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2022年11月03日

<silent>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<silent>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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戸川湊斗(鈴鹿央士)から突然の別れを告げられた青羽紬(川口春奈)は、なかなか気持ちの整理がつかないでいた。そして佐倉想(目黒蓮)もまた、2人の関係がくずれたのは自分のせいではないかと懸念し古賀良彦(山崎樹範)に相談する。

紬は春尾正輝(風間俊介)に湊斗の話をする中で、自分が彼のことを大切に思い、本当に好きだったことを実感するとともに、聞こえる聞こえないに関係なく相手に思いを伝えることの難しさを痛感する。そんな中、紬の携帯に湊斗から着信が入って…。

第5話のレビュー

想(目黒蓮)と同級生たちを再会させたフットサル会場で、紬(川口春奈)に別れを切り出した湊斗(鈴鹿央士)。「本当にこのまま別れちゃうの?」と思ったが、第5話は納得いかない気持ちがありつつも、ゆっくりじっくり「ああ、本当にこの2人は別れるんだな」と思い知らされた回だった。

紬は「別れたくない」と言うが、湊斗は譲らない。

「この3年、ずっと考えてた。今、紬が想と再会したらって」
「ずっと考えてたし、ずっと不安だった」
「別れよう、もう無理しなくていいよ」
「俺がもう無理、俺が無理。このまま紬と一緒にいたら、無理になる。優しくできなくなる。紬にも、想にも。別れよう」
「嫌われたくない。紬にも、想にも」

自分がつらいんだ、無理なんだと言う湊斗。それは優しさでもあるし、本音でもあるんだろう。この作品を観ている限りではいつも紬に「いいよ」と言っていた湊斗が、はじめて自分を曲げなかったことだった。握った紬の手も、振りほどいた。

翌日紬が一人で目覚め、晴れているシーンは、第1話で彼女が目覚め、雨が降っていて隣に湊斗が寝ていたシーンと対照的だった。

心配した想に「別れたよ、心配しないで」と送る湊斗、そんなこと送ったら心配するに決まってんだろーーという内容だ。「ちゃんと別れたから心配しないで」という意味にも取れるし、あえてちょっとくらい心配させたかったのかもしれない。

古賀セン、ナイス!

2人が別れたことに責任を感じる想に、声をかける古賀先生(山崎樹範)の返しが絶妙だ。
「2人が別れたのが佐倉のせいだったとして、だから何」
「自分だって同じ女の子振ってんじゃん、もっと残酷な感じで。そーれなのに納得いかないって言ってんのは、なーんかちょっとダサいわ」
「佐倉ダサいわぁ」とわざわざアプリに向かって言い直すのには笑う。
「この8年とか? まったく2人を見てなかった佐倉に分かるわけないと思うよ」
味方でいてくれるしこんな本音も言ってくれる先生、いいなぁ。

別れるという点においては頑なな湊斗。流されないし、呼び方も”紬”から”青羽”に変えた。でも、やっぱり優しさが垣間見えてしまう。荷物を取りにきた紬と、別れたのにのほほんとした雰囲気で出会った頃の話をできる感じが湊斗だからだし、この2人の関係性だったんだなと思う。

キラキラとポワポワ

紬の親友・真子(藤間爽子)が湊斗に伝えた「想といるときの紬はキラキラしてたけど、湊斗といるときの紬はポワポワしてた」という話は非常に印象的で、的確にそれぞれとの違いを言い表していた。そしてはじめは紬は圧倒的に想が好きなのかと思っていたけど、湊斗のこともちゃんと好きだったんだなとあらためて納得した。

「ポワポワして落ち着いてて、うれしいこと教えたくなる感じ、無意識に戸川くんが基準になる感じ」
「女の子のこと、キラキラさせる男もすげえなって思うけど、ポワポワさせるのも才能」

真子なりに考え直してほしくて伝えたことだったけど、もしかしたら湊斗に「やっぱり自分ではないな」とあらためて思わせてしまったのかもしれない。湊斗が前回「紬、想といるときがいちばん可愛いんだよ」と言ったように、湊斗がいちばん可愛いと思うのは”キラキラした紬”だった。大好きな人が自分と別れたくないと言っていても、他の人といる相手のほうが素敵に見えて、大好きな人と一緒にいると嫌な自分になってしまいそうなのは、つらい。

キラキラとポワポワというオノマトペが印象的で、何度も耳の中で繰り返した。ほかにもこの作品のセリフは、同じ言葉の繰り返しがすごく多い。小学生のとき朗読した国語の教科書のような、何度も耳の中で繰り返されて記憶に残るような感じだ。まだ現在進行形だけど、この作品のセリフを、いつかふと思い出すのだろうか。勝手に想像して、勝手にさみしい。

弟・光(板垣李光人)が気を利かせた電話でも、紬はどんな風に好きだったかを伝えるけど、たぶん彼女の中でも別れる覚悟が決まったようだった。「私なんか、ポワポワしてたと思う。好きだったよ、戸川くんのこと。好きだったよ、この3年間、ずっと一番好きだった人だよ。知らなかったでしょ」「うん、知らなかった」という会話はもらい泣きしてしまいそうだった。

翌朝、想に会う紬が一瞬、湊斗が”想が好き”と言っていたポニーテールにしようとしてやめるシーン。いや、無意識にポニーテールにしようとして、湊斗のことを思い出してやめたのかもしれない。言葉がないけど伝わってくるシーンが秀逸だ。

影と光の対比が印象的

そして今回、湊斗の顔に影が落ちているシーンがいつになく多かったように思う。特に紬と電話しながら泣いているシーンは、薄暗い中で涙を流す湊斗と、台所の灯りに照らされながら涙を流す紬が対照的だった。

そして電話を切ってそのまま眠りについた湊斗、朝になって顔に光が当たり、目を開けると隣には紬の顔が。一瞬「どういうこと?」と思ったが、2人が話していた、「紬が初めて湊斗の家に泊まった日」「前髪をとめるふわふわの百均のヘアピン」の回想シーンなのだ。そして湊斗の顔には光が当たり、心底幸せそうな顔をしている。決定的に終わってからこの繋ぎ、非常に苦しいし心に刺さった。

一方、メインの3人以外のセリフも印象的だった。想の母・律子(篠原涼子)の「誰のせいでもないことが一番厄介なの、そういうもんなの」という言葉、萌(桜田ひより)を悪く言った律子に対して姉の華(石川恋)が言った、「想の人間関係がうまくいかないのは、萌のせいなの? ごめんね、お母さんが聞きたいのは想の本音なのにね。私たちばっかしゃべってごめんね」という言葉。

律子は想の病気に負い目を感じてどうしても彼のことを気遣ってしまうが、他の2人は自分を見てもらえないようで、それぞれ傷ついていたのだろう。

想が伝えたかった想いとは?

想に「顔を見て話したい」と言われて「今佐倉くんの顔を見るのつらい」と断る紬に、2話を思い出す。あのときの想も紬の顔を見るのはつらかったかもしれないけど、結局折れて会ったけどな、とちょっと紬を身勝手に感じたが、湊斗にちゃんと別れを告げた紬は「来れたらきて」と言われたカフェに現れる。


想はノートを用意していて、紙芝居のように1ページに少しずつ書いたメッセージを見せていく。自分と再会したせいで2人が別れたなら、再会しなきゃよかったと思った。でも、紬と手話で話せて、湊斗たちとフットサルできて、うれしかった。だから、2人には悪いけど、再会できてよかった、と。

ここも、2話で紬が言った「好きになってよかったって思います、思いたいです」というセリフを思い出した。この作品に出てくる人みんな、「よかった」と思えるような結末につながることを願いたい。


※この記事は「silent」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)フジテレビ

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