森を開墾?電気や道路もゼロから引いた『愛を積むひと』朝原監督ロングインタビュー・後編
奇跡のコミックリリーフ・柄本明の存在感
― 美しく、ゆったりとしたムードの物語の中で、紗英の義父・熊二を演じた柄本明さんの存在はセンセーショナルでした。笑いのシーンは柄本さんが9割がた持ってったようにも感じますが、特別なキャラクター造形や演技指導はあったのでしょうか?
朝原監督「ま〜、柄本さんを使うということは、ある程度“狙った”わけですよ。それに、決して悲しい話を作りたかったわけじゃないんでね。観客としても、喜怒哀楽で気持ちが揺さぶられた方が楽しいですから、柄本さんに『コミックリリーフ』的な役割は期待していました。」
― 柄本さんが登場した瞬間から、試写会場は笑いの渦でした。
朝原監督「先日、お客さんに混じって試写会の席から映画を観てみたんです。そしたら、みんなものすごく笑ってて!一緒に観た助監督から『朝原さん、釣りバカでもあんなに笑わせてなかったですよ』って言われちゃいました。」
― 柄本さんの“顔力”は、本当に凄まじかったです!
朝原監督「あんなにドッカン来るなんて予想外でした。でも、ウケて嬉しかったです。柄本さんというのは“両刃の剣”というか、使い方が非常に難しいんですけど、この映画ではうまい具合にハマったな〜と思っています。」
― 劇中で、熊二が酔っ払って篤史に絡むシーンがありますよね。あのやりとりだけで、熊二の人となりが手に取るように分かる、非常に素晴らしいシーンでした。
朝原監督「そりゃもう、主役2人を食っちゃうくらいのインパクトですからね!作品のバランス的にちょっと問題かな〜と思ったんですが、熊二は熊二でいい役ですから。ただ、あんなに皆さんが笑ってくださるとは考えてもみなかったので、つくづく映画って作ってみなければ解らないと思いましたね。」
― 実際、お客様に混じって試写会の席に座って観る作品は、監督として一通り仕上がった後に観るものと違いますか?
朝原監督「違いますね。やっぱり勉強になります。お客さんが泣いたり笑ったりしていなくても、映画に引き込まれているな〜とか、ここは退屈しているな〜とかって、体感で知ることが出来ますから。柄本さんのこともありますが、予想外のところでウケたりってものあるし、本当に良い経験でした。」
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