(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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アニメ

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2021年09月25日

『劇場版 鬼滅の刃』2.5次元舞台好きが観た<赤裸々な>感想

『劇場版 鬼滅の刃』2.5次元舞台好きが観た<赤裸々な>感想


煉獄さんは悲しきヒーローである



猗窩座が登場して、いよいよラスボスのおでましか。登場シーンと戦闘中のBGMがめちゃめちゃかっこいい。

「キメステ」も基本、和テイストのBGMだけれど、主にギャグシーンなどで時折使われる洋テイストの曲がかっこいいのだ(「其の弐」では、伊之助が己の強さを主張せんと歌うロックと、機能回復訓練の全容を知った善逸が怒り叫ぶメタル系の楽曲がとてもよかった)。作品のメリハリとして効いていると思っていたけど、アニメの雰囲気を継承しているところもあるのかもしれないなと勝手に思った。



猗窩座戦は、意外と伊之助に状況判断能力があるなぁとか、初対面で杏寿郎って呼ぶの馴れ馴れしいな!とか思っていたけど、「ちょっと待って、この後こいつ倒さなきゃいけないんだよね!?」と、冷静(?)になったところで、煉獄さん!!出ました名台詞!!

「俺は俺の責務を全うする!」

CMでも使われたほど有名なこのセリフの裏に、床に伏す母からの言葉があったことを初めて知った。強きものが弱きものを助けるべきという真っ当な教えではあるが、親の言葉は子にとって呪いでもある。それも、存命しない相手からの言葉であればなおさらだろう。

もしかしたら原作で何か言及されているのかもしれないけれど、炭治郎やしのぶさんのように個人的な事情や鬼への復讐心があるわけでもなく、純粋に人々を守るために見返りを求めず柱として戦う煉獄さんの存在はヒーローそのものだと思った。ただし、生まれながらにしてのヒーローではなかったのではないだろうか。



その心の中にはいつだって母の言葉があったはず。死に際に母親へ問いかける姿が、それを物語っている。

映画をみる限りでは、煉獄さん自身には母親の言葉に囚われている自覚はおそらくなかったと思うし、だから柱として真っ直ぐに戦えていたのだと思うけれど、本人に自覚がないからこそ、視聴者側のこちらとしては余計にそれが悲しく感じられた。別の生き方をしたとして、誰が彼を責められようか。

ああいう時代だったからこそ、その言葉が彼の道標になっていたのかもしれないけれど、鬼殺隊に入っていなければ若くして命を落とすこともなかっただろう。弟には自由に生きてほしいと願った言葉から、自分が何か(それは長子ということに尽きるのかもしれないけど)に縛られている感覚はあったんじゃないかなぁと思った。

“煉獄さんの女”が量産されたのも納得の2時間



「無限列車編の前に、煉獄さんの出番がたくさんあったのでは?」という当初の想像に反して、煉獄さんの魅力は2時間弱の劇場版に詰め込まれていた。

炭治郎たちにとっても未知の相手である煉獄さんのストーリーに終始しているので、映画で初めて「鬼滅の刃」に触れる人でも話に置いていかれることなく、スッと世界に入っていくことができる。本作で“煉獄さんの女”が量産されたのも納得である。そもそも2時間あると思えないほど、あっという間だった。このスピード感も、鬼滅人気の一端なのかもしれない。

筆者は劇場版を履修してしまったために、「キメステ」の無限列車編が上演されたときには涙なしでは観られないだろうと、今からハンカチを用意して臨む所存である。

舞台「鬼滅の刃」初演はアマゾンプライム・ビデオで配信(要課金)しているので、もし興味をもった方がいたら、観ていただけたらうれしい。

「其の弐」は、ステージ後方が傾斜になっている舞台セットが迫力あるアクションを見せるのに天才すぎたので、こちらも円盤発売や配信の折には多くの人に観てほしいなぁと思う。

【関連記事】「鬼滅の刃」炭治郎たちの成長の起点:煉獄杏寿郎の死は必要だった……?

(文:大谷和美)



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