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2022年11月03日

<silent>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<silent>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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青羽紬(川口春奈)の家で鉢合わせした佐倉想(目黒蓮)、戸川湊斗(鈴鹿央士)、光(板垣李光人)。思わずその場を去ろうとする湊斗に、紬は想と二人でちゃんと話した方がいいと諭す。

湊斗は8年ぶりに想と向き合う中で何も変わっていないと感じ、高校仲間のフットサルに参加してみないかと誘う。そんな湊斗に対して、紬と想の復縁を懸念する同級生たち。だが、横井真子(藤間爽子)は、紬が今は湊斗のことを本当に大切に思っていることを理解する。 迎えた当日、フットサル場で待つ同級生たち。そのとき、想は…。

第4話のレビュー

湊斗(鈴鹿央士)に泣かされた前回・第3話。彼が本当につらいのは、想(目黒蓮)に紬(川口春奈)を取られるかもと心配することより、友達だった想の病気を受け入れることだったとわかった。

湊斗は紬に「想に謝っておいて」というが、紬は「自分で話したほうがいい。私と話したんじゃ意味ない、伝わんない」と、家に2人を置いて弟・光(板垣李光人)と食事に出かける。湊斗が泣き崩れたところからスピーディーにこの行動ができる紬、結構すごい。「帰ったら死体があったらどうするよ、成人男性2人どこに埋める?」と心配し、「今頃私の悪口で盛り上がってるよ」と紬が言うと「元カノと今カノの悪口言うの? ウケる」と発想もツボも独特な光、ちょっと面白い。

2人になった想と湊斗。スマホで文字を打とうとしている湊斗に音声を文字に変換するアプリを差し出して”どうぞ”とする想、なんだかかわいい。2人はすっかり話が盛り上がって、ビールを数缶空けていた。前と同じような空気感に、つい湊斗は話しながら台所に行ってしまう。でも想には聞こえない。ドラマが一瞬無音になり、想にとってはこの状態が現実なんだと思い知らされる。

でも、ネガティブな表現で終わらなかった。ちょっと悩んだ顔をした想は、「湊斗」と声を出す。耳が聞こえなくなってから家族の前以外、元カノである紬の前でも出さなかった声を、湊斗の前では出したことになんだかじーんときてしまった。前回湊斗が泣きながら言った「また名前を呼んでほしかっただけなのに」が叶った。1話で想が言った「もうしゃべれない」も2話で紬が手話を覚えたことによって叶ったし、また話そうとすることで不可能だと思ったことが可能になっていく、そんな光景を見せてくれるドラマだ。

「しゃべったほうがいい?」と声を出して聞いた想に「しゃべりたくなかったからしゃべんなかったんでしょ、だったらいいよ、想の好きなほうで」「想、全然変わんないね」「ごめん、大丈夫だよ、久しぶりでびっくりしただけ」高校のときからずっと、湊斗はこんな感じに優しかったんだろうなと思った。

コンビニで光と鉢合わせた想は、飲んだ缶ビールを返す。さっき「佐倉くん邪魔だから」と言ったのを気にしていたのか、「1個まけてあげる」と渡そうとした。「俺わからないから、感じ取って」ときょとんとする想のほっぺに缶を当てる。これはこれでコミュニケーションだな。

一方で、目に見えない断絶を感じる描写も多かった。奈々(夏帆)が友人と話しているシーンで、想とは付き合っていないことがわかる。奈々は気がないわけでもなさそうだが、友だちとしか思われていないよと話し、友人いわく「(想は)つい最近まで聞こえてたんでしょ? 理解し合えないことあって当たり前だよ」。聞こえない人の中にも、そういう隔たりがあるのだとあらためて身に沁みた。

また、正輝(風間俊介)は耳が聞こえない同僚に、手話でコミュニケーションが取れるのに僕たちに一線置いているのが前から気になっていた、どうして? と指摘される。「特別扱いも違うし、ただ平等に接するのが正しいとも思わなくて」「手話ができるってだけでわかった気になりたくないんです」と伝える。やはり正輝は、以前聞こえない人との間に何かあったのかもしれない。

想と仲の良かった同級生たちを引き合わせるため、フットサルの人集めを手伝ってほしいと友達に頼む湊斗。でも友達は「想だって気を遣うだろ」「どう接していいかわからない」と言う。冷たいようにも感じるし、残酷な現実だなと感じる。が、筆者も友人が病気で以前のように話せない状態で再会したことがあり、実際どう接したらいいのか、自分の態度や反応で相手を傷つけてしまうのではないかと思ったことがあるので、ちょっとこの友人の気持ちもわかる気がした。会いたくないわけではなく、戸惑っているのだと思う。

実家(群馬らしい)に帰っている光と電話する湊斗、「光も手話覚えればいいのに」という言葉から何かを察し「なんでそんなこと言うの。なんで手話覚えろとか言うの」と言う光。ここで物語は再び無音になり、湊斗が何かを決意しているんじゃないかと不安になる。紬と2人で歩いていたときも、「前は別れたくないから彼女と付き合うのを悩んだが、別れても楽しいことが多ければそれでいいのにね」というニュアンスのことを言っていたし、まさか……。

想の実家でお父さんらしき人が登場し、萌(桜田ひより)と手話で話していたのも気になった。今まで出たことないから母子家庭かと思っていた。

さっき渋っていた友達は、湊斗の「会えば想が変わってないってわかるから」と強く言ったことに押されたのか、人を集めてくれた。「想がこなかったらいつもの感じ、想がきてもいつもの感じで」と。そして当日、通訳係として紬も呼ばれ、同級生たちが集まる。先生、手話がわからなくてもジェスチャーで話しかけていてコミュ力高いなと思った。でも「ごめん、なんもしてやれなくて」と言っていて切ない。

同級生たち、実際会うと昔と変わらない、続きのような感じで想に話しかける。それでいてさりげなくハイタッチや肩をさわりながら話すなど、想に伝わりやすいようにしていた。耳が聞こえないのは大きなことだけど、そうじゃなくても例えば友達が怪我をしていたら荷物を持ったりするし、そういう当たり前の気遣いの延長で接することができればいいのかも。不安が一掃された瞬間に、そしてこの場を湊斗が作ったということに、涙が出た。

ベンチで紬と2人になり、紬が想のことを話すのを聞き、友達と楽しそうにフットサルする想を見ながら、湊斗の顔は真剣になっていく。

「紬、お願いがあるんだけど……」

「別れてほしい。別れよう」

ああ……。予告のときからそんな予感はしていたけど、そんな……。

「好きな人がいるから」

「好きな人」というのは、湊斗が紬を好きだからとも取れるし、さらに湊斗が(友達として)想のことを好きだからとも取れるし、紬に好きな人(想)がいるからとも取れるし、全部かもしれない。

でもこの言葉、むかし想が紬に別れを告げたときに言った言葉(好きな人がいる 別れたい)でもあり、紬にとってはより言われたくない言葉だったと思う。奇しくも想も湊斗も、紬のことを思った結果この言葉になってしまうとは……。もし言葉の詳細を知っていたら湊斗は同じ言葉を使わなさそうだから、そこまでは知らなかったのだろうか。

湊斗が自動販売機で飲み物を買おうとすると、後ろからコンポタのボタンを押され、コンポタを買ってしまった。想がいたずらっぽい顔で笑う。「も~、思い出してきたわこの感じ」と湊斗も笑い、想は自分で買った水を湊斗に渡す。

音声変換アプリを出して、湊斗は話しだす。さっき紬に別れ話をする前に「間違えて買った」とコンポタを渡していたし、冷めちゃったと言っていたから、たぶん想との話のほうが先なのだろう。

「紬、ご飯食べてるかだけ気にしてあげてね。この3年、本当は楽しくなかったと思う。行きたいとこ、食べたいもの、欲しいもの、俺全部、何でもいいよ、紬の好きでいいよって言うから、つまんなかったと思う。紬が教えてくれた音楽とか映画とか、いいねって感想しか言えなくて、俺ほんとつまんないから、想は違うからいいんだけど、大丈夫なんだけど、紬、想の横にいるときが一番かわいいんだよね。知らなかったでしょ、いつでも自分が見てきたあの紬だと思ってるんでしょ」

湊斗の意図に気づき、スマホに手を当てて会話をさえぎろうとし、泣きそうな顔で「耳、聞こえないんだよ」と声を出して言う想。

「耳、聞こえないだけでしょ。他に何にもかわってないから」
「すっごい性格歪んでないかなとかちょっと期待したのに」
「想のためとかじゃなくて、どっちかというと紬のためで、本当に本音を言えば自分のため。俺がしんどいだけ。2人見てて、2人がどう思ってるか、何考えてるか、わかるから」
「言ったじゃん。みんな戻れると思うって。戻れたら俺はうれしいって」

「湊斗」

「呼んであげて、紬もつむぎって。喜ぶから」

 ううう……「みんな戻れる」に紬と想の関係も入ってたのか、湊斗……。「紬、想の横にいるときが一番かわいいんだよね」というのは、ずっと紬を、想を好きになる前から紬を知っていて、見ていたから言えることで。多分、自己犠牲だけではなく、元に戻ったらうれしいというのも嘘じゃないんだろうと思う。湊斗は自分が身を引いても好きな人たちが幸せならそのほうがいいって思える人なんだと思う。でもこんな、泣いた赤鬼の青鬼みたいなことを……。

「紬、本当に湊斗のこと好きなんだね」と言われるシーンもあったが、紬の気持ちはどうなるのだろう。「佐倉くんに寝とられるんじゃ」という友達に「寝取られません」とはっきり言っていたし(寝取られるっていう表現を出してしまうところにちょっと笑った)。湊斗の底なしの優しさに涙する一方で、ちょっと一方的すぎる気もしてしまった。もう、2人とも優しすぎてつらいから、いっそ間を取って想と湊斗が付き合えばいいのでは……? と思ってしまうほど心がしんどい展開だ。紬と想だって、そんなこと言われても「ならよりを戻しましょう」というわけにもいかないだろう。

でも想、いろんなことができなくなったと思っていたのに「耳が聞こえないだけでしょ、何も変わってない」と言われたことはうれしかっただろうな。この三角関係、どう転べばいちばんいいのか、みんな幸せになれるのかわからないまま次号を待つ……。もはや三角関係というか、1対1が3組あるだけな気もする。それぞれがそれぞれにとって大事だけど、どうかみんな自分の幸せも優先してほしい。

※この記事は「silent」の各話を1つにまとめたものです。

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