『劇場版シティーハンター』押さえておきたい「16」のポイント!



7:ゲスト声優も違和感のない上手さ!



『プライベート・アイズ』では冴羽に仕事を依頼する美人モデル・進藤亜衣役に、女優の飯豊まりえを起用。亜衣のキャラクターデザインにもなんとなく飯豊の面影を感じるところだが、飯豊にとって本作が声優初挑戦だという。本職以外の芸能人が参加することに一部では批判の声も上がるご時世だが、驚くほどに飯豊の声優ぶりが作品になじんでいる! これがなかなかの衝撃で、飯豊だと知らずに観れば本職の声優が担当しているのだろうと錯覚するほどだ。今回限りの登場としては非常にもったいなく、できることならこのままレギュラーキャストに昇格してほしいくらいだ。

もうひとり、お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実が特別出演している点にも注目したい。亜衣に比べれば出演シーンは少ないが、インパクトとしてはなかなかのもの。徳井が声を担当するのは、ビジュアルからインパクト十分なファッションデザイナー・コニータだが、徳井の持ちネタ(持ちキャラ?)である“ヨギータ”を思い返してみると、なんとも可笑しな特別出演かもしれない。

8:キャラは変わらずも物語は現代的!



『シティーハンター』に限らず、たとえどんな人気作でも、時代の流れに抗うことはできない。本作のように〇十年後の最新作ともなれば作品内に登場するガジェットも変化するものであり、『プライベート・アイズ』でも気づけば冴羽たちがスマートフォンを扱っている。そもそも本作における敵対軍事力が武器とするのが遠隔操作できるドローンやAIなのだ。それこそTVアニメシリーズ時代には考えられなかった武器ではあるが、本作では新宿を舞台にしてドローンが冴羽に総攻撃を仕掛ける場面が終盤の大きな見せ場となっている。



(C)北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会



もうひとつシリーズファンを驚かせる仕掛けが、「伝言板」の変化だ。原作およびアニメシリーズでは、冴羽に仕事を依頼する際に使うのが新宿駅東口に設置されていた黒板タイプの伝言板だった。この伝言板に「XYZ」と書き込むことで冴羽・香にコンタクトが取れるという仕組みだ。現実の世界でも確かに待ち合わせや落とし物の伝達などに使用するため設置されていたが、最近ではすっかり目にする機会が減ってしまった(そもそも連載時には新宿駅の伝言板も撤去されていたそう)。今回は亜衣が「XYZ」とメッセージを記す場面が描かれているが、その描き方も時間の流れを感じさせる演出となっている。

9:シリーズ共通の小ネタを見逃すな!



『プライベート・アイズ』は亜衣が冴羽にボディーガードを依頼したことで、物語が動き始める。彼女の父は謎の事故死を遂げており、やがて彼女の存在が新宿を脅かす脅威となるわけだが、戦闘シーンにしろギャグシーンにしろ、しっかりと“シティーハンターイズム”が散りばめられているのでしっかりとそれぞれのシーンをくまなく見ていてほしい。

たとえば亜衣と合流後に彼女を香は住処であるマンション(アニメオリジナルの設定を踏襲しているなら青梅街道沿いにある「冴羽商事」が拠点)に連れて帰るが、亜衣のような美女をほったらかしにするような冴羽ではない。当然彼女の寝込みを襲いに行くというとんでもない行動に、廊下だろうがどこだろうが仕掛けられたトラップが発動する。冴羽を殺しかねないこのトラップの数々は香が仕込んだもので、元傭兵の海坊主直伝なのでオリジナルのころから殺傷能力は抜群に高い。そして香に捕まると布団で簀巻きにされてしまうのも定番のネタだ。

隠し武器もオリジナルが踏襲されていて、冴羽がパチンコ玉を親指で弾いて敵を倒す技も健在。冴子が太ももに仕込んだ投擲用の隠しナイフは、今回意外な形で使われている。さらに冴羽が冴子に見せる何十枚にも綴られた“一発”用チケットについても2人の定番のネタであり、何度も冴子に協力していながら冴羽はその貸しを返してもらえず、いつも寸前で冴子によっておじゃんにされてしまっていたのだ。なんだかんだで冴子が借りを返したことはなく、『プライベート・アイズ』にまで持ち越されていたというわけだ。

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