【2024冬ドラマ】今、話題の5作は?ドラマライター注目ポイントを紹介!


2024年1月期のドラマが、順調な滑り出しを見せている。

いきなりまとめに入るようだが、今期は脚本から演出、俳優の演技に至るまで安心して観られる作品が多く、SNSでは「豊作」との声も散見される。

その中から、特に話題となっている作品をピックアップし、ドラマライターの目線から注目ポイントを紹介したい。

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「おっさんずラブ ーリターンズー」

◾︎新キャラの和泉&菊之助の存在がスパイスに

©️テレビ朝日

ポンコツサラリーマンの春田創一(田中圭)、そんな彼に恋した上司の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)とエリート後輩の牧凌太(林遣都)が中心となって繰り広げるピュアな恋愛模様を描き、社会現象を巻き起こしたドラマ「おっさんずラブ」。

あまりに愛おしくてみんなの心を狂わせた“初代おっさんずラブ”が2019年の映画以来、約4年ぶりに帰ってきた。

牧が赴任先のシンガポールから帰ってきて、2人の新婚生活が始まるところからスタートした今作。遅れてきた新婚生活は家事の分担やゴミの分別などで揉めることも多いが、忙しい日々の中でも互いを思いやり、少しずつ恋人から家族になっていく過程が愛おしい。

春田と牧のイチャイチャぶりはパワーアップしていて、なぜあんなにも自然なラブい雰囲気が出せるのかと毎回驚かされてしまう。

会社を退職し、ひょんなことから2人の家の家政夫になった黒澤をはじめ、周囲の人間を取り巻く環境も様変わりしているが、温かい人間模様は健在。

笑いどころはたくさんあるが、各キャラから誰かを想う気持ちがひしひしと伝わってきて心がじんわりとする。メリハリが効いているのは、やっぱりあらゆる芝居に長けた名優たちの存在あってこそだ。

そんな「おっさんずラブ」に井浦新と三浦翔平という更なる豪華キャストが参戦した。天空不動産に中途入社してきた和泉(井浦)と移動式おかかおむすび専門店を営む菊之助(三浦)。春田と牧の家の隣で同居している2人の、謎に包まれた人物造形と関係性はこの物語のスパイスとなっている。

細部に溢れる愛はそのままに新しい要素も追加され、最後まで飽きずに楽しめそうだ。

■毎週金曜よる11:15〜(テレビ朝日系)
▶︎「おっさんずラブ ーリターンズー」を観る

「不適切にもほどがある!」

◼︎自由すぎて、もはや唖然のクドカンワールド

©️TBS

長年ドラマを観ていると、初回の放送で「あ、これ、何年、何十年と語り継がれていくな」と思うような作品とたまに出会う。「不適切にもほどがある!」もその一つ。

「この作品には不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み1986年当時の表現をあえて使用して放送します」と劇中に2回も登場させたテロップを免罪符にするかのように、第1話からやりたい放題だったが名作の予感を漂わせる。

阿部サダヲ演じる主人公の小川市郎は、一人娘の純子(河合優実)を男手一つで育てる中学校の体育教師。所構わずタバコをスパスパ、生徒に対する愛のムチと称した体罰は当たり前、セクハラ発言も連発の“昭和のおじさん”だ。

コンプライアンスの重要性が叫ばれる現代の感覚ならありえなさすぎて、もし目の前に現れたら変質者とみなして一目散に逃げるレベル。実際、市郎も1986年から2024年にタイムスリップしてきて、色んな人から避けられまくる。

そんな市郎はすぐさま1986年に戻れる出口を発見するも、現代で一目惚れしたシングルマザーの渚(仲里依紗)が忘れられない。そこで再びタイムスリップして居酒屋で飲んでいたところ、純子がかつて憧れていた“ムッチ先輩”こと睦実(磯村勇斗)にそっくりの会社員に出会う。彼は後輩からパワハラで訴えかけられそうになっていた。

©️TBS

「こういう時代だから……」と彼を責める上司たちに、「どういう時代?」と横から突っ込んでいく市郎。多様性ってなんだ、お前らの言う多様性は本当に多様性なのか、こんな時代に誰がした?と言いたいことはミュージカル風にして説教臭さを消臭していく。

現代から1986年に自らの意思でタイムスリップしてきたと見られる向坂サカエ(吉田羊)&キヨシ(坂元愛登)親子も登場したりと、あまりに自由すぎて思わず唖然としてしまった。もちろん、良い意味で。こんなの話題にならない方が難しい。

一方で、「昔は良かった、それに比べて今は……」と昔をあげて今を落とす、ただの懐古主義的ドラマにならないか不安も。脚本を手がけているのが宮藤官九郎だから多くの人は信頼しているが、そうなってほしくはない。

昔と変わって良かったこともあれば、変わらない方が良かったと思うこともある。その上で未来をどう作っていくか、について考えさせられる作品になるのではないだろうか。

■毎週金曜よる10:00〜(TBS系)
▶︎「不適切にもほどがある!」を観る

「アイのない恋人たち」

◼︎※平成初期生まれは心を抉られる可能性があります

©️ABCテレビ

アラサー男女の心を抉るドラマが始まってしまった。

本作は、2024年の東京で恋愛偏差値の低い男女7人が繰り広げるラブストーリー。主演の福士蒼汰を筆頭に、岡崎紗絵・佐々木希・本郷奏多・前田公輝・成海璃子・深川麻衣と、ドラマファンの食指を動かすキャストが勢ぞろいしている。にもかかわらず、良い意味でキラキラ感が全くない。

「もしタイムマシーンに乗って好きな日に戻れるとしたら、今まで生きてきた中のどの1日を選ぶだろう。忙しい毎日に追われ、そんなこと考える余裕なんかないかもしれないけど、きっとそれは宝物みたいな1日だったに違いない。その日の自分に言えるだろうか、『今、なりたかった自分になってる』って」という主人公のナレーションで始まった本作。

果たしてどれだけの人が自分に置き換えて、「過去の自分がなりたい自分になれている」と自信を持って言えるのだろう。きっと答えに詰まってしまった人も多いのではないか。

©️ABCテレビ

少し話は逸れるが、主人公と同じく平成初期に生まれた人たちはドラマをよく観ていた世代だと思う。2023年、人気を博した「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)に登場する仲良し4人組がまさしくそうで、彼女たちはクラブを結成するほど無類のドラマ好きだった。

その世代が今や働き盛りになり、ふと振り返ったとき、子供の頃にドラマで観たキラキラとした生活を送れていない自分に気づく。楽しいことばかりじゃなく、大変なこともあるけど、仕事と恋愛で充実した日々を夢見ていたのに、あれ?こんなはずでは……という気持ちに本作はぶっささるドラマだ。

その虚しさを実力のあるキャストたちが繊細な演技で体現していて、より切なくなる。彼らはそれぞれマッチングアプリをダウンロードし、心の隙間を埋めてくれる人とのつながり=愛を追い求めていくが果たして。

遊川和彦脚本にしては珍しくエキセントリックさのない、エモーショナルなラブストーリーの行方を追っていきたい。

■毎週日曜よる10:00〜(ABCテレビ・テレビ朝日系)
▶︎「アイのない恋人たち」を観る

「厨房のありす」

◼︎永瀬廉演じる謎の青年が物語の鍵を握る?

©️日本テレビ

ハラハラドキドキするドラマもいいけれど、日曜の夜くらいは心を休めたい。そんな気持ちに答えるのが、門脇麦主演、共演に永瀬廉と大森南朋を迎えたドラマ「厨房のありす」だ。

本作は自閉スペクトラム症を持つ主人公・ありすが店主を務める街の小さな料理店「ありすのお勝手」を舞台としたハートフル・ミステリーとなっている。

自閉スペクトラム症とは、発達障害の一つ。得意なこと、苦手のことは誰にでもあるが、その差(凸凹)が激しいのが特性だ。ありすは人とのコミュニケーションが苦手で、想定外の出来事が起きるとパニックになってしまうが、興味のあることには驚異的な集中力を見せ、特に大好きな化学においては膨大な知識を持ちあわせている。

そんなありすが化学の知識を基に、お客さんのその日の健康状態や精神状態に合ったごはんを作っていく。少しでもみんなに元気になってほしいという気持ちが込められたありすのごはんがお客さんの心と体を満たす一方、彼女が苦手なことはゲイの父・心護(大森)や元ヤンの親友・和紗(前田敦子)ら周囲の人間がサポートしており、多様性に満ちたやさしい世界がそこにはあった。

キャラクター1人ひとりが不器用なところを持ち合わせていて、ドラマは始まったばかりだが既に全員が愛おしい。

一方で、ありすの過去には秘密があり、どうやらそこに五條製薬のCEOの娘・蒔子(木村多江)が関わっているらしく、制作を手がけた「あなたの番です」チームならではのミステリー要素も。

同じく自閉スペクトラム症の女性を主人公とした韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を彷彿とさせる本作だが、その中でオリジナル感を出しているのが永瀬演じる倖生のキャラクターだ。倖生は住所不定のフリーターで、ある日突然「ありすのお勝手」に住み込みバイト希望でやってくる。

永瀬が得意とする、このちょっと何かを秘めた役どころが物語のキーとなるだろう。

■毎週日曜よる10:30〜(日本テレビ系)
▶︎「厨房のありす」を観る

「春になったら」

■これから3ヶ月、ハンカチを握りしめる月曜日に

©️カンテレ

主人公の椎名瞳(奈緒)は1995年の早生まれで、筆者とは同い年。成人式から、ちょうど10年になる。振袖を着て同級生と写真を撮ったあの日から自分がもう10歳も年を取ったこと、昔の平均寿命ならその半分も生きていることに驚きを隠せない。そして、ふと親も同じだけ年を取ったんだよなと考える。あと、どれくらい一緒にいられるんだろう。

「3ヶ月後に死んじゃいます」と瞳のように親から突然言われても、すぐには理解が追いつかないと思う。しかも、その3ヶ月後に結婚式を予定しているときに。

瞳の父・雅彦を演じるのは“ノリさん”こと、木梨憲武。子供の頃、親と一緒にテレビで観ていたノリさんの哀愁漂う演技に、毎週泣かされている。

下町風情あふれる舞台で瞳と雅彦が繰り広げるホームドラマは、温かみのある質感の映像も相まって涙腺を刺激する。何より、奈緒とノリさんの自然体なやりとりが本当の親子にしか見えず、フィクションと現実の境目がわからなくなるのだ。

瞳の婚約者である一馬(濱田岳)は売れないお笑い芸人で、雅彦は2人の結婚に猛反対。それでも必死に説得を試みる瞳と雅彦の攻防戦はおかしくもあり、ずっと観ていたくなる心地よさはあれど、物語が進むたびに雅彦の“死”が近づいていることが切なくて堪らない。

誰もがいつかは死を迎える。そのごく当たり前な事実とともに、「もし余命を打ち明けられたら」と考えたときに涙が出てくるような人がそばにいる幸せを本作は教えてくれる。それは、その人を愛している証拠であり、愛されている証拠だから。

大事な人を頭に浮かべながら、瞳と雅彦が過ごすかけがえのない日々を最後まで見届けたい。

■毎週月曜よる10:00〜(カンテレ・フジテレビ系)
▶︎「春になったら」を観る

各局が打ち出すオリジナルストーリーに期待

こうして注目作品を挙げてみて気づいたが、今期は原作のないドラマが多い。各局、2024年はオリジナルで勝負していきたいという気合を感じる。また、突飛な設定や派手な展開よりも、一旦地に足をつけて丁寧な心理描写で見せるドラマが多い傾向だ。

どんなジャンルであっても、描くのは“人間”。そんな原点回帰のドラマが一挙に集結したクールとも言える。その中からぜひお気に入りの作品を見つけて、2024年も充実したドラマ・ライフを送ってほしい。

(文:苫とり子)

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