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「きれいのくに」第8話までの感想:稲垣吾郎が演じたのは「世界」そのものだった。理不尽な世界で貫き通した思いとは?


第8話あらすじ&感想

第8話あらすじ

貴志(山脇辰哉)がれいら(岡本夏美)に告白したことを知った誠也(青木柚)。背中を押されるように凜(見上愛)に想いを伝えることを決意する。

一方、れいらはパパ活の客(稲垣吾郎)に襲われたトラウマを克服するため、中山(秋元龍太朗)に一緒に過ごしたいと提案する。事件があったカラオケ店で二人は…。そして誠也の気持ちを知った凜。自分の顔を変えるために美容手術を受けたいという思いを彼に伝える。そのとき誠也は―!

第8話の感想

「きれいのくに」が最終回を迎えた。最終回は大人たちがほとんど登場せず、少年少女たちだけで話が進んだが、とても晴れやかである一方、胸の奥がチクッとして、どこかモヤモヤする終わり方だった。それが作り手の狙いだと思う。

凛(見上愛)、誠也(青木柚)、貴志(山脇辰哉)、れいら(岡本夏美)、中山(秋元龍太朗)の高校生5人組は、ただの幼なじみから大人にさしかかり、距離が縮んだり離れたりしていた。

貴志はれいらに告白してフラれてしまい、誠也はあらためて凛にデートを申し込む。れいらは無視していた中山を呼び出して「リハビリさせてほしい」と申し出て、優しい中山はカラオケで一緒に涙を流す。誠也はデートの帰りに凛に告白して、二人は恋人同士になる。誠也はそのことをれいらに告げて、初体験の相手への未練を断ち切る。

胸に秘めていた想いを行動に移したのは凛だった。彼女は思いとどまった「裏整形」をもう一度やろうとしていることを誠也に打ち明ける。顔が変わっても嫌いにならないと宣言する誠也。

「好きな人が好きだと思っている顔になりたい」――こんなことを漠然と考えていた凛だったが、最後は顔を整形するのは「自分の問題」だと考えるようになっていた。

誠也は凛の思いを受け止めて、彼女の頼みを聞いて裏整形の手術についていく。凛は本当に嬉しそうだ。子どもの頃からずっと一緒だった二人。でも、慣れ親しんだこの顔にはおさらば。

「どうだろう……?」
「いい……と思うよ」

手術が終わり、凛の顔はほんの少しだけ変わっていた。すぐに気がつく誠也。だけど、まわりの人たちは誰も気がつかない。晴れ晴れとしている凛だが、誠也は少し複雑な表情を浮かべている。左右に分かれるラストカットは、二人の今後を暗示している。

凛が行動できたのは誠也のサポートがあったから。でも、思い切って行動をした凛と、まわりからの目が気になり続けている誠也は、いずれ気持ちが噛み合わなくなるだろう。それは仕方のないことだし、どこにでもあること。

大人たちがみんな思いっきり整形しているのに、子どもたちのわずかな整形が罪になる世界で、整形している大勢の人たちが整形していない少数の人たちを差別する。大人たちが自分だけ流行りから取り残されるのを恐れた結果、生まれてしまった理不尽きわまりない世界で、凛は自分の思いを貫き通した。差別から生まれた場所「きれいのくに」のへし折られたカードは、理不尽で残酷な世界をいずれ若者たちが変えていってくれることを示しているんじゃないだろうか。

誰だってまわりと変わっていてもいいし、自分を変えたっていい。

世の中にはいろいろ難しい問題は山積みだけど、「きれいのくに」は、そんなことを伝えてくれるドラマだった。

で、稲垣吾郎はこのドラマで何を演じたのかというと、「世界」そのものだったんじゃないかと思う。誰もが美しさを追求した挙げ句、理不尽で歪んでしまった世界。まったくファンタジーだけど、現実の写し鏡のようなおかしな世界。そんな世界を引き受けられるのは、(加藤ローサも頑張っていたけど)やっぱり稲垣吾郎しかいないだろう。この仕事を引き受けたことも含めて、あらためてすごい表現者だと感嘆する次第である。

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