『劇場版シティーハンター』押さえておきたい「16」のポイント!
10:映画を観るなら新宿で?
『シティーハンター』はその舞台が新宿に設定されていて、実在する場所が描かれることもある。今回もオープニングはJR大ガード下から展開し、あっと驚く場所へとたどり着く。新宿のJR大ガードは他作品でも定番のロケーションと化しているが、今回は『シティーハンター』が新宿を舞台にしていると印象づけるだけでなく、映画好きが興奮すること間違いなしの演出となっている。もちろんオープニングだけでなく新宿駅の情景は頻繁に描かれ、東西に伸びる地下通路についても細部まで(それこそ手すりに至るまで)再現されているので注目してほしい。
さらに「花園神社」や「新宿ゴールデン街」も描かれており、特に新宿ゴールデン街で展開される中盤の冴羽対プロ戦闘集団による攻防は、ゴールデン街の街並みを再現したこまごまとした路地や雑多な建物群が戦闘状況をより面白くしている。ほかにも新宿西口側の高層ビル群などゆかりの風景が多く描かれているので、もしも可能なら新宿の映画館で鑑賞することをおススメしたい。あるいは新宿駅周辺を歩いてみるだけでも、『プライベート・アイズ』の“聖地巡礼”が楽しめるはずだ。
(C)北条司/NSP・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会
11:原作ファンも知らなかった設定
前述のように『プライベート・アイズ』には『キャッツ・アイ』シリーズの来生三姉妹が登場しているが、海坊主とそのパートナー美樹が営む喫茶店「キャッツアイ」は、そもそも三姉妹が“怪盗”の傍ら営んでいた喫茶店。今回はさらに共通の原作者である北条が「三姉妹が喫茶店『キャッツアイ』のオーナー」という設定をつけ加えており、それに伴って裏の顔はスイーパーであるはずの海坊主・美樹ともに三姉妹への対応が面白おかしく描かれているのが新しい。原作・アニメを通して『キャッツ・アイ』と『シティーハンター』の登場人物が交錯するのは初めてのことなので、原作ファンにとっても来生三姉妹と海坊主・美樹の共演シーンや冴羽たちとの共闘は貴重な瞬間なのだ。
12:ディテールがより細かくなった銃火器&アクションシーン
『シティーハンター』の持ち味のひとつに、少年時代に出会えば必ずやエアーガンを買いたくなるような銃火器の描写がある。冴羽の「コルト・パイソン357マグナム」がカスタマイズされてサイレンサーやスコープが取りつけられたり、リボルバータイプ以外にもワルサーからライフル、マシンガン、果てはランチャーまで数多くの武器が登場してきた。時代の変遷とともに銃火器もその性能やデザインが変化を遂げており、『プライベート・アイズ』でもアップデートされているので、ミリタリー好きならその変化に気づくのではないだろうか。
また冴羽の格闘術も今回はふんだんに盛り込まれており、徒手格闘術のモーションがこれまで以上に細かく描かれている。また筆者個人としては、冴羽が相手のハンドガンを一瞬の内に奪い取る“ディザーム”を披露したことにも驚いた。最近では『イコライザー』でデンゼル・ワシントンが笑いながら披露するなど割と目に留まるようになったディザームだが、まさか『シティーハンター』で、しかも冴羽が見せてくれたのは新鮮だった。こうした演出も、接近戦術が広く描かれるようになったことへの対応なのかもしれない。
13:BGMにも注目!
『プライベート・アイズ』を語る上で外すことはできないのが、アニメシリーズを彩ってきた数々の名曲たちだ。本編は『シティーハンター2』のOP曲であるPSY・Sの「Angel Night~天使のいる場所~」で幕を開け、観客を“あの頃”へと引き戻すことになる。正直なところ筆者はTM NETWORKの「Get Wild」がラストに流れるだけと考えていたので、本編スタート1秒でイントロを聴いた瞬間鳥肌が立ち、一気に胸が熱くなった。それこそ「ああ、シティーハンターが帰ってきたんだ」という紛れもない感動であり、この采配によって見事涙腺を刺激されてしまったのだ。
しかも本編には至るところにTVアニメシリーズの楽曲が当てはめられ、これでもかと感情を刺激してくる。ああそうですか、ならばとすぐさまサウンドトラックの購入を決意させられたほどだ。ちなみに劇伴は岩崎琢が担当しており、アクションサウンドから軽妙なメロディまで多彩な楽曲で映像をサポートしている。岩崎は『シティーハンター』の続編にあたる『エンジェル・ハート』のアニメ版でも劇伴を手掛けているので、音色を聴き比べてみるのも一興かもしれない。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。