<緊急取調室>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
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真壁有希子(天海祐希)ら「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」に、前代未聞の取り調べ要請が入った。なんと被疑者は人間ではなく…“ロボット”だというのだ!
その事件は都内の民家で起きた。この家で一人暮らしをする老人・村松和代(夏樹陽子)が頭蓋骨を骨折して息絶えているのを、様子をうかがいに来た隣家の主婦・土居マサエ(杉田かおる)が発見。そばにあった見守りカメラ搭載のAIコミュニケーションロボット「ハイリー」から、和代の頭部皮膚片が検出されたのだ! もちろん本来は、高い場所に設置していたハイリーが偶然落下した…と考えるのが普通だが、和代の傷は2カ所。そこで「ハイリーが故意に殺した」という説が出てきたのだった。
あまりにも荒唐無稽な説に呆れながらも、有希子たちは捜査を開始。長野に住んでいる和代の息子・村松彰(小池徹平)に疑いの目を向ける。というのも、彰はマサエに様子を見に行くよう頼んだ張本人で、ハイリーを販売するIT企業の経営者。リモートでハイリーを操り、アリバイを証明するためにマサエを利用した…という可能性も大いに考えられたからだ。しかし、彰は和代のために一軒家を購入し、生活費もすべて援助していた“孝行息子”。仮に彼がリモート殺人を敢行したのだとすれば、動機は一体何だったのか…。そもそも、遠隔操作でハイリーを自由自在に動かすことは可能なのか…!?
多くの謎が残る中、有希子らは史上初・ロボットの取り調べを開始。だが、起動時のパスワードすら分からず、取り調べは早々に頓挫する! そこで、有希子らはリモートで、長野にいる彰と対面。ところが、同席した秘書・飯塚万里(黒川智花)により、事件当日のアリバイはすぐ立証されてしまう。しかも、彰は至って冷静。自社の信頼を守ることを優先し、ハイリー本体のロック解除方法も教えようとせず…!?
第5話のレビュー
今回のキントリたちの試練は、なんと「ロボットの口を割らせること」。一人暮らしの主婦・和代が自宅内で倒れ亡くなった。この事件の容疑者として浮上したのが、見守りロボットのハイリーだったのだ。ハイリーは、和代の息子である彰が経営する会社の商品。リアルタイムで自宅内の様子を確認でき、過去24時間以内の動画が自動撮影される優れもの。離れて暮らすようになってから、彰は定期的にこのハイリーを通して母親の様子を見守っていたという。
突如降ってきた訃報に、戸惑いを隠せない彰。この時点で”怪しい”と目をつけられていたのは、和代の自宅隣に住む主婦・マサエと、彰の秘書であり恋人の万里だ。マサエは彰から「何かあった時のために」と和代宅の合鍵を預かっており、ある日空き巣に入ったところを和代に見つかっていた。万里も万里で、彰との結婚を和代に反対されていた恨みがある。
ハイリーのロックを解除すべくパスワードの解明を急ぎながら、容疑者たちの取調べを進めるキントリチーム。しかし、蓋を開けてみたら真犯人は……和代の息子である彰だった。
彰は幼少期に、和代の再婚相手を手にかけていた。母親を取られた恨みから「ちょっと怪我をさせてやろう」くらいの動機だったが、現場を和代に見られてしまっていたのが誤算だったと言えるだろう。「母は自分の弱みを握っている」「弱みをダシに金を揺すろうとしている」と被害妄想を募らせ、恋人である万里をけしかけて実の母親をも手にかけたのだ。
自分で直接に手を染めようとしないあたりが、実にサイコパス味が強い。万里も万里で、感情が高ぶるとヒステリックになり周りが見えなくなってしまう。何事もなければ、サイコパス同士仲良く幸せな夫婦になれたかもしれない……と考えるのは、少し穿った見方だろうか。
いくら離れて暮らしていたとはいえ、実の母親を信じられず被害妄想を募らせてしまった息子。彼にとっての幸せはどこにあったのか、どこが分かれ目だったのかと考え出すと、途方に暮れてしまう。キントリチームと出会い、自身のやったことを詳らかにされたことが、結果的に彼のためになったと信じるしかないのかもしれない。
それにしても、万里役を演じた黒川智花……凄かった。ヒステリーでサイコパスな役をやらせたら右に出る者はいないかもしれない。ドラマ「着飾る恋には理由があって」に出演していたときも、カウンセラーに入れ込みすぎる少々困った女性の役を見事に演じ切っていた。彼女の演技は、一度見たら忘れられない。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
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