声優・小林千晃が気になる|「普通」な青少年役が、もう絶っ品


転機は2020年か。叫びと訛りの新境地


©WIT STUDIO/Great Pretenders

その「端正」な声で、誰もがきっと通るであろういろんな「普通」を思い起こさせる小林さんの演技。しかし2020年に演じた「GREAT PRETENDER」の主人公・エダマメは、これまでとは少し雰囲気の違う役どころだったと思う。

(自称)日本一の天才詐欺師のエダマメが、自ら仕掛けた詐欺に足元をすくわれた挙句、ローランらコンフィデンスマンたちによる世界を股にかけた騙し合いに巻き込まれていく様子を描いた同作。これまではどこか感情を押さえているようなキャラクターの演技が印象的だった小林さんだが、この作品では「端正」な声に少しの濁りが混じった、ハイテンション&絶叫という新しい一面を魅せていた。しかも地域特定はできないものの、「THE」がつくお手本のような訛りも披露している。

騙し騙され、どんでん返し。ストーリーの緊張感が最高潮を更新するたびに、エダマメのテンションもヒートアップしていく。一方で、詐欺師でありながら真面目でお人好しなエダマメの演技も印象的だった。


©WIT STUDIO/Great Pretenders

エダマメは、家族が起こしたある事件によって世の中から拒絶され続けてきた過去を持つ、「虐げられ守られなかった側」の人間だ。彼は人を虐げ富を得る悪党だけを標的とする詐欺に加担するなかで、自分と同じように守られなかった人と出会う。そして計画を多少変更してでもその人のために動こうとする。

お人好しモードのエダマメの演技には、普段の騒がしさが嘘のような落ち着きがある。そこにはエダマメが背負い続けている過去の重さと、自分の生き方と向き合う彼の真の強さが感じられた。

小林さんは、「GREAT PRETENDER」が放送された2020年度を対象とする第15回声優アワードにて、新人男優賞を受賞している。これまでとは少し違う役どころへの挑戦となったこの作品での演技も、この受賞に影響しているだろう。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!