<緊急取調室>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
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チケットは30秒で完売…世間が注目するボクシングのバンタム級タイトルマッチが、目前に迫ってきた。「大卒のプリンス」ともてはやされる現チャンピオン・加賀見光一郎(神尾楓珠)に挑戦するのは、元ボクサー・山内潔(阿南健治)に才能を見いだされ、デビュー戦以来4戦連続のKO勝ちを収めた元不良少年・石倉衆ニ(岡山天音)。正反対の2人の試合には、熱い視線が注がれていた。
ところが、対戦1週間前の会見が開かれた直後、事件が起こる。会見に出席していた週刊誌記者・梅本マサル(松本実)が、川に転落して溺死。亡くなる前に顔面を殴られていたことが判ったばかりか、石倉と一緒に事件現場付近を歩いている姿をとらえた防犯カメラ映像も見つかったのだ!
これを受け、警視庁捜査一課は石倉を任意同行することに。真壁有希子(天海祐希)ら「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」のメンバーには、石倉を取り調べて自供させるよう、刑事部長・北斗偉(池田成志)から命令が下る。だが、そもそも石倉を被疑者として引っ張るには、あまりにも決め手が少ない。キントリの面々は取り調べに難色を示すが、北斗は補導歴3回・暴力沙汰で少年院にも入っていた石倉の過去を持ち出し、犯人だと決めてかかり…。
偏見を持たずフェアな取り調べを――そう肝に銘じ、石倉と対峙する有希子。ところが、石倉は態度が最悪な上に、思いの外したたかに追及をかわし、容疑についても「素人を殴るわけねぇだろ」と一蹴。石倉の言動、そして右手に巻かれた包帯を直接確認した有希子は、彼が犯人との心証を強め…!
まもなく、梅本の銀行口座に不審な振り込みが2件あったことが判明。さらに、会見の映像を見直した有希子は、いつも戦闘態勢の石倉が加賀見に何か囁かれるや、一瞬だけ見せた不安そうな表情が引っかかる――。
第3話のレビュー
ハイジャック事件はいったんさておき、物語は別の事件を追う展開になっていく。岡山天音演じるプロボクサー・石倉衆二が、梅本という記者を撲殺した容疑で任意の事情聴取を受けることになった。ちょうど大事な試合前の、緊迫感ある時期。石倉は少々素行に難があるものの、一貫して容疑を否認していた。
それもそのはず、石倉は亡くなる直前の梅本と接触はしていたが、決して殴りはしていなかった。外でカッとなっても不用意に一般人を殴ったりしないよう、テーピングを外すように心がけていたという。態度や言葉は粗野だが、ジムの会長や応援してくれるファンに対し、最低限の礼儀は守っていたのだ。
「こんな雑魚いのを殴ったらボクサー人生終わりだと思った」
石倉を演じる岡山天音、見るたびに演技が上手くなっていて、思わず見入ってしまう。殺人の容疑をかけられて苛立ちまじりに戸惑う様子、必死に身の潔白を主張し戦うボクサーらしい闘志、大切な人に裏切られたのかもしれないと案じ力をなくす目。飄々とした若者の役が多いイメージだったが、幅広い役を演じることで確実に力をつけているように見える。
ボクサー・石倉衆二を陥れたのは、試合で戦う予定だった加賀見(演:神尾楓珠)だった。スターとしてのしあがろうとしている石倉の存在が怖くなり、根も葉もない八百長の噂を流して社会的に消そうとしていた。なんともスポーツマンシップに欠ける行いだが、華々しい場所から転落していく様を実に悲劇的に演じている神尾。若手俳優たちの活躍がいたるところで光っている。
人を貶めることで自分がのしあがろうとしたり、裏切りに遭い人間不信になりかけたり、「人」の間で交わされる感情のやりとりや、それにまつわる有象無象を見ているとーーいかに自分を信じるのが難しいかが痛いほどわかる。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
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