅子たち。ただひとり、よね(土居志央梨)だけは警戒を緩めません。視聴者的には先週の予告で花岡のやな面が出ていたので、よねに賛同致します。

法廷劇でヤジをとばした小林浩之(名村辰)や、バンカラな雰囲気の轟太一(戸塚純貴)などは女性たちに偏見がありそうな人物もいますが、小林はあの事件以来、おとなしくなってしまい(たぶん、法改正もされたから)、轟も、口は悪いけれど純朴そうでけっして悪意ある人物ではなさそうです。むしろ、よねと轟の対立はおもしろくなりそう。

課題に関して白熱した議論を交わし、お昼ご飯も男女一緒に食べるような”THE 平和”な日々。法の力って大きいのだなあと思わせる描写です。

梅子(平岩紙)ははりきっておにぎりを握ってきています。これはもうみんな、おかずしか持ってこないようになっている流れでありましょう。

ところが、ある授業の日、穂高(小林薫)の代わりに教えに来た大庭徹男(飯田基祐)は梅子の夫で……。

たちまち「スンッ」という顔になる梅子。「スンッ」という顔の意味が平岩紙さんの表情ですごくよくわかりました。平岩さんはあっさり顔で、決して表情がよく動かす印象ではありませんが、これまで寅子たちと接しているときの穏やかで優しげな表情と、夫が現れたときの緊張感漂う顔はまるで違っていました。白い顔がますます白くなったように見えるからすごい。

第16回で、印象的だったのは、直言(岡部たかし)が酔っ払って寅子と話す場面。はるは直言に読んでほしいときわざと手帳を開いて置いておくという夫婦の信頼関係を感じさせる話と、「不純でもなんでも父さん、トラが幸せならなんでもいいよ」とやけにセリフがシリアスで。

直言はエリート銀行員に見えないのですが、その分、親しみがわく好人物で、やっぱり世のエリートとはこういうものという偏見を覆すキャラなのです。

(文:木俣冬)

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