<虎に翼 ・大学編>1週~5週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら
2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。
CINEMAS+ではライター・木俣冬による連載「続・朝ドライフ」で毎回感想を記しているが、本記事では、寅子が明律大学女子部へ進学して法律を学ぶ第1週~第5週の記事を集約。1記事で感想を読むことができる。
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もくじ
第1回のレビュー
新しい朝ドラこと連続テレビ小説「虎に翼」がはじまりました!第1週「女賢くて牛売り損なう?」(演出:梛川善郎)の冒頭、川を流れる小さな笹舟が出てきて、大河ドラマかと思いました。
今度の朝ドラは、「らんまん」に続き、大河ドラマ的路線のようです。
大河ドラマ的路線とは、偉業を成し遂げた歴史的偉人の、志高い、スケールの大きな物語ということです。
【朝ドラ辞典2.0 大河ドラマ(たいがどらま)】朝ドラはホームドラマで、主人公の周辺半径5メートルの世界を描くものという印象があるが、時々、偉業を成し遂げた歴史的偉人の、志高い、スケールの大きな物語もあって、「大河ドラマのようだ」という声があがることがある。
時に昭和21年(1946年)。主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉)が河原で新聞を読んでいます。
日本国憲法が交付され、その第14条には、すべての国民が法のもとに平等である、とされていました。
それまでは、平等ではなく、女性の身分が男性より低かったのです。
男女平等になったおかげで、寅子は弁護士になることができました。
はじめて、裁判所を訪れた寅子。でも街はまだ戦争の跡で少し荒れています。疲れた感じの人たちが、新聞を読んでいます。新聞を読める人も読めない人も、彼らにも希望の灯りが灯ったでしょうか。
裁判所の前に巨大な建造物が倒れているのは、これまでの制度が倒れたという意味のようにも見えます。
そこから時は遡り――なぜか寅子は仏頂面。艶やかな着物とは不似合いな表情です。
そしてタイトルバック。歌は米津玄師さん。絹糸のような細く強い希求になる絞るような高音が差別される者の嘆きと希望を伝えます。アニメーションから実写に変わるのも良かった。
すてきすぎて、米津さんの歌に毎朝泣かされていたら身がもたないかもしれません。どうしよう。
そして、本編。日本国憲法交付から遡って、昭和6年(1931年)、女性は結婚するのが幸福とされていた時代。寅子は女学生。結婚が最大の幸福の形とはまったく思わないのに、お見合いをさせられて、わざと嫌われるように振る舞います。
ペラペラ生意気なことを語る様子からは、寅子の賢さがわかりました。
「ブギウギ」でおなじみ梅丸少女歌劇団に入りたいと言う寅子。子供の頃、お芝居も上手だったという回想もあります(男の子役)。
セリフだけで済ませず、子供時代のお芝居の様子もちゃんと撮影しているのが嬉しい。この丁寧さを最後まで頼みます。
3度目のお見合い。今度のお相手・横山太一郎(藤森慎吾)はなんとなく昭和初期のチャラ男のようで、帝大出でニューヨーク勤務していたエリートなんだけどちょっといけすかない雰囲気ですが、寅子は気に入ったようで、調子に乗って自分の意見を言い始めたら……。
重い部分と軽やかな部分のバランスが良いはじまりでした。
「はて?」が口癖の、いろんなことに疑問を感じる利発なヒロイン・寅子を、伊藤沙莉さんが親しみやすく演じています。
寅子の母・はる役の石田ゆり子さんは華があり、
父・直言役の岡部たかしさんは飄々とし、
気鋭の裁判官・桂場等一郎役の松山ケンイチさんは不思議な切れ者感あり、
友人役の米谷花江役の森田望智さんはのんびりした口調で、この時代の女性の認識(女性は良き妻、良き母になることが幸福)を代弁します。
兄・直道役の上川周作さんはスパイスになり、
下宿人の佐田優三役の仲野太賀さんは、渡辺謙、長谷川博己に続いて朝ドラから大河に出演が続くという期待感。
俳優陣も充実しています。
大河ぽいけど、いわゆる朝ドラらしい、ご飯にお味噌汁、ちょっと立派な焼き鮭と美しい卵焼きの朝食のような朝ドラな気がした第1話でした。
さて、「はて?」は流行語になるか!
※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。
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