「きれいのくに」第8話までの感想:稲垣吾郎が演じたのは「世界」そのものだった。理不尽な世界で貫き通した思いとは?
第7話あらすじ&感想
第7話あらすじ
美容手術をしていない人々が秘密裏に集まる『きれいのくに』。凜(見上愛)はそこで違法な手術について知り、誘惑に揺れる。そして女優の小野田(吉田羊)に会い…。一方、誠也(青木柚)は凜がパパ活をしていることを知り、激しく動揺する。貴志(山脇辰哉)はれいら(岡本夏美)に想いを寄せ、れいらは中山(秋元龍太朗)にパパ活の客(稲垣吾郎)の面影に苦しんでいることを告白する。
ついに若者たちの気持ちがあふれ出して―!
第7話の感想
容姿のコンプレックスに悩む少年少女の姿を描くドラマ「きれいのくに」もいよいよ7話。全8話なので、もう終盤である。彼らが住む世界は、大人の大多数がトレンドの顔(稲垣吾郎、加藤ローサ)に整形してしまい、整形そのものが禁じられた世界。多数派の整形者(ネジ)から少数派の非整形者(プレーン)への差別も横行している。
しかし、テレビでは整形した社会学者が「この国にそんな事実はない」と言い放っていた。50代と思しき白髪で知的な稲垣吾郎はきっとみんなが好きな稲垣吾郎だが、言っていることは酷い。一方、プレーンの刑事・千葉(山中崇)に引きずられてニヤニヤして、結局殴られる中年男も稲垣吾郎だから、稲垣吾郎ファンは高低差で耳がキーンとしているだろう。
5人の高校生の中で、もっとも容姿のコンプレックスに苛まれている凛(見上愛)は、法律で禁じられている「裏整形」に惹かれていく。
凛がひとりで観る映画は、出演者が非整形者ばかりで客がほとんど入っていないマイナー映画「バイバイ、jazz!」。何らかの答えを求めて非整形者の集まる場所をさまよっている凛は、映画館で働いている小野田(吉田羊)に思わず声をかける。彼女はこの映画や学校で観た啓発映画に出演していた女優でもあった。
凛は小野田になぜ整形しなかったのかを訊ねる。整形すれば人気の大作映画に出られるが、整形しなければ地味なマイナー映画や啓発映画にしか出られないのに。
「私はなんか、そういうトレンド的な? みんなが好きなものが好きになれない、みたいな、そういう気持ちがあって」「みんなの好きって、別の私の好きじゃないじゃん」
小野田の答えは、マイナーな映画や音楽、本などのサブカルチャーを愛する人ならば、至極普通のもの。だけど、この世界ではすさまじい勢いでトレンドなるものが社会と人々を飲み込んだ後なので、小野田のような存在はごくごく少数派のようだ。凛は最後の質問をする。
「自分の顔は好きですか?」
「私は、私のままが好きかもしれない」
小野田の答えは揺るがない。だが、トレンドの顔をした両親のもとで育った普通の高校生の凛にとって、小野田のような考え方はずっと遠いものでしかなかった。非整形者はどこまでも肩身が狭い。結局、凛は裏整形の施術を受けることにする。
少年少女たちはお互いを気遣いながら、徐々に感情をあふれさせていく。誠也(青木柚)は凛のパパ活を知ってやりきれない思いを抱く。中山(秋元龍太朗)はれいら(岡本夏美)に避けられていた事情を知り、自分から距離を取る。貴志(山脇辰哉)は不器用ながら必死にれいらに想いを伝えようとするが、れいらの答えは「耳から膿垂れてるよ」という思春期の少年にとっては残酷なものだった。
仲良く橋の上を歩く5人はやがて二つに別れ、3人は2人と1人に別れる。仲良しの幼なじみは、ある時期から男と女になり、バラバラの道を歩みはじめる。BGMはチューリップの「青春の影」。サビのリフレインの歌詞は「今日から君はただの女 今日から僕はただの男」というものだった。
凛はついに裏整形の手術に臨む。「好きな人の好きな顔だったらな、って思うし」と言う凛だが、彼女は「好きな人の好きな顔」を知らない。漠然としたコンプレックスを解消するためだが、冒頭で街中に流れていた裏整形防止のためのアナウンスは「コンプレックスを直すと騙り……」と言っていた。
表面張力いっぱいに感情が張り詰めた5人はどうなるのか? 凛の裏整形はどんな結果をもたらすのか? 稲垣吾郎は最後にどんな姿で現れるのか? やっぱりこのドラマは最後まで観ないとわからない!
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