森を開墾?電気や道路もゼロから引いた『愛を積むひと』朝原監督ロングインタビュー・後編


人との出会いが、作品に深みと広がりを与えていく


― 町の方々が協力してくれたとのことですが、詳しくお聞かせ下さい。

朝原監督「ロケハンで土地を見つけてから、北海道は雪のシーズンに入りました。でも6月から撮影したいので、無理を言って2月から、町の大工さんに家を建ててもらったんです。それこそ吹雪の中、除雪しながらやっていただいてね。だから家が建った時にはすっかり満足しちゃって『もう映画撮んなくてもいいや!』ってなるくらい嬉しかったし、有り難かったです。
家も庭も、本当に地元の小さな会社の方が“心意気” で引き受けて下さって。ほとんどタダ働きで、それこそ他の仕事を放り出さんばかりの勢いで頑張ってくれたんですよ。」

― 美瑛に撮影隊がやって来たので、町の方も燃えたのでしょうか?

朝原監督「いや、そういうことをやるのが“面白い”んでしょう。皆さん、職人魂の持ち主ですから。まぁ、ちょっと行き過ぎたところもあるんですけどね(笑)。」

― と言うと?

朝原監督「普通はオープンセットって、撮影しやすいように作るものなんですけど、職人さん達がガチな家を建ててしまって。セットなのに、細部まできっちり作ってあるんです。いや、もちろんありがたいんですよ。でも、撮影するのに勝手が悪いし、気密性もバッチリなので、ヒーヒー言いながらカメラ回した思い出があります。」

― (一同爆笑)

朝原監督「彼らにしてみれば、いい映画を作って欲しくて、ついつい職人魂が出ちゃったわけです。そういう温かさが心に染みました。映画って、人との出会いや協力で出来ていくんだって改めて思いましたね。こちら側が決めた都合でコントロールするんじゃなくて、色んな出会いによって広がっていくのが面白いんです。」

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