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「きれいのくに」第8話までの感想:稲垣吾郎が演じたのは「世界」そのものだった。理不尽な世界で貫き通した思いとは?


第2話あらすじ&感想

第2話あらすじ

突然妻の恵理(吉田羊)が十年前の恵理(蓮佛美沙子)の姿に若返ってしまった!

夫の宏之(平原テツ)は困惑するが恵理も周囲も若返った事実に全く気づかない。一方若さを手に入れた恵理は宏之の部下・根木(木村達成)に好意を寄せられ、さらに宏之の欲望のまなざしに気づき、封印していたある思いをよみがえらせる…!

20代の頃、駆け出しの美容師だった恵理(小野花梨)はカメラマンの健司(須賀健太)とつき合っていたのだが…

第2話の感想:女性の容姿と年齢を通して「男側の世界」の欺瞞を突く。美しい稲垣吾郎は世界の観察者?

今シーズンナンバーワン級の変なドラマ「きれいのくに」。変だけど、考えさせられて、傑作の予感がビンビンする。

何が変って、第2話なのに主演の稲垣吾郎も吉田羊もほとんど出てこない! でも、わずかな登場時間なのに、すごいインパクトを残していく。

『きれいのくに』で描こうとしているのは、誰しもが抱える容姿のコンプレックス。ほとんどの大人が“同じ顔”をした世界で暮らす、思春期の高校生たちをめぐる物語だ。

ところが、第1話と第2話は、夫とのセックスレスと加齢による容姿の衰えに悩む44歳の女性、恵理(吉田羊)が主役だった。第1話の最後で恵理は33歳の自分(蓮佛美沙子)に若返ってしまうので、第2話には吉田羊はほとんど登場しない。ドラマの冒頭、蓮佛美沙子の「はぁ?」が吉田羊の「はぁ?」にしか見えなかった。女優ってすごいなあ。

第2話は、女性の年齢と容姿、そしてセックスと妊娠をめぐる物語だった。いや、正しくは女性を取り囲む男側世界の話である。

妻の見た目が10歳若返って戸惑う夫の宏之(平原テツ)。監督(稲垣吾郎)のインタビューに対しても「若くなったから嬉しいってわけではない」と答える(実際は嬉しそうなのだが)。宏之に「逆にどうですか」と問われて監督は考え込むが、とても47歳に見えない美貌を保つ稲垣吾郎には愚問だろう。彼にとって、若くて美しいことは当たり前なのだから。彼はどこか高いところから、このコンプレックスまみれの世界を観察しているのかもしれない。

話を戻そう。33歳の頃の恵理は、前夫の健司(橋本淳)と別れても、すぐに宏之と出会うことができて、即座にセックスする。33歳の恵理は、自分の意思(希望)が男側の世界に受容されやすい。若くて、見た目が良くて、経済的にも精神的にも自立している女は、男にとって非常に魅力的な存在である。

一方、33歳の見た目を持っているのに44歳の恵理に対して、男側の世界は複雑な態度を示す。若い根木(木村達成)は露骨にアプローチしてくるが、宏之は欲情するものの、恵理に「怖さ」を感じてセックスができない。男性の自慰の後の丸めたティッシュをこんなに露骨に表現したドラマも初めて見た(『毎度おさわがせします』にはあったかもしれないが)。

話は23歳の恵理(小野花梨)にまで遡る。恵理は付き合いたての健司(須賀健太)の子を妊娠したが、健司は「もったいない」と言って堕胎させる。手術を受けて泣きじゃくる恵理。23歳の女性の意思は、男側の世界に受け入れられない。

後に健司は道端で野垂れ死ぬが、前の夫の死を知った33歳の恵理が出会ったばかりの宏之とセックスしながら泣くというすごいシーンがあった。人間の生と死の際が表現されていたように思う。

恵理はインタビューで独立して仕事に集中しようとしたきっかけについて語るとき、「(子どもを)作らなかったから」と言いかけて「できなかったから」と言い直している。恵理が独立したのは健司と結婚しているときだから、宏之とのことも年齢のことも関係ない。きっと堕胎手術が何らかの影響を及ぼしているのだろう。健司があっさり死んだのは、小さな命を粗末にしたから、その後の妊娠の希望を断ち切ってしまったからなのかもしれない。

44歳の恵理は、自分を恐れる夫に、いや男側の社会に怒りをぶつける。

「女が年とったらグダグダ言うくせに? 若い子見る目とか、年とった女見る目とか、そういう、あんたら側が作ってきたそういうの、いざ若くなったら拒否とか何なの!」

「あんたら側」とは「男側」という意味である。女は若くて美しいほうがいい、若い女が子育てするのは無理がある、自立した女は魅力的だ、年をとった女とはセックスできない――どれも男側の世界の理屈である。恵理(と世界の多くの女性)はそれに翻弄されながら生きてきた。蓮佛美沙子の怒りの演技に第1話の吉田羊が乗っているから、より深く響く。

男側の世界へのあてつけのようにどんどん見た目が若返っていく恵理。はたして第3話以降、どのように展開していくのか。まだまだ目が離せない。

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