あなたに役立つ映画・ドラマのプラスαがあるメディア「シネマズプラス」

©cinemas PLUS Committee. All Right Reserved.

「半径5メートル」第9話までのネタバレ感想:「自分の足元にある真実を、しっかり見つめることが大事」


第8話あらすじ&感想

第8話あらすじ

ある日、風未香(芳根京子)は宝子(永作博美)と立ち寄った喫茶店で、中学時代の塾の恩師・阿南(須藤理彩)がバイトをしているところに出くわす。阿南のおかげで勉強が好きになったと感謝してきた風未香だったが、実は阿南は就職氷河期世代で、当時もアルバイトの身だったと知る。

氷河期世代のおかれた現状が気になった風未香は、SNSで積極的に発信する氷河期世代のインフルエンサー、須川(渡辺真起子)を取材する。

第8話の感想

今回のテーマは「就職氷河期世代」。バブル崩壊後の約20年間のうちに就職活動をすることになった世代で、2021年現在、30代後半〜50代の方たちを指す。「100社受けても100社落ちる人もいた」くらいで、社会や時代のせいで人生に影響を受けた人も多かったという。

氷河期世代の現在を取材することになった風未香。偶然、喫茶店でアルバイトをしていた中学時代の塾講師・阿南と再会する。勉強についていけなかった当時の風未香に、勉強や読書の楽しさを教えてくれた恩師だ。近況報告をし合ううちに、阿南こそ就職氷河期世代であり、現在もアルバイトを掛け持ちしながらなんとか生計を立てていることを知る。

取材させてもらえないか、弁護士を紹介することもできるから、と阿南に掛け合う風未香。しかし、阿南の反応は芳しくない。風未香が理由を聞くと、「名刺かな」という阿南。

「何の肩書きも持たないまま中年になった私の前に、昔の教え子が現れた」
「立派な会社の名刺出されて、お茶代、払ってもらって」
「自分が惨めだったの」

大きなミスをしたおかげで一折から二折になった、と話す風未香に対し「私には、失敗するチャンスもなかった」と嘆く阿南。正社員になるためにたくさんの資格を取るも実らず、かつての教え子に手を差し伸べられた自分が惨めに感じられてしまう気持ち。

私にも、わかる気がする。自分は氷河期世代には当たらないけれど、「肩書きのない自分」や「魅力や強みのない、何者でもない自分」が、どうしようもなく虚しく思えて仕方がない瞬間があるのだ。

もうひとり、氷河期世代にあたる女性インフルエンサーへ取材打診が通った風未香。取材そのものは順調に進んだが、女性が最後に言った言葉が風未香の心に引っかかり、記事にする際に省略してしまう。そのことが、女性インフルエンサーの気に障ってしまった。

宝子に「どうして削ったの?」と聞かれる風未香。少々過激な言葉で、”読者の共感”を得られないと思ったから、と正直に告げる風未香に対し、宝子が返した言葉がまたもや気づきに満ちていた。

「ふーみんが見てきた半径5メートルと、彼女が見てきた半径5メートルは違う」

得られないと思ったのは、”読者の共感”ではなく”風未香自身の共感”では? と諭す宝子に、言葉がなくなる風未香。このシーン、同じライターや編集者として身につまされた……。ライターとして記事を書いていると、どうしても「私は読者代表だ!」と勘違いしてしまう節が、私にはある。それがいつの間にか「自分の感覚」によりすぎていないかどうか、いつだって点検していなくてはならない。

言葉を扱う者として、情報を発信する立場として、忘れてはならない視点を与えてくれるドラマ。ついに、次回が最終回だ。


→目次へ戻る

全ての画像を見る
NEXT|次ページ > 第9話あらすじ&感想

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録