森を開墾?電気や道路もゼロから引いた『愛を積むひと』朝原監督ロングインタビュー・後編


まさかの開墾?!苦労と職人魂が詰まった圧巻のセット


― 篤史と良子が移住した、赤い屋根の家についでですが、5ヘクタールくらいの土地に撮影用のセットを組まれたというお話を伺いましたが…。

朝原監督「ええ。その話は本当です。最初は既存の別荘を使って撮ろうと思って、色々探し回ったんですよ。でも、別荘というのは富裕層が所有している場合が多く、おおむねデカいんです。東京で工場を閉めて移住してくる主人公たちの住まいとしては、ちょっと悠々自適すぎるんじゃないかと…。」

― それで、(家を)建てようってなったんですか?

朝原監督「そうなんです。でも、ちょうど良い大きさの土地がなくて…。それで、お世話をしてくれた美瑛町役場の人に相談したところ、彼が『だったらもう、あそこに建てますか』って、森を指さすわけですよ。『町有地ですから、タダで貸しますよ』って言うんです。」

― ええ〜っ?!森を切り拓くってことですか?

朝原監督「ええ。『ブルドーザー持ってきますから、ちょっと行きますか?』みたいな感じになって…。いやもう、完全なる密林ですから戸惑いましたけど、結局行ったんですよ。ブルドーザーに乗ってガリガリってやりながら。」

― 行ってみたら何かありましたか?

朝原監督「何もあるわけないですよ、森ですから。でも役場の方が『あっちにはきっと山があって、こっちには空が見えて、そちら側からこう陽が射すから、絶対ここはいい場所だよ』って言うわけ。じゃあどうすんの?って聞いたら『伐採する』って。黒澤明監督かと思っちゃいましたよ(笑)。」

― さすが開拓民の子孫ですね〜。

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朝原監督「そんな感じで森を切り拓いてもらったんですけど、これがなかなか素晴らしい光景で…。迷わず、ここに家を建てようと決めました。そこから土地の造成をして、当然道がありせんから、森の外の公道に繋がる道路もひきました。もう全部、町の人がご厚意で手伝ってくれたんです。美瑛町の方々には本当にお世話になりました。」

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