「六本木クラス」7話:人か金か?ますます亀裂が深まる新(竹内涼真)と長屋会長(香川照之)
→「六本木クラス」の画像を全部見る(全1点)
竹内涼真主演、テレビ朝日系列木曜ドラマ「六本木クラス」が2022年7月7日より放送スタート。
Netflixで配信されるや否や、日本でも大人気となった韓国ドラマ「梨泰院クラス」のジャパンリメイクとなる本作。主人公・宮部新を竹内涼真、初恋の相手・楠木優香を新木優子、新が経営する居酒屋のスタッフ・麻宮葵を平手友梨奈が演じる。
本記事では、第7話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「六本木クラス」第7話レビュー
飲食店へ食事に行くとき、重視する点は人によって違うだろう。店内の雰囲気やメニューの豊富さ、立地にこだわる方もいる。何よりも味重視な方もいるし、誰と行くかによって見るポイントが変わる方も多いかもしれない。
店員さんの接客態度や雰囲気によって、リピートするかどうかを決める方も多数派ではないだろうか?
いくら料理の味が美味しくても、邪険な態度で接客されてしまったら、次はないな……と思ってしまうのが人だろう。おひとりさまで来店することも増えているご時世柄だと余計に、単価を気にするタイプの店には敬遠されてしまいがちだ。
「六本木クラス」7話は、二代目みやべの店長・新(竹内涼真)と、飲食産業大手の長屋会長(香川照之)の商売におけるスタンスがくっきり分かれた回となった。
商売は人でやるもの、会社は人である。そう公言する新にとって、商売は利益を目的にするよりも人情で動かすものだ。二代目みやべをオープンさせた動機は長屋への復讐ではあるが、葵(平手友梨奈)や龍二(鈴鹿央士)をはじめとするスタッフたちを、利益追求のために切ったりはしない。
二代目みやべが借りているビルを、丸ごと長屋に買い上げられたことにより、窮地に陥る新たち。あくまで店を守るために、バイトである龍二を切るよう誘導した葵だが……そんな彼女に対しても、新は最終的には受け入れた。
新のやることなすことに、理解に苦しむ様子を見せる葵だが、理解しようとすることが愛だと姿勢を変えている。それも、何よりも人を重視する新の考えに感化されたせいかもしれない。
その反面、長屋会長はしたたかだ。
二代目みやべが入居しているビルを丸ごと買い上げるのに躊躇がないのはもちろん、新と手を組む相川専務(稲森いずみ)に尾行をつけたり、卸業者やマネージャーである葵を囲い込もうとしたり、金のためには手段を選ばない。
もはやその目的は利益でもなく、ただ新ひとりの存在が邪魔ゆえに、潰しにかかっているだけのようにも思えるが……。長らく隣で会長の動向を見守ってきた優香(新木優子)も、たかが小さな居酒屋をそこまで目の敵にするなんて、と疑問視するほどだ。
人か、金か?
商売をする目的、商売を動かす原動力は、果たしてどこにあるのだろうか。
その答えは実際に商売をしている側の人間にしかわからないだろうが、少なくとも、顧客の多くは”人を大事にする”店に訪れ、気持ちよくお金を使いたいと思うに違いない。
世のため人のため、と言えば格好が良すぎるかもしれないが、生き生きと働く大人たちの背中を見て、子どもたちは自分の将来を夢見る。
今回、重大な決断をした人物がいた。新の父が亡くなった、この物語の根幹となっている事件の捜査担当だった刑事・松下(緒形直人)が、攻めの姿勢に転じたのである。
上司の意向といえど、明らかな証拠を無視して虚偽の捜査をしてしまった自分を、ずっと後ろめたく思ってきた松下。しかし、正義をまっとうできずにいた。
相川専務が発した「子どもは親の背中を見て育つ」の言葉、そして、長屋会長から独占契約を持ちかけられたことにより、松下の意識が変わる。きっと、ようやく、子に対し”堂々と見せられる背中”を示したいと思うようになったのだろう。
お金がなくては人は生きられないが、それでも、人にとって最も大事なのはお金ではない。
この物語は、最初からブレることなく、そんな”シンプルだけど忘れがちなこと”を繰り返し提示してくれているようにも思える。
(文:北村有)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
Copyright© tv asahi All rights reserved.