『ザ・スイッチ』の「6つ」の魅力を徹底解説!最先端のLGBTQ+への向き合い方とは?
2:中身が女子高生のおじさんに萌え萌え!
本作で誰もが絶賛するのは、「中身が女子高生のおじさんが超可愛い」ということなのではないでしょうか。ひとつひとつの事態にテンパって、乙女な走り方をして、時には無邪気にはしゃいだり喜んだりする、そんなおじさんの姿にMOE☆MOEになれるのです。
そのおじさん萌え〜となれるのは、もちろん俳優の力の賜物。『インターンシップ』や『ブルータル・ジャスティス』など、コメディからハードなバイオレンスアクションものまで幅広くこなす実力派俳優のヴィンス・ヴォーンが、全身全霊で「中身が女子高生のおじさん」を演じ切っており、「中身が殺人鬼の時」の演技の時からの「切り替え」の瞬間も見事。その「同じ人には思えない」ほどの熱演っぷりだけでも、本作は観る価値があるでしょう。
この「中身が女子高生のおじさん」という設定で多くの方が思い出すのは、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』でジャック・ブラックが中身がSNS依存の女子高生になっていたことでしょう。こちらも言うまでもなく超可愛かったので、他の有名俳優でもこのパターンを観たくなりました。
話が少しズレますが、筆者は「男性から特に人気のあるカルチャーを萌え美少女キャラをもって描く」作品群に、それはそれでもちろん良いし好きなことを前提として、少し疑問も持っていました。「いや、キャラを美少女にしなくても、おじさんのままでもじゅうぶん萌えるのでは?」と。そんな自分に、この『ザ・スイッチ』のヴィンス・ヴォーンや『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のジャック・ブラックは、「3次元のおじさんでも中身が可愛ければやっぱり本気で超可愛い」ことをはっきりと教えてくれました。ありがとうと、今一度感謝を申し上げたいのです。現実でも、みんながもっとおじさんを可愛いと思うようになれば、きっと世界は平和になると思います。
そして、もう1人の主人公である女子高生のミリーを演じたのは、『スリー・ビルボード』や『名探偵ピカチュウ』で知られるキャスリン・ニュートン。彼女もまた、「引っ込み思案な普通の女子高生」と「殺意に満ち満ちている殺人鬼」を切り替えるという熱演を見せていました。スター街道を驀進中の彼女が、俳優としての実力でこそ評価を得ているということを実感できるでしょう。
さらに他キャストで見逃してはならないのは、イヤな性格の教師役に1986年のジョン・ヒューズ監督の青春映画『フェリスはある朝突然に』のメインキャストであるアラン・ラックを起用していること。クリストファー・ランドン監督はジョン・ヒューズ作品の大ファンであり、これまでの監督作にもそのエッセンスを取り入れてきたそうで、後述する「友情もの」「青春もの」の作家性を思えばそれは存分に納得できるものでした。正直「リスペクトしているんだったら悪役にすることはないだろ〜」とも思わなくはないですが、当のアラン・ラックはノリノリで楽しそうにそのイヤな役を演じていたそうなので、それで良いのでしょう。
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