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映画コラム

REGULAR

2021年03月12日

『ラーヤと龍の王国』新たなディズニーの傑作となった「5つ」の理由

『ラーヤと龍の王国』新たなディズニーの傑作となった「5つ」の理由


おまけその1:『ブラインドスポッティング』の監督の作家性とは

『ラーヤと龍の王国』で共同監督を務めたカルロス・ロペス・エストラーダは、インディーズ映画『ブラインドスポッティング』でメガホンを取っていました。同作はバラク・オバマ前大統領が2018年のベストムービーに選出していたことでも話題になっていたのです。



この『ブラインドスポッティング』と『ラーヤと龍の王国』は作品のトーンこそ全く異なりますが、実は友情の関係性を深く描いたり、多様性および「信じる」ことを肯定するという共通した要素があります。

『ブラインドスポッティング』の物語は、あと3日で自由の身となる保護観察期間中の青年が、とある殺人事件を目撃したことから始まります。劇中の主人公の2人は幼なじみ同士で、肌の色は違えど育った環境も同じで、ずっと仲の良い親友でいられると思っていたのですが、実は見ていた景色も、その価値観も大きく異なっていたという事実が、その殺人事件がきっかけで浮き彫りになってしまうのです。

タイトルの「ブラインドスポッティング」とは、「2通りの見方ができるが、それを同時に見ることができないという状況」を指しており、それをもって人種にまつわる諸問題が、まさに「見る人によって異なる」ことが示されています。しかし、新たな視点を得て、多層的な世界の姿を知ることができれば、より良い方向に進むことはできる。そんな普遍的な問題解決へのヒントも与えくれる内容になっていたのです。

『ラーヤと龍の王国』の主人公のラーヤもまた、幼少時に次々に国の特徴を端的に語っており、そこには異なる文化への偏見も少なからず見えました。そして、ナマーリは敵として立ちはだかる一方で実は自分たちの国を守ろうとしている、その行動原理が彼女の母親の価値観によってもたらされていたこともわかるようになっていきます。

現実の国同士または人間同士の問題というのも、どちらもが「自分は正しい」と思ってしまっている、まさに「見る人によって異なる」からこそ起こってしまうのでしょう。その解決方法の例の1つを寓話的に示してくれるということも、『ブラインドスポッティング』と『ラーヤと龍の王国』は共通しており、いずれも(共同)監督の作家性が存分に表れた作品とも言えるのです。

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