『不思議惑星キン・ザ・ザ』&『クー!キン・ザ・ザ』:ロシアン脱力SF名作が何とアニメで蘇って、クー!
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『不思議惑星キン・ザ・ザ』&『クー!キン・ザ・ザ』:ロシアン脱力SF名作が何とアニメで蘇って、クー!
ヘンテコ脱力カルトSF
『不思議惑星キン・ザ・ザ』
ストーリーは、現代(1980年代)のモスクワに住む“おじさん”ことウラジーミル(スタニスラフ・リュブシン)が、異星人を名乗る裸足の男が手に持つ空間移動装置のスイッチをうっかり押してしまったことから、横にいた“バイオリン弾き”ことグルジア人学生ゲデバン(レヴァン・ガブリアゼ)ともども、キンザザ星雲の砂漠の惑星プリュクに飛ばされてしまいます。
この惑星に住む人々は地球人と同じ姿をしているものの(空気もあります)、テレパシーを使うことが出来ることから、通常での話し言葉は「クー」と「キュー」のみ。
見た目は野蛮っぽいのですが、意外に高度なハイテク技術を持ち合わせており、その象徴のひとつとして釣鐘型の飛行船が登場します。
主人公ふたりの会話を聞いているうちにロシア語も難なくしゃべれるようになるという、高度な知能も備えている!
しかもこの星、支配層チャトル人と被支配者層パッツ人に大別される差別社会でもありました。
こういった設定の数々は、当時のソ連体制を巧みに風刺&批判したものではありますが、当時のソ連ではこれらを表立って描くことはできなかったはず。
それなのにどうして国家の検閲を通過することが出来たのか?
それが映画全体に流れる脱力テイストにあるといえるでしょう。
(同時に、資本主義社会を揶揄した姿勢も効力を得られたと想像できます)
とにもかくにも挨拶代わりにポーズをとりながら「クー!」と叫ぶ、現地の人々から漂うヘンテコなユーモアが映画の全てを支配していると言っても過言ではないほどの脱力インパクト!?
またこの星ではなぜかマッチが、あたかもダイヤモンドのごとく価値あるものとして取引されているのです。
かくして「マッチなんて地球に帰れば山ほどあるから」と、何とかふたりは地球への帰還を現地の人々に促していくのですが、これがまあ、会う人会う人「クー!」と唱えないといけないは、身分の上下を示すため鼻に輪っかをつけないといけないは、音楽に関する感性が完全にズレまくってるは……。
そんな緊張感のカケラもない呑気な雰囲気に、見る側もだんだん脳内に「クー!」の響きがこびりついて離れなくなっていき、そのうち思考回路までもマヒしていく!?
(また音楽が、秀逸なまでにオトボケ調なのです)
登場人物もそれぞれ個性的で、またネタバレになるので結末のことなど書くわけにもいきませんが、それでも最後まで見終えると思わず感動してしまうこと必至。
(最近この映画を初めて見て、日本でも数年前に空前の大ヒットを飛ばした前前前世なアニメーション映画を思い出した人も多いとか!?)
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