『アイリッシュマン』、スコセッシ監督作品の5つの傾向と対策
ロックと映像の融合
その造詣の深さ
マーティン・スコセッシはキャリアの初期に『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』(70)『エルビス・オン・ツアー』(72/分割画面パートの監督)といった音楽ドキュメンタリー映画にも携わっていますが、そんな彼がさらなる音楽と映像の融合を目指したのがアメリカのロックバンド“ザ・バンド”の解散コンサートの模様を収めたドキュメンタリー映画『ラストワルツ』(78)でした。
ライヴのドキュメンタリーとはいえ、詳細な脚本を構築した上で綿密なリハーサルを行い、さらに本番ではヴィルモス・ジグモントをはじめとする映画の名キャメラマンを多数配して撮影を敢行。
ボブ・ディランなどゲスト・ミュージシャンも豪華な貴重な映像記録として今なお廃れることなく世界中のどこかで上映され続けている作品です。
以後もスコセッシはマイケル・ジャクソン《Bad》の16分に及ぶPVを演出したり、『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』(05)『ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』(08)『ジョージ・ハリソン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』(11)といった音楽ドキュメンタリー映画を監督し続けています。
(Netflixでもオリジナルドキュメンタリー『ローリングサンダー・レビュー:マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』を発表したばかり)
ちなみにザ・バンドのリーダーでもあったロビー・ロバートソンはスコセッシ監督作品の映画音楽を多数担当しており、『アイリッシュマン』のその中の1本です。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。