マーベル作品(MCU)フェーズ3 後半一覧&全5作品の魅力を徹底解説!

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の魅力



MCU第23作となったスパイダーマン:ファー・フロム・ホームは、『アイアンマン』から続くシリーズの第1章・インフィニティ・サーガを締めくくるMCU版スパイダーマンの第2作。前作と異なり、アイアンマンの力を借りずに悪と立ち向かうことになった主人公の新たな活躍を描きます。

ストーリー


トム・ホランドが主人公・ピーター・パーカーを演じ、3度目の映画シリーズ化となった新たな「スパイダーマン」の続編。ピーターが夏休みにヨーロッパ旅行に出掛けると、そこに自然の力を操るクリーチャーたちが現れる。街が混乱する中、ピーターは元S.H.I.E.L.D.長官のニック(サミュエル・L・ジャクソン)によって引き合わされた、異次元から来たヒーロー、ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)と共に、敵に立ち向かう。



アイアンマンの一番弟子・スパイダーマン大活躍!


本作では恩師・アイアンマンの力を借りず、自立して戦う運命を辿ることになった主人公・スパイダーマンの新たな活躍が描かれます。

前作では自身のミスをアイアンマンに救ってもらっていたほか、装着するハイテクスーツなども彼ありきだったスパイダーマン。
そのため、どうしても彼の頼りなさが際立ってしまう一作になっていましたが、本作では、その部分が大きく改善されています。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経て、ひとまわりもふたまわりも成長したスパイダーマンこと、ピーター・パーカー。
未熟ながらも奮闘する彼の姿には好感が持てる一作です。

先輩ヒーロー・ミステリオ登場


本作では、新キャラクターとして、異次元世界からやって来た謎に包まれたヒーロー・ミステリオが登場。
アイアンマンに代わるスパイダーマンのメンター(指導者)的立ち位置で、主人公をサポートする役割を担っています。

彼を演じた名俳優・ジェイク・ギレンホールさんは、アイアンマンを演じたロバート・ダウニー・Jrさんにそっくりな場面もあり、まさしく、本作にぴったりと言える人選。

異次元世界の謎や彼が知る大きな秘密が、劇中において、どのような意味合いを持っていくのかにも注目です。

ヒーローvsフェイクニュース


また、本作では、誰でも楽しめる痛快アクション映画でありながら、物語の根底に「フェイクニュース」の隠喩ともとれる描写が多数盛り込まれているのも印象的です。

「ウソ」が得意な悪役に苦戦し、最大の危機を迎えるスパイダーマンが本作で選び取った答え。
それは、まさしく、「フェイクニュース」が蔓延る現代社会で、私たちが最も大切にすべきことといえるのではないでしょうか。

全体を通して痛快娯楽アクション大作として完成された本作だけに、意外なラストシーンを経て、少しずつ浮かび上がる社会的メッセージには驚かされる一作です。

正統なスパイダーマン映画の最新作


MCU版スパイダーマンの前作『スパイダーマン:ホームカミング』では、過去に製作されてきたシリーズ作品とは異なり、自立していない幼いヒーローとしての側面が強調されていた主人公。

それは『アベンジャーズ』シリーズにおける「高校生ヒーロー」という独特の役回りから生まれた設定ともいえますが、単独作品として、どうしても不完全燃焼な気持ちを抱えていたファンも多いはず。

本作では、そんな彼のポジションが大きく変化したため、正統な『スパイダーマン』映画として楽しめる作品になっています。

ヒーローとしての活動に苦悩し、私生活とのバランスに悩む等身大の主人公。
そんな彼の姿は過去に作られてきたスパイダーマンシリーズにも通ずる面白さがあり、シリーズ1作目以上に人間ドラマの側面が強化されています。

マルチバース(並行世界)を示唆する物語


また、本作では、異次元からやって来たヒーロー・ミステリオを登場させたことで、別次元の世界線を巻き込むマルチバース(並行世界)設定へと、シリーズが広がる可能性を示唆しました。

前作『アベンジャーズ/エンドゲーム』で存在が明かされ、今後のフェーズ4では、その概念を活かしたストーリーが期待されるMCU。

この設定が利用できれば、過去に映画化されたMCU以外のマーベル作品(『スパイダーマン』旧三部作、『X-MEN』シリーズなど)に登場したキャラクターたちもMCU作品に合流させることが可能。ちなみに、本作に続くシリーズ3作目では、『スパイダーマン』旧三部作に登場した意外な悪役の参戦も報道されています。


インフィニティ・サーガの締めくくりでありながら、MCU作品の新たな可能性を提示したスパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

今後のシリーズ展開を左右する布石と言える描写も多く、フェーズ4以降のMCUがどうなっていくのか、自然と期待が高まってしまう一作でした。

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(文:大矢哲紀)

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