![](https://images.cinema.ne.jp/media/article/52283/images/main_eb3d86c733b473b39ce4ef977ba21bab.jpg?w=1200)
![](https://images.cinema.ne.jp/media/article/52283/images/main_eb3d86c733b473b39ce4ef977ba21bab.jpg?w=1200)
「下剋上球児」最終回:終わらない夏、終わらない下剋上。甲子園に連れていってくれてありがとう
![](https://images.cinema.ne.jp/media/article/52283/images/410ec47d11ceb2bbf1f41628ca8da34edfa2ca77.jpg?w=850)
▶︎「下剋上球児」画像を全て見る
鈴木亮平主演の日曜劇場「下剋上球児」が2023年10月15日放送スタート。菊地高弘の「下剋上球児」(カンゼン刊)を原案に、新井順子プロデューサーと塚原あゆ子演出のタッグが帰ってくる。弱小高校野球部を舞台に繰り広げられる下剋上ストーリーに期待だ。
本記事では、最終回をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
▶︎「下剋上球児」を観る
![U-NEXT](https://www.afi-b.com/upload_image/6892-1419862880-3.gif)
「下剋上球児」最終回レビュー
私たちは、不安になる。今やっていることが、果たして次に繋がるのか。懸命に打ち込んでいることが、将来、何かの役に立つのか。南雲(鈴木亮平)や山住(黒木華)率いる越山高校の球児たちも、最初はそう思っていたかもしれない。弱い自分たちが、努力をして何になる? 頑張って練習をしたからって、“残念”の“ざん”と揶揄される自分たちが、甲子園に行くなんて夢のまた夢じゃないか。
でも、繋がった。終わらなかった。
![](https://images.cinema.ne.jp/media/article/52283/images/5531fb87ebc16aac5c79373636a9aa39e6820cf2.jpg?w=850)
このチームのために、強くなる。自分たちを信じてくれている大人たちのために、甲子園を目指す。気づいたら、このドラマを最後まで見守ってきた視聴者も含め、頑なに祈っていた。勝ちますように、報われますように、と。
![](https://images.cinema.ne.jp/media/article/52283/images/7a0f582b3544dcd42f581e1e0811067dc5af1805.jpg?w=850)
甲子園を目指して戦ってきた彼らは、全員がプロの野球選手になるわけではない。部活から引退し、高校を卒業すれば、それぞれの進路へ巣立っていく。
根室(兵頭功海)のように社会人野球で活躍する者もいれば、犬塚(中沢元紀)のようにコーチを経験したあと、教師を視野に入れる者もいる。
だからこそ、高校での部活は貴重な時間だ。「青春」という二文字で終わらせるには、もったいない時期。自分がその渦中にいる間は、そのかけがえのなさに気付けない。南雲が言ったように「一生のうちにこのメンバーで野球ができるのは、今だけ」なのだ。
![](https://images.cinema.ne.jp/media/article/52283/images/58756fd45744c80d963a48ee478e80b9a334d262.jpg?w=850)
ともに強くなってきたメンバーで、彼らは勝ってみせた。甲子園出場がかかった予選。ここを守れば勝ち越しという場面で、音が消えた。襲いかかる期待とプレッシャーに、「勝ちたい」「甲子園に行きたい」……その気持ちだけで打ち勝った彼らは、まさに下剋上を成し遂げたのだ。
南雲は言っていた。「どんな手を使っても勝ちたくなってきた」と。彼のなかには言葉にならない、映像では表現されない思いが去来しただろう。かつて自分が涙をのみ、望まない勝ち方をした苦しい過去も含めて。そんな南雲が言う「どんな手を使っても」には、字面以上の意味がある。
下剋上を成し遂げてみせた彼らの夏は、誰にとっても忘れられない夏になった。
![](https://images.cinema.ne.jp/media/article/52283/images/a8ae237ee513e3620ff924d214c0db5dc4c2792f.jpg?w=850)
南雲の無免許問題、山住や久我原(橘優輝)の負傷、越山高校の資金繰り。課題が山積するなかで、球児たちがやるべきことは一つだった。目の前の試合に勝つために、練習すること。深呼吸し、集中すること。
「負けてもそこで、終わりじゃない」
「必ず次がある」
「次を目指している限り、人は終わらない」
意味のないことなんてない。無駄に終わることなんてない。部活なんて頑張っても将来の役には立てないかもしれないし、仕事なんて給料の範囲で適当にこなしていればいいかもしれない。それでも、人は終わらないのだ。次を目指している限り、夢や目標が潰えない限り。それを球児たちから教わった。
終わらない夏、終わらない下剋上。甲子園に連れていってくれて、ありがとう。
(文:北村有)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO