(C)2021 Disney. All Rights Reserved. (C)2021 Disney and its related entities
(C)2021 Disney. All Rights Reserved. (C)2021 Disney and its related entities

映画コラム

REGULAR

2021年03月12日

『ラーヤと龍の王国』新たなディズニーの傑作となった「5つ」の理由

『ラーヤと龍の王国』新たなディズニーの傑作となった「5つ」の理由


2:東南アジアの種々の文化を表現した世界観

舞台であるクマンドラにある5つの国は、それぞれが独自の気風を持っており、それぞれの衣服や生活スタイル至るまで徹底的に構築されています。例えば、主人公のラーヤのいる国のハートでは、龍との関わりが深く、その龍は水との関わりも深いため、建物や部屋などの様相はしずく状のイメージが強く、丸みのあるデザインになっているそうです。

それぞれの国の自然環境や建築物の素材などの設定にこだわるのはもちろん、スタッフたちは製作全体を通じて、東南アジア出身のコンサルトである文化人類学者や言語学者や舞踏家たちと相談しながら作業を進めていたのだとか。

東南アジアの種々の文化をひとくくりにせず、「それぞれ違っていてどれも良い」な国の姿を作り出しているというのも賞賛するしかありません。これらの世界観が構築されてこそ、観ていてただただ楽しく魅了されるということがもちろん、それぞれ文化に住む人々が分断されてしまうという悲劇が際立つのですから。

(C)2021 Disney. All Rights Reserved. (C)2021 Disney and its related entities


3:個性豊かなキャラクター

この『ラーヤと龍の王国』の最大の魅力は、個性豊かなキャラクターにあります。主人公のラーヤは真っ直ぐな信念を持つ強い女性で、龍のシスーはおしゃべりでひょうきん、なんでも1人でこなす少年のブーンも愛らしく、一見すると凶暴な大男のトングは実は優しい。映画を観る誰もが、彼女たちのことをすぐに大好きになれるのではないでしょうか。

注目すべきは、3人目に仲間になるキャラクターでしょう。ネタバレになるのでどんなキャラかは書かないでおきますが、彼女が「こんなの見たことない!」な活躍をしてくれるのがたまりません

そんな彼女らは、表向きには明るく振る舞っていたり、もしくは虚勢を張っているように見えても、実は悲しみに包まれているということが重要です。ラーヤおよび仲間の4人(+ダンゴムシのようなトゥクトゥク)は、それぞれ大切な家族を石にされてしまい、ひとりぼっち。それでも、この分断がされてしまった世界でも、たくましく生きているのですから、なんとも健気で応援したくなるのです。

また、龍のシスーは「グループ学習で1人成績の悪い子がいてもそのグループは評価されるでしょう」と言っており、実は優秀な能力を持つきょうだいの龍たちへコンプレックスを持っていたこともわかります。こうしたディテールが、さらに彼女たちを魅力的にしているのです。

そんなシスーが終盤に立てる「作戦」はあまりに楽天的で、実際にギャグとして描かれているので大笑いしてしまうのですが、実は彼女の作戦こそが「信じる」ことについての本作のメッセージを、最も尊い形で示しているというのも見事です。単なる「ギャグ要員」に止まらず、明るく楽しいキャラであることが物語上も必然性のあるものになっているのですから。

また、共同脚本を書いた1人であるキュイ・グエンは、「東洋には龍に対してとても強い愛着と愛情がありますが、それらの龍はたとえば「ゲーム・オブ・スローンズ」で描かれているドラゴンとは全く違う存在です。東洋の龍は幸運を与える存在です。龍は肯定的な生きる力を与えるパワーや剛勇さを示しているのです」と語っています。そんな東洋の龍への敬意を払いつつも、コミカルで愛らしいキャラにしてしまうというのは、アニメ版の『ムーラン』と共通していますね。

なお、主人公のラーヤの声を演じたのは、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のローズ役でお馴染みのベトナム系アメリカ人女優のケリー・マリー・トラン。彼女が強くある一方で、トラウマも持つ複雑なラーヤの心境を見事に表現しています。

そして、龍のシスーを演じているのは『クレイジー・リッチ!』『オーシャンズ8』に出演した、中国系アメリカ人の父親と韓国系アメリカ人の母親を持つアジア系女優のオークワフィナ。アニメで描かれている龍であるはずのシスーが、もう一挙一投足までコミカルな役が多いオークワフィナにそのものに見えるのですから驚異的です。序盤に「韻を踏む」言葉遊びをしているのも、おそらくオークワフィナがラッパーでもあることの反映でしょう。

日本語吹き替え版でも、ラーヤ役の吉川愛、シスー役の高乃麗を筆頭に、全員が文句なしにハマっています。字幕版と日本語吹き替え版それぞれを聴き比べても、きっと楽しいでしょう。これらの最高のボイスキャストが、魅力的なキャラクターを、もっともっと魅力的にしているというのは言うまでもありません。


無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!