俳優・映画人コラム
タイカ・ワイティティの魅力とは?無邪気な天才&奇才な人物像
タイカ・ワイティティの魅力とは?無邪気な天才&奇才な人物像
タイカ・ワイティティ監督作品:短編
■夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト(2003)
『夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト』は、『ボーイ』の基となった短編映画。
駐車場というワンシュチュエーションを舞台に、少年少女の交流が白黒で描かれている。『ボーイ』の劇中では、同様の場面が再現されている。
■Tama Tū (2004)
『Tama Tū』(原題)は、第二次世界大戦のヨーロッパを舞台に、戦いに備えて銃を構えるマオリの軍隊を描いた短編映画。
実在の軍隊に敬意を表した本作では「過酷な状況下におけるユーモア」という監督作品の根幹ともいえるテーマが確認できる。
■What We Do In the Shadows: Interviews with some Vampires(2005)
『What We Do In the Shadows: Interviews with some Vampires』(原題)は、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』の基になった短編映画。
長編版のメインキャストはそのままに、予算の都合からより自主制作という趣を感じる作品となっている。
多くの場面が長編版でセルフリメイクされているが、インタビュー要素が強い本作では質問のテロップが画面に映し出される場面が登場する。
■Last Night(2010)
本作は「夢」をテーマにしたオムニバス作品『42 One Dream Rush』(2010)の1編。
42秒の作品が集まった本作では、ある夜、睡眠中に幽体離脱をする男の様子をCGなしのアナログ演出で表現している。
デイヴィッド・リンチやレオス・カラックスといった名だたる監督陣の中でも、確かな存在感を発揮した。
■Coca-Cola: The Letter(2020)
2020年には、コカ・コーラ社のCMを制作したことでも話題になった。
クリスマスを舞台にした本作では、愛する娘のためにサンタクロースを探す父親の大冒険を描いている。
2分30秒という制限の中で壮大なスケールかつ心温まる「父と娘」のドラマを完成させた点には、監督の職人技を感じることが出来るだろう。
■Lucid Odyssey(2020)
同年には人気ゲーム機・XboxのCMも手掛けている。
実在のゲーマー“MoonLiteWolf”が見た夢を映像化した本作では、ファンタジックな世界観を表現。
ゲームファンには嬉しいサプライズゲストの登場を経て、監督らしいコミカルなオチへと辿りつく内容が魅力的だ。
また、このほかにも『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを再現した『壮大すぎる機内安全ビデオ』(2014)や、『マイティ・ソー』シリーズのフェイクドキュメンタリー『“チーム・ソー”結成』(2016)などを監督している。
これらの作品は、以下の記事で紹介しているので、是非チェックしていただきたい。
>>>【関連記事】<解説>『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』モキュメンタリーの魅力
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タイカ・ワイティティ監督作品:ドラマ
タイカ・ワイティティが初めてドラマのメガホンをとったのは「Flight of the Conchords」(原題)だった。
本作は盟友・ジェマイン・クレメントが所属するミュージカルコメディデュオを主演にしたシットコムで、監督は4エピソードを担当。
担当回の第10話に登場する「Broadway Musical」という楽曲では、「マイティ・ソー」シリーズにも繋がる“茶番演劇”の原点を垣間見ることが出来る(その他の楽曲も公式チャンネルから鑑賞することが可能)。
続いて、とある街に住む愉快な5人を描いた群像劇「Super City」では、シーズン1の全6話を監督。
その後「思春期まっただ中」では、シーズン1の5エピソードを担当した。
また、ドラマ版「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」では、3エピソードを監督。
シリーズ初回と最終回でドラマの方向性を定めつつ、第7話ではヴァンパイア作品への愛を詰め込んだサプライズ要素を盛り込み、映画版とのクロスオーバーも実現させた。
ドラマ作品における彼の手腕が発揮されたのが「マンダロリアン」最終回であろう。
劇中でドロイドIG-11の声優も担当した彼は、お得意のユーモアで人間らしいアンドロイドを熱演。
最終回ではキャラクターにドラマティックな展開を与え、見事なシーズンフィナーレを演出した。
そして、彼のドラマ最新作が「海賊になった貴族」である。
監督を務めたのは第1話のみであり、タイカ節は薄いのかと思いきや、3話以降は重要キャラクター“黒ひげ”として登場。
物語の中核を担う人物として、必要不可欠な存在となっている。
タイカ・ワイティティ監督作品:待機作
タイカ・ワイティティには、現時点(2022年7月)で公開が期待される多数の監督作が発表されている。
『Next Goal Wins』(原題)は、同名タイトルのサッカードキュメンタリーが基となったスポーツコメディで公開待機中。
ビッグプロジェクトとしては、『スター・ウォーズ』の最新作やハリウッド実写版『AKIRA』、スカーレット・ ヨハンソンが主演する人気ディズニーアトラクションの映画化『タワー・オブ・テラー』などが予定されている。
また、ホドロフスキーとフランスコミック界の巨匠・メビウスとのコラボ作品「L'INCAL アンカル」の実写化なども控えており、まさに多忙を極めている。
そのほか映画以外では、『バンデットQ』のドラマ版、『チャーリーとチョコレート工場』を基にしたアニメシリーズなどの制作も予定しているとのことだ。
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