『ザ・スイッチ』の「6つ」の魅力を徹底解説!最先端のLGBTQ+への向き合い方とは?
6:主人公の成長と自己肯定の物語にも感動!
本作は、物語の発端からして「警察から追われる見た目が不潔な殺人鬼となってしまう」という、キャッチコピー通りの史上最悪の入れ替わりが描かれるわけですが、その後に主人公が「本当の自分」を知っていく過程にもまた、大きな感動がありました。
主人公は父を亡くしており、母は精神的に不安定で、警察官との姉ともうまくいかずに、家庭崩壊寸前。彼女はずっとそのことを気に病んでいて、親友2人にも「本当の自分」をさらけ出せなかった。だけど、皮肉にも彼女は物理的に強いおじさん殺人鬼になったことで、気兼ねなしに本当の自分を見せるようになっていきます。そして、最終的には「あなたの『中身』が素晴らしいんだよ」と言ってくれる……そんな「自己肯定」の物語になっていくのです。
これもまた、クリストファー・ランドン監督による、ホラー映画へのカウンターでもあります。監督は「スラッシャー(ホラー)映画の多くには、キャラクターにパーソナルな物語がなく、彼らのことを気にする余地がない。だから、それを現代化したかった、ただ叫んで走り回って殺されるだけじゃないものを作りたかった」という気概もあったと語っているのですから。主人公が自分自身について学んでいき、新たな一面を見つけ、そして自分自身を救うというのも、『ハッピー・デス・デイ』から引き継がれた感動および面白さなのです。
そして、劇中では親友の力も大いに借りている主人公が、最終的には監督の言うところの「自力で対処できるから、他の誰かに助けてもらうということはない」までに成長するというのも、また感動的でした。そして、家族との不和にも決着をつけ(特に「試着室」のシーンは泣ける!)、そして自己肯定感を持ち、精神的にも物理的にも強くなるというカタルシス!『ザ・スイッチ』は表向きには人がいっぱいグロく死んじゃう不謹慎なホラーなのに、こんなにも人生に役立つ、勇気をもらえる映画になっていたのです。
(文:ヒナタカ)
参考記事:
『大草原の小さな家』お父さん役俳優の息子はホラー映画監督になっていた! ホラーは「父の影響」 /2021年4月4日 - 映画 - インタビュー - クランクイン!
【インタビュー】『ザ・スイッチ』には『ハッピー・デス・デイ』との共通点アリ ─ 監督に聞いたウラ情報 | THE RIVER
"Freaky" Star Misha Osherovich Talks Nonbinary Identity and Their Past in the Troubled Teen Industry | them. (英語記事)
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