「ファイトソング」第10話レビュー:怒涛のハッピー連鎖!慎吾&凜はやっぱり最高だった!!(※ストーリーネタバレあり)
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清原果耶主演のTBSの火曜ドラマ「ファイトソング」が2022年1月11日(火)より放送スタート。
岡田惠和オリジナル脚本で送る本作は、夢破れたスポ根ヒロインを演じる清原と、一発屋ミュージシャン、万年片想いの一途な幼馴染の不器用な3人の恋と成長を描く。
本記事では、第10話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「ファイトソング」第10話レビュー
ひょんなことからエレベーターに閉じ込められてしまった花枝(清原果耶)、芦田(間宮祥太朗)、慎吾(菊池風磨)の3人。
この状況で、芦田は花枝に思いを伝えようとする。が、花枝の頑なさを嫌だと言い、何かを続けようとした瞬間に、救助が来てしまった。多分、絶対、1番肝心なところを言えなかった芦田。花枝とは気まずいままになってしまう。
芦田は気になって花枝にLINEを送ろうとするも、当然のようにブロックされていた。
花枝との”取り組み”をする前の芦田だったら、きっとここでもう諦めてしまっていただろう。だけど、”取り組み”と2年の時を跨いだ芦田は違う。花枝が暮らすあさひ学園まで、ちゃんと行く。それでも話を聞いてもらえないとわかると、花枝のランニングコースで待ち伏せて、橋から垂れ幕を垂らしてメッセージ伝えようとする。いや、これはさすがにはずい。百年の恋も冷めてしまいそうだ。
でも、花枝の気持ちがリセットされているわけではない。花枝だってもちろん、芦田のことが好きなのだ。
だから耳が聞こえなくなったことを話して傷つけたくなかったのだし、突如道に現れたときには逃げ出した。
では、何がネックなのか? それをまず打ち明けたのは葉子(石田ひかり)にだった。
「音楽の人なのに、わたし芦田さんの作った曲がわからない」
わからなくても大丈夫だよ、と周りが言うのは簡単だけど、それじゃ何の解決にもならない。
2人の距離を近付けた音楽が、この局面で花枝を芦田から遠ざける理由になってしまった。この壁、どうやって乗り越えるのだろうか……。
花枝と話がしたいのに万策尽きた芦田は、こともあろうに慎吾を呼び出す。ちょっと高そうなお店。
状況から、芦田が相談したかったことを察して全部当てちゃう慎吾も、ちゃっかり時価のシャトーブリアンを注文しちゃう慎吾も、いつも通りで安心した。
花枝への思いが叶わなくても、慎吾は慎吾だ。
慎吾は社長命令ということで、花枝に芦田の家に掃除へ行くよう指示を出す。
渋々花枝が芦田の部屋へ行ってみると、“空手再デビュー激励パーティー”ということで、慎吾や凜(藤原さくら)、直美(稲森いずみ)や葉子までが勢ぞろいしていた。最終回にふさわしい主要キャスト大集合の図(薫=東啓介と並んでちょっと小さく見える慎吾がかわいい)。
みんなが見守る中で、花枝に話し始める芦田。自分が好きな人が自分を好きになってくれるのは奇跡だと語り、でもその道を選ぶかどうかは花枝が決めることだから、と続ける。
そして、「俺は待ちたい」「花枝が俺を必要だと思ってくれるまで」「いつまででも待ちます」と真摯な思いを伝える。
「今までで今日が1番好きです」という言葉を、芦田がこんなにもストレートに口にすることもまた、物語の最初の頃から比べると奇跡なんじゃないかと思う。
芦田の告白を聞き心を動かされた花枝も、素直に心情を吐露する。
「頑ななのはそれしか生き方を知らないから」「本当は弱いから、恋は怖い」
花枝の強さの裏側に隠された弱さ。でも、花枝は自分のその弱さを受け入れ、「芦田さんのことが好き、一緒にいたい」と涙ながらに思いを伝えた。
だが、花枝にはまだ引っかかっていることがある。それは、芦田の音楽がわからないこと。
まるでそう言われるのを予想していたかのように(もしかして葉子から聞いていたのかな、それともずっと考えていたのだろうか、後者だったらいいな)、「それなら大丈夫」とすべてを包み込むような優しい声をかけ、花枝の手を引く芦田。屋上で花枝をアンプの上に座らせ、ギターを弾いて歌う自分の背中に頭をつけるように促す。振動で音楽を届けようとしたのだ。花枝にとって壁だと感じていたものを軽々超えていった芦田、やるな……。
ファイトソングが、三三七拍子で伝わるのはすごくいい。無条件に、元気が湧いてくる。
ここからは、怒涛のハッピー連鎖が勃発。
迫(戸次重幸)も触発されて直美に告白し、見事に1歩前進。
さらに最高だったのは慎吾と凜だ。
花枝と芦田の復縁を成功させたことで「天使なんじゃね、俺」とおどける慎吾。しかし芦田は鈍感だ、と宣うものだから、痺れをきらした凜は思わず、鈍感なのはお前だ、と言ってしまう。
そこからはもう止まらない。自分の好意に気付かないこと、「バーカ」は「好ーき」であることをまくし立て、最終的には「絶対に好きにさせてやる」と言ってのける。告白まで戦闘モードな凜、本当にいじらしくてかわいくて、花枝と芦田の思いが通じたときよりも泣けてしまった。
そんな切実な凜を見て、戸惑いながらなんでそんな切ない生き方してんだとツッコむ慎吾だったが、最終的には「ありがとう、俺のこと好きになってくれて」とハグを返す。
あぁ、もう、本当に良かった……。この先どうなるのかはわからないけど、少なくとも凜の思いが伝わってよかった。
芦田が恋は奇跡と言っていたけど、これって凜のためにあるみたいな言葉だと思った。ここまで粘ったあなたの勝利。
慎吾は花枝への、凜は慎吾への長年の片思いで、きっと辛い思いもたくさんしただろうから、その分たくさんの幸せを噛み締めてほしい。
慎吾&凜、やっぱり間違いなく最高です!!
締めくくりはすっかりラブラブな花枝と芦田。お別れの日に見られなかった「ムササビっ!」が、最後の最後で見られるとは。花枝のはじけるような笑顔が、このドラマにはよく似合う。
10話とは思えないたくさんのエピソードが散りばめられ、あっという間の3ヶ月だった。様々な恋の矢印が乱れ飛んでいた本作、同時に登場人物たちみんなの優しさや思いやりが敷き詰められてもいた。その温かさに触れるたび、切なくなったりほっこりしたり、色々な気持ちにさせてもらった。
いい作品だったなと胸に留めつつ、どこかで慎吾と凜のその後を描いたスピンオフを観られることをこっそりお祈りしていようと思う。
(文:あまのさき)
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