森を開墾?電気や道路もゼロから引いた『愛を積むひと』朝原監督ロングインタビュー・後編
細部に渡る職人の仕事に「贅沢させてもらった」
― 緑の大地と真っ青な空の間に、ポツンと赤い屋根の家がある風景が、何とも可愛くてお気に入りなんです。日本ではないような、それでいて懐かしい不思議な感覚を覚えたのですが、あれは1からセットを作った事が影響しているのでしょうか?
朝原監督「メルヘンチックですよね。リアルにセットは作りましたが、作品自体はファンタジーに寄せて作ろうと最初から考えていました。美瑛の風景も含めてね」
― さすがに、建物の周りには何も障害物がなかったので、すごいロケ地を見つけたな〜と思っていましたが、開拓したと知って全て納得がいきました。
朝原監督「本当に、贅沢させてもらったと感謝しています。森を切り拓いて、土地を造成して、道路や家を作って・・・それとね、電気もガスも当然ながらなかったんですよ。だから撮影中のトイレとか、細かいことが大変でしたけどね」
― 桜が咲いたり、雪が積もったり、美瑛の絶景の中で展開される四季折々の風景が、一年を通した話なんだと解る仕掛けになっていましたね。自然の中にいるような気になってしまうパノラマ感は、1人でも多くの方に体感してほしいと思いました。
朝原監督「家などは、建ててもらった後に(年季の入った感じを出すために)美術部が汚しにかかるんです。でも庭は、開拓したばかりなので草花が生えないんですよ。だから全部植え込みました。『もうすぐハマナスの花が咲くのよ』なんて良子が言っていますが、裏方は本当に大変でね。温室で1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月…と差をつけて育てて、シーンごとに植え替えたんですよ」
― もう、職人魂が凄すぎてクラクラします(笑)。
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