「ファイトソング」第8話レビュー:いよいよ別れの時。花枝を思い、芦田がつけた曲のタイトルは……(※ストーリーネタバレあり)
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清原果耶主演のTBSの火曜ドラマ「ファイトソング」が2022年1月11日(火)より放送スタート。
岡田惠和オリジナル脚本で送る本作は、夢破れたスポ根ヒロインを演じる清原と、一発屋ミュージシャン、万年片想いの一途な幼馴染の不器用な3人の恋と成長を描く。
本記事では、第8話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「ファイトソング」第8話レビュー
芦田(間宮祥太朗)が出演中のラジオを見ているときに倒れてしまった花枝(清原果耶)。幸い大事には至らず、慎吾(菊池風磨)とともに車の中で最後まで聞き届けることができた。久しぶりのメディア露出を祝し、マンションの屋上でグラスを傾ける芦田、弓子(栗山千明)、薫(東啓介)の3人。
マネージャーとして、芦田が楽しそうに仕事をしているのがうれしいと語る弓子、「愛している」とさらりと言う。間違いなく好意はあるはずだが、芦田の仕事が成功することも、この人にとっては思いが成就することの一部なのかも。そういう関係もいいな。
その頃、花枝はあさひ学園で、慎吾や凜(藤原さくら)たちと一緒にいた。いつもの見慣れた光景を「覚えとこう」と言ったことで、場は少しだけしんみりした空気に。すかさず、「耳聞こえなくなるって決まったわけじゃないんだろ?」と慎吾。
しかし花枝は、空手の試合に例えて、「絶対そんなの来ないでしょみたいなの備えないと、負ける」「勝ちたい、負けたくない、そのためにはきついことが起きるつもりでいる」と応じた。
これまで、何で花枝はこんなに頑固なんだろうと思うことが何度かあった。でもそれは、自分の経験に基づくルールがあったから。花枝にとっての負けないための予防線だったのだと思うと、共感できるような気がした。
少しだけ関係性に変化がありそうな兆しが見えてきた慎吾と凜。前回は凜がいつもと違った対応をしたからだったが、今回は慎吾の言葉がきっかけに。
自分は花枝が何と闘っているのか知らないのは嫌だから、知ってる側で良かったと話す慎吾。そしてそれは、花枝だけではなく、凜も同じだと言う。
「私もなんだ」と、ちょっと笑顔を浮かべる凜。これはうれしい! ただ、「当たり前だろ」と言う慎吾に、恋愛感情がないことは凜も分かっているはず。
だからこそ、思わず「私の“バーカ”は……」と言いかけて、言葉に詰まってしまった。テンション上がって余計なこと言って、気まずくなるやつを無事に回避。でも、調子を狂わされているのが伝わってきて、思わずムズムズしてしまった。
入院の日程を確認していた花枝は、芦田との取り組み終了を2日早めなければいけないことに気付く。電話をしようとしてところに、ちょうど芦田から着信が入る。
今から会いたいと積極的な芦田。電話しながら「どうしようかな~」と言いつつ洋服を選び始める花枝も、タクシーを降りるなりファミレスの中に花枝の姿を認めて手を振る芦田も、しっかり浮足立っている。さらに、テーブルをはさんでキスまで。どう考えても、恋をしている2人だ。しかし、別れの日は刻々と近づいている。
手術の前に、花枝は慎吾と凜と3人で父親がいるらしい土地を訪ねる。会う気はないけど、声だけ聴きたいという。
慎吾の捜索により見つかった花枝の父親は、海辺で釣りをしていた。傍らにはCDプレイヤー。奥さんと娘が好きだったから、という理由で「スタートライン」を聴いていた。この人にとってもやはり、家族との幸せを凝縮した歌なんだろう。
でも花枝、お父さんの声を聴くの、電話越しでよかったんだろうか……?
ラーメンを食べながら「親にも感謝、俺のこと放棄してくれたことにも感謝。そのおかげでお前らに会えた」と慎吾。
こんなこと言える人、本当にいるんだろうか……? それにしても、慎吾から2人への愛がどんどん重くなっているような気がする。
そんな慎吾、芦田との別れと手術が近づいてきて、花枝がいっぱいいっぱいになっていることもちゃんと見抜いていた。「花枝、お前大丈夫か」と言いながら、楽しそうに空手の型の練習をする。この光景は本当、何度だって見たいくらい微笑ましい。
だけど、慎吾は怒ってもいた。何で別れの理由を聞かないのか、芦田の気持ちはその程度なのか、と喧嘩を吹っ掛けにきた……というテイで、明らかに芦田をけしかけている。この期に及んで、ライバルの背中を押しまくるあたり、さすが慎吾。
そして、いよいよ別れの日。
お別れらしく相手の嫌だったところを言い合ったことをきっかけに、芦田は「別れたくない」(大事なことだから2回言ってた)と思いをぶつける。しかし花枝は「お断りします」「恋に負けるのは嫌」ときっぱり拒絶。
芦田との取り組みで前に進む力をもらった、と言える花枝は、たしかに芦田に恋をしている。でも、恋に恋するほどには自分を見失っていない。これもまた花枝の強さであるように感じた。
「さようなら」が辛くて、がっつり男泣きする芦田。花束を交換した時は、あんなに笑顔だったのに。そういえば、「ムササビ」やってもらってないな……。
そこから芦田は曲作りに専念。“お別れ”“秘密”“会えない”という言葉から連想し、ついた曲の名前は「ファイトソング」。予想通り、ドラマタイトルに繋がった。果たして、どんな曲なんだろう。
曲が完成し、あさひ学園に走る芦田。しかし迎えた慎吾は「花枝があなたに会うことはもうないです。もう2度と花枝に関わらないでください」と告げる。
そして、次回は2年後――。
まだあのマンションに芦田が暮らしているようだから、きっと「ファイトソング」は評価されたんだろう。
では、花枝は? この間、どんな月日を送ってきたのか、2人が再び出会うことはあるのか?
色々と想像しながら、放送を心待ちにしたい。
(文:あまのさき)
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