<検証>なぜ日本で『スパイダーマン』だけがヒットし続けるのか?


日本での大ヒットの理由



当時の興行ランキング度動向を見てみると、2002年5月に公開された『スパイダーマン』は7週連続で国内ランキング1位をキープしています。

GW明けに公開され、そのまま夏休み映画の『スター・ウォーズエピソード2』まで日本の映画興行を引っ張り続けました。

数字的にも前週比の落ちが少なく高水準をキープし続けています。

ここから読み取れることは、以下の4点です。

1:『スパイダーマン』を最初に多くの人が見た

2:最初に見た人達からいい評判が拡がった

3:それを聞いた人たちが、見てみようかと、公開から少し経ってから映画館に向かった

4:最初に見た人達の多くがリピーターになった


人気を支えたのはやはり『スパイダーマン』が”シンプルに良い映画”だったということ、”日本人が見ても良い映画”だったということでしょう。

 ”あなたの親愛なる隣人”の二つ名を持つスパイダーマン。

彼は等身大の若者としての将来や生活、恋愛や友人などについて思い悩みます。

この悩み、苦境に立つヒーローというのは異色でした(それは今2022年においても変わりありません)。強く逞しくあろうとするヒーローは古今東西、国内外で数多く存在し続けてきました、そんな中で等身大で、しかも万国共通で普遍的な事柄に思い悩む青年スパイダーマンことピーター・パーカーの姿は、日本人にとって非常に新鮮で、なおかつ親しみを強く感じる対象になりました。

やはり、この魅力が大きかったと思います。

アメリカのコミックヒーローである以前に、我々にとってピーター=スパイダーマンは“思い悩む若者”で“親愛なる隣人”となったのです。

またもう1つの名言”大いなる力には大いなる責任が伴う”というものも、どこの国の人であっても通用する概念でした。

CG技術が発達し、それまでは実写映像では描けなかったスパイダーウェブという独自のアクションをスクリーンに焼き付けることができたことも大きいでしょう。

ヒーローの超人度合いも仮面ライダーやスーパー戦隊を見てきた我々の共通項と近い度合いのだったも効果的でした。

オリジナリティあふれるアクションに、国境を越えた普遍性を持つキャラクターが重なったとき“スパイダーマン映画”はヒーロー映画、アクション映画、そしてアメコミ映画の枠を超えた“スパイダーマン映画”へと昇華したということになります。

その後も日本人の心を捉え続け、アメコミ映画もヒーロー映画も食傷気味だけど“スパイダーマン映画だけは別腹”という現象を生んでいるのではないでしょうか?

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