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2021年05月31日

「今ここにある危機とぼくの好感度について」全5話のあらすじ&ネタバレ感想:「なぜなら我々は…腐っているからです」三芳総長(松重豊)にしびれた!神崎(松坂桃李)が見つけた好感度より大事なものとは)

「今ここにある危機とぼくの好感度について」全5話のあらすじ&ネタバレ感想:「なぜなら我々は…腐っているからです」三芳総長(松重豊)にしびれた!神崎(松坂桃李)が見つけた好感度より大事なものとは)



松坂桃李主演のNHKの土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」が、4月24日(土)より放映スタート。

本作は、名門大学を舞台に広報マンが数々の不祥事に振り回される姿を描くブラックコメディー。脚本をてがけるのは連続テレビ小説「カーネーション」で知られる渡辺あや。次々に持ちあがる大学の不祥事で追い込まれていく主人公を松坂桃李が演じる。


もくじ

・第1話あらすじ&感想

・第2話あらすじ&感想

・第3話あらすじ&感想

・第4話あらすじ&感想

・第5話あらすじ&感想

・「今ここにある危機とぼくの好感度について」作品情報

第1話あらすじ&感想

第1話のあらすじ

イケメンアナウンサー・真(松坂桃李)は当たり障りのない発言だけを心掛けて来たが人気が低迷。恩師・三芳(松重豊)の誘いで大学の広報マンに転身する。

石田(渡辺いっけい)率いる広報課に着任早々、須田(國村隼)、鬼頭(岩松了)ら理事たちに呼び出された真は、スター教授・岸谷(辰巳琢郎)の論文不正を告発した非正規研究者・みのり(鈴木杏)に接触するよう命じられる。彼女は大学でほんの一時期付き合った元カノだった。


第1話の感想:『新聞記者』とは真逆のダメで薄っぺらい松坂桃李もまたよし。この作品は自分を映す鏡だと思って観ることにする

このドラマのタイトルとビジュアルの一部が出た時、真面目な主人公が振り回される系のお話かなと思っていた。全然違った。振り回されるという意味では外れていなかったけど、主人公の真(松坂桃李)は何も考えず自分の保身ばかり考えてる薄っぺらい人間だ。

ニュースキャスターをやってきた間、自分の発言が問題になって波風が立たないように、中身のあることは何も言ってこなかった。劇中で「私は何も言ってきませんでしたから」と笑顔で話す。本当は考えてることがあるがあえて言わないわけではなく、本当に何も考えていないのだ。
それだけではない。ビジュアルとステイタスはあったために女性には困らず、調子に乗ってとっかえひっかえしてきて思い出せない人もたくさんいる……というクズっぷりだ。付き合ってた女性と言われて大量の女性の顔写真のカメラロールからカタカタ探している演出には笑ってしまった。

さらに、真が恩師の引き合いで新たに勤めることになった大学のお偉いさん方も、欲を優先して都合の悪いことは隠したり捻じ曲げてよう、面倒なことは人に任せようという人たち。元カノでポスドクのみのり(鈴木杏)が名物教授のデータ不正を内部告発したため、元カレの真を使って何とかしようと考える人たちだ。

真に「みのりの任期が切れた後、新たに助教授のポストが空いた。そこに推薦してあげるからデータ不正への内部告発を取り下げてくれないか」と持ち掛けてくる。真も真で「その条件なら問題ないですね、僕も肩の荷が下りました」と何の疑問も持たずに引き受ける。みのりに「間違いなんて誰にでもあるし、あの教授は学校にとって大事な人だし、やっぱその人を守らなきゃね」などと言ってしまうし本気でそう思っているのだ。怖い。

これに対するみのりの返答が小気味良かった。
「そんなクソダサい条件私は飲みません」
よく言った~!!!

自分の立場で告発するからには下準備をかなりしたし覚悟してやった、「見下すのは勝手だけど見くびらないほうがいいよ」と言われて素直に「すみません」と謝る真。しかしこの言葉を聞いてハッとするでもなく、わが身を反省するでもなく「上の人たちからのミッションを達成できなかった、自分の落ち度にならないだろうか」ということしか考えていないのだ。な、何なんだこいつ……。

高い評価を得た彼の主演映画『新聞記者』で演じた役、危険を顧みず真実を暴こうとする姿とはある意味真逆の役だ。松坂桃李自身と真もまた印象が真逆に近い。個人的に彼のこの「薄っぺらい人間の薄っぺらさを出す」演技力は映画『彼女がその名を知らない鳥たち』での不倫男の役を観て以来すごいなと思っていて、真がどう変わっていくかと一緒に真のダメな感じを松坂桃李がどう演じるかにも注目していきたい。

真や大学のお偉方にあきれると一方で、わが身を振り返りたくもなった。もちろんここまでひどくはないと思いたいが、波風を立てないために本当は何かを思ったのに伝えず何も言わなかったこと、真実や正論よりも保身を優先してしまったこと、全くないとは言えない。また、自分の意見を持つべきだけどどう思うのが正解なのかわからないなと感じることも多い。あらためて自分がどうしていくかも一緒に考えようと思う。

また本作の脚本は映画『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』連続テレビ小説「カーネーション」などの渡辺あやさん。良くも悪くも人間らしさを浮き彫りにする言葉選びも楽しみだ。

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