「虎に翼」稲(田中真弓)が助っ人として再登場<第81回>
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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第81回を紐解いていく。
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優未、キャラ変?
第17週「女の情に蛇が済む?」(演出:相澤一樹)はなつかしい人、新しい人、盛りだくさん。新潟編がますますにぎやかです。航一(岡田将生)が寅子(伊藤沙莉)を連れてきたカフェ(Tea room)は「Lighthouse」(灯台)という名前で(かもめの声も聞こえます、海沿いなのでしょう)、寅子はふとカフェー燈台を思い浮かべたようです。そして、そのオーナーは涼子様(桜井ユキ)でした。
14年ぶりの再会です。
手紙に返事を出してなかったと涼子が語る台詞があり、これは珍しい。朝ドラでは、なぜ手紙のやりとりをしていないのかというツッコミが入りがちなのですが、今回はそうではなく、寅子は涼子に手紙を出していたことが明言されました。
その一方で、航一は、ふたりの関係を知っていたのか、偶然だったのかは語られません。説明したりしなかったり、うまくバランスをとっています。
涼子はお家を守るためにお嫁に行ったのですが、憲法14条で貴族制度が廃止されて、どうなったのか、寅子は気にしていたのかもしれません。
涼子はいろいろ苦労しながら、空襲で足を怪我した玉(羽瀬川なぎ)とふたり、新潟でお店を開いていたのです。華やかな衣裳を着ていた涼子様が、シンプルな仕事着を着ているのが切ない。でも真っ白でパリッと清潔感があってお似合いでした。
玉は、英語を学び続けて、いまは学生に英語を教えています。でも、何か表情に影が……。
ライトハウスというと、星野源さんと若林正恭さんのNetflixの番組「LIGHT HOUSE」と星野さんの歌「灯台」を思い出します。いつの世も、暗闇に灯りが欲しいものであります。
玉が教えている学生のなかに、あの境界線問題の名士・森口(俵木藤汰)の娘・美佐江(片岡凜)がいました。じつに丁寧な上品なお嬢様で、森口の印象とはずいぶん違います。
もうひとり懐かしい人が。
寅子が本庁にも出向くことになって忙しいことに心配した花江(森田望智)が新潟在住の稲(田中真弓)に手伝いを頼みました。強力な助っ人です。
考えてみれば、昔は、女中を雇うことが多く、専業主婦っていまよりも恵まれていたのではないかと。女中という、女性がやれる仕事もあったということですよね。
女性が男性と並んで社会進出するようになったから、女性=家事ではないという印象ができたものの、家事の得意な人だっています。最近、また、家事手伝いブームになっているので、いい傾向なのではないでしょうか。
拙著「みんなの朝ドラ」では、朝ドラに描かれた妾や女中に関して、実際、当時、どんなふうだったか、資料をもとに記しています。当時、社会的地位の低かった女性のできる仕事ではあったのです。
稲にも助けてもらえて、寅子と優未(竹澤咲子)の生活も順調にいきそうかと思いますが、優未が心を開いてきたかと思ったら、ずいぶんと口調が荒っぽくなりました。これが彼女の本当で、ずっといい子を演じていたと思うと、ちょっとこわい。
寅子にはほうっておかれていたとはいえ、花江や従兄たちには可愛がられていたのに。だからこそ、捻くれた姫みたいになってしまったのでしょうか。これからさきが思いやられます。
稲に「優未さんとってもおりこうさんでしたね」と言われて、寅子はうれしそうだったのに、そのあと急変。これはもうホラーですよ。
あと、新たな登場人物といえば本庁の刑事部判事室に勤務する入倉始(岡部ひろき)が、また若手の風変わりな人物。鏡で髪型ばかり気にして、マイペース。子供を「ガキ」と呼びます。高瀬(望月歩)に次いで、扱いが難しそうです。岡部ひろきさんは寅子の父役だった岡部たかしさんの息子さんで、ちょっと面影があります。他人の役なのに、お父さん似の人が出てくるのって、なんかへんな気もしますが、情報を知らなかったら、そんなことも思わず見られると思います。
(文:木俣冬)
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