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2021年09月18日

「鬼滅の刃」鼓屋敷編<ざっくり解説/じっくり感想/名ゼリフまとめ>

「鬼滅の刃」鼓屋敷編<ざっくり解説/じっくり感想/名ゼリフまとめ>


「鼓屋敷編」がっつり感想



手毬鬼と矢印鬼との戦いでの傷が癒える間もなく、次の任務へ向かう炭治郎。

道中、嫌がる女の子にしつこく求婚する鬼殺隊同期・善逸に出会い、全力で止める。自分は弱いからこの任務で死ぬと言い出し、涙や鼻水を流して任務を恐れ、炭治郎に俺を守ってくれという善逸。

「大丈夫かこいつ、こんなんで何で最終戦別生き残れたんだろう」と困惑した。あまりの情けなさに炭治郎も困惑し「何でそんなに恥をさらすんだ」と真剣に問い、最終的にはゴミか、かわいそうなものを見るような目になるシーンがあった。基本誰にでも優しい炭治郎の新たな一面が垣間見えた瞬間でもあった。何かと我慢することが多かった炭治郎には理解できなかったのだろう。

目的地付近で、ひどくおびえた幼い兄妹に遭遇する。屋敷の中にいちばん上の兄が連れていかれたという。ほどなくして屋敷からは、彼らの兄とは別の少年が落ちてきて死亡する。



屋敷の中に入ると、入り口が閉ざされる。禰豆子の入った箱とともに外で待っているように伝えた兄弟も、箱からカリカリ音がするのを怖がってついてきたしまった。鼓の音をきっかけに、今いる部屋の周りにあるものや上下左右の向きなどが変わるようだ。炭治郎と善逸は兄妹それぞれ一人ずつと2-2で離れ離れになってしまう。女の子を守りながら戦おうとする炭治郎と、小さい男の子の前でも泣きわめき、何なら守ってもらおうとする善逸。こいつ本当に大丈夫か……?



移動していくと複数の鬼や、鬼に喰われて亡くなった人の遺体があった。身体に鼓をつけた鬼が鼓を叩くと部屋の回転や爪で引き裂くような攻撃が起こるようだった。この鬼は元は無惨のもとで十二鬼月として認められていたが、人肉を少ししか食べられなくなり、その座をはく奪されてしまった。

このため、一人食べるだけで50~100人分の栄養があると言われる「稀血(まれち)」の子どもを狙って食べていた。さきほどの兄妹の上の兄・清は、稀血だったために連れ去られたのだった。



炭治郎は苦戦していた。気を抜いたら相手の攻撃で輪切りになってしまう。頭を使わねばと考えるが、考える余裕がない。そして治っていない骨折がすごく痛い。ここで名言(迷言)として名高く、たびたび引用したり形を変えてSNSに投稿されたりするあのセリフが登場する。

「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」

いや、現状のつらさと長男か次男かってそんなに関係なくない……? と思いつつ、それだけ長男だからと我慢することが多かったのだろうなと思った。炭治郎、ひたすらいい人だと思っていたが、ちょっと様子がおかしくておもしろい。

「君! 名前は?」と聞かれて「響凱(きょうがい)」と名乗っちゃう鼓の鬼。素直……。

「響凱! 清……稀血(まれち)は渡さない…! 俺は折れない、諦めない!」

ここで流れてくるのが響凱の過去らしい光景。人間の頃の記憶だろうか。
書き物をしているらしき青年が、編集者らしき男に「あきらめなよ」と言われている。かなり嫌な言い方だ。



より攻撃を激化する響凱。激しい攻撃で、押し入れにしまわれていたたくさんの原稿用紙が飛び散る。

「つまらないんだよ、君の書き物は。すべてにおいて、塵のようだ。美しさも、儚さも、凄みもない」
「もう書くのはよしたらどうだい? 紙と万年筆の無駄遣いだよ」
「最近は昼間全く外に出て来ないし、そんなふうだから君はつまらないのさ」
「趣味の鼓でも叩いていたらいいんだ、それもまあ人に教えるほどの腕前ではないが」

ひどい言葉を並べ、床にばら撒いた原稿をわざと踏みつけた編集者。
響凱は、この男を殺した。

人間の頃と書いたが、このときはすでに鬼になっていたようだ。鬼となってからも物書きを続けていたのだろうか。

「紙を踏まないように避けたおかげで、怪我が痛まない体の動かし方、呼吸の仕方がわかった」という炭治郎。

「響凱! 君の血鬼術はすごかった!」と言い、彼の頸を落とす。

相手の技を純粋にほめる主人公、新しい!

消えゆく中、

「ゴミなどではない、少なくともあの小僧にとっては踏みつけにするようなものではなかったのだ」

うれし涙を流しながら「小生の血鬼術も、鼓も、認められた……」と消えていく響凱。



人間であった頃は書いたものをひどく罵倒され、鬼となっても十二鬼月から外され、ずっと認めてもらえなかった響凱。敵でありながら自分の原稿を踏まないように大切に扱ってくれ、血鬼術をすごかったと言ってくれた炭治郎の言動は、心底うれしかったに違いない。もう認められずに苦しむこともない。鬼は敵で倒されたわけだが、炭治郎に倒されたことで救われたようにも感じた。

個人的に、この作品ではじめて鬼に感情移入したエピソードだった。努力しても認められず苦しいという経験がある人は少なくないだろうし、刺さる人も多かったのではないでそうか。

鬼が元人間で、死ぬ瞬間の回想により100%憎めないという状況がたびたび発生するのは、「鬼滅の刃」の魅力のひとつだなと思う。あと、アニメ「鬼滅の刃」に出てくるぽろぽろこぼれる涙の表現、胸にくるものがある。

炭治郎・善逸・伊之助と同期が3人そろい、療養のために訪れた藤の花の家でのやり取りが微笑ましい。仲間を得たことでの戦い方や心境の変化にも注目したい。


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(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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