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2021年08月30日

<ボクの殺意が恋をした>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<ボクの殺意が恋をした>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】


第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー


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柊(中川大志)は葵(新木優子)に、丈一郎(藤木直人)を殺したのか、聞こうとする。葵は何も言わず、柊を追い返す。

柊が帰宅すると、見知らぬ女性・莉奈(松本穂香)が家の前にいた。彼女は、柊に封筒を渡す。その中には幼い柊と莉奈が遊んでいる写真と、“男虎柊と藤堂莉奈を結婚させることをここに誓う”と書かれた紙が入っていた。莉奈は柊の許嫁だと言うのだ。どういうことなのか理解できず、混乱する柊。莉奈の話を聞くうちに柊の記憶がよみがえってくる。

莉奈は、藤堂財閥の令嬢だった。かつて丈一郎は清掃業者として藤堂家に出入りしていた。その時、丈一郎について行った柊は、莉奈と出会い仲良くなった。丈一郎と莉奈の父は、柊と莉奈を結婚させるという約束をしていたのだ。

その後、莉奈の父は一族の争いに負けて財産を失い、去年亡くなった。莉奈の父は、自分が死んだら柊を頼るようにと娘に言い残していた。莉奈は父の遺産も底をつき、柊を頼ってきたのだった。

一方、葵は、しばらく休業すると宣言。葵はマンションを出て、千景(田中みな実)が用意したホテルに身を隠す。千景は葵に、柊と会わないようにと釘を刺す。

柊は詩織(水野美紀)から、本当の鳴宮美月を見つけるまでは葵を生かしておくと知らされる。詩織は柊に、丈一郎を殺した葵をどうするのか、考えるようにと告げる。葵が丈一郎を殺したという信じたくない事実に直面した柊は、苦しい決断を迫られる――!

第6話のレビュー



鳴宮美月から、柊(中川大志)が自分の命を狙っている殺し屋だと聞かされた葵(新木優子)は、訪ねてきた柊を拒絶する。「お願いだから帰って」と、柊の顔を見ることもできず言う葵の表情も、唐突な態度の変化に困惑する柊の表情も、切なくて痛々しい。



そんな傷心の柊が自宅へ戻ると、何やら不審な女の姿が…。
彼女の名前は藤堂莉奈(松本穂香)。なんと、自称・柊の許嫁だった。人の家にズケズケやって来てこけしを並べ出す莉奈…うん、控えめに言って、結構苦手だ。柊が助けを求めて呼んだのだろう詩織(水野美紀)も、丈一郎(藤木直人)が許嫁と認めると署名をしてしまっている手前、一晩泊めてあげたら、と言い出す。何だってこんな時にこんなに厄介なことが起こるのだろう。柊への同情を禁じ得ない。

前回、八乙女流星(鈴木伸之)が降板してしまったことで、鳴宮美月原作漫画の映画化は白紙に。葵はこの機に乗じて漫画家を休業すると申し出る。担当編集の風岡(中尾明慶)は、「可愛いアイツ(柊)の面倒を見るためにも、先生が一生懸命働かないと」と食い下がるが、葵はすでに柊をクビにしたと言う。

一方、詩織から呼び出された柊は、「まさかまだ、葉山葵を信じているの?」と問い質される。葵が丈一郎を殺す理由が分からないと困惑する柊。そこで詩織から聞かされたのは、お母さんの手術代を肩代わりする条件が、「鳴宮美月の振りをして丈ちゃんを殺害する」ことまでだったという新事実だ。考えたくはないが、これが本当ならば、葵が丈一郎を殺したことは疑う余地もないだろう。かつて彼女は「お母さんを守るためだったら、何だってする」と言っていたのだから。



ふらふらと自宅へ戻ると、莉奈が完璧な手料理で出迎えてくれ(ありがた迷惑ってまさにこのこと)、それを風岡に見られて勘違いされる。どこまでも踏んだり蹴ったりだし、お人好し過ぎて強く否定も弁解もできない柊がもはやいたたまれない。極めつけは、柊の部屋へ入り込んでいた莉奈を諭す、「ダメだよ、勝手に入ったら」という声色だ。普通、勝手に自分の部屋に入り込まれたらもっと声を荒げてもいいはずなのに、あまりにも優しい言い方に眩暈すらした。
だけど今は、状況が状況だ。莉奈にお金を渡し、出て行ってほしいと頼む。柊だって、やればできる…! それを案外すんなり受け入れた莉奈は、唐突に丈一郎との思い出話を始める。それは、丈一郎がいかに柊を大切に想っていたかが分かるエピソードだった。丈一郎が柊に注いでいた愛情の深さが、第三者の言葉で立体的になる。そうか、だからきっと柊は、時に頼りなさすら感じるくらい、こんなにも優しく育ったのだろう。なんだかすっと腑に落ちた。

何とかして葵に事の真相を確かめたい柊は、風岡を利用して接触を試みる。
そして、「丈さんを殺したのは、葵ちゃんじゃないよね?」とついに面と向かって質問をぶつけることができた。しかし葵は、「鳴宮美月に会わせる」と言ったきり、いなくなってしまった。やっぱり葵は鳴宮美月と会ったことがあるみたいだ。

1人で街を歩いていた葵は、SOSのメンバーと思われる人物に誘拐されてしまう。葵に銃を向け、鳴宮美月を呼び出すように脅迫する詩織。葵がもし丈一郎を殺していたとても、これじゃどっちが犯罪者なのかよく分からない。
そして柊のもとに詩織から、葵の告白動画が届く。「私があなたの大切な人、男虎丈一郎を殺した」。茫然自失でスマートフォンを取り落とし、頭を抱える柊。次第に呼吸も荒くなる。こんな風に取り乱している柊を見たのは初めてだ。虚ろな表情だったが、柊も覚悟を決めたらしい。丈一郎が使っていた銃を手に、葵のもとへ向かう。

しかし、まだ柊は葵のことを信じたいのだろう。「本当に葵ちゃんが殺したの?」「何で?」と葵に縋りつく柊。
次の瞬間、「黙ってないでなんか答えてくれよ」と拳銃を取り出す。
柊が引き金を引こうとした時、なんと、デス・プリンス降臨! 器用に柊の銃だけを撃って、殺害を阻止した。もうこれっきり会えないと思っていたデス・プリンス。突然の登場に、待ってました! と拍手をしてしまったのは筆者だけではないだろう。何でここにいるって分かったの? とか、今の状況をどこまで理解してるの? とか、そんな疑問はこの際どうでもいい。とにかく、降臨してくれたことがうれしくてたまらなかった。
まだ葵が葵という名前であることを知らないまま、恋心だけをよりどころにやって来たデス・プリンスは、柊との乱闘の末、葵を逃がすことに成功する。葵の手を引き爽やかな笑顔を浮かべるデス・プリンスと、彼を疑い、全く喜ぶ様子のない葵の表情の対比が最高だった。



さて、すっかりデス・プリンスに持っていかれかけたが、葵と対峙するシーンの柊、もとい中川大志は圧巻だった。
大事な人を、大事な人に殺されたかもしれない。そんな愛と憎の入り混じった涙で顔をぐちゃぐちゃにして、殺意に任せてなんとか引き金に手をかける。混乱、葛藤、苦悩…それらが苦しいほどこちらにも伝わってくる、まさに迫真の演技だった。

コミカルから始まった本作だったが、回を追うごとにシリアスの濃度が高まる。
今回から登場した莉奈にしろ、写真のみで登場した葵の兄(小池徹平)にしろ、おそらく今後何らかのカギを握っていると見てまず間違いないはず。正直、葵の始末を柊にゆだねた詩織の真意も測りかねるし、丈一郎の死だって筆者はまだ疑っている。
物語も後半。どんなラストも、覚悟しておこうと思う。

※この記事は「ボクの殺意が恋をした」の各話を1つにまとめたものです。

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