<ただ離婚してないだけ>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第5話ストーリー&レビュー
第5話ストーリー
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正隆(北山宏光)は不倫相手の萌(萩原みのり)を殺したことを自覚し、涙が止まらなくなる。雪映(中村ゆり)は、そんな正隆を励ますと共に、妊娠したことを告げる。正隆と雪映の夫婦の間には、萌を殺めたことにより異質な絆が芽生える――。そんな折、萌がいなくなったことにより、騒ぎが起きていないか心配になった正隆は、様子を窺おうと客のフリをして萌が働いていたガールズバーを訪れるが――!?
第5話レビュー
八方塞がりの状況に追い込まれて、やっと感情をぶつけ合えた正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)。これまで冒頭のナレーションは正隆の声だったが、今回は雪映に。母となる彼女の、強さが見えはじめる合図だろうか。
朝、食卓を囲む雪映は「何もなかったの。この家で悪いことは何も」と口にする。正隆に諭すように、自分に言い聞かせるように。この人は、すべてを背負って、お腹の子どもを守ると決めたのだろう。
それに対して大きな反応は見せない正隆だったが、仕事へ向かう雪映を送りに出てくる。こんな状況になって雪映に依存しているならそれはちょっとずるいぞと思いつつ、1人でイライラしている正隆は見ていられなかったし、こうやってコミュニケーションをとれるようになったことは進歩だ。
仕事終わり、自身の妹の家に立ち寄った雪映は、妹から離婚を勧められる。子どもができたからやり直せる、と反論するが、妹は「子どもがいれば何とかなると思ってる?」と完全に呆れ顔だ。彼女には子どもがいて、実際に子育てをしているからこそ言える言葉だろう。「何かあってからじゃ遅いんだよ」と妹は言ったが、たぶんもう、何もかもが遅い。雪映にどれほど深く突き刺さったことか。
一方で、不穏な動きを見せるのは、ヤクザの仁科(杉本哲太)だ。萌(萩原みのり)が勤めていたガールズバーのオーナー・佐野(深水元基)にお金を貸しているが、店の経営状況は芳しくない。「搾り取れるものは搾り取った方が得する」と唸るように言う杉本哲太が怖すぎる…。
そんな発言がされていることには気づかないまでも、やばい奴から借金をしている自覚はあるはずの佐野も、この状況に苛立っていた。売り上げも悪いし、付き合っていた女も忽然と消えてしまったのだ。この人の素行だってどう考えても褒められたものではないけれど、なかなかツイてない。
そこへ、萌の弟の創甫(北川拓実)が乗り込んでくる。姉ちゃんはどこだと詰め寄る創甫に、当然ながら俺も知らないとキレる佐野。やりとりを見ていたバイトのほのか(大原優乃)は、萌が妻帯者と不倫をしていたことをぺらぺらと喋ってしまう。そんなこと、お金に困っている男の前で言わないで…と、弁護のしようもない正隆を守りたい気持ちが湧いてきてしまった(なぜだ)。
正隆や雪映の存在がバレなければいいのに、と思ったが、そんな虫のいい話があるわけがない。
まず忍び寄ってくる陰に気付いたのは雪映。健診に訪れた産婦人科で、萌を探しにやってきた創甫と鉢合わせてしまった。態度こそ最悪だが、萌を探す必死な様子からお姉ちゃんを大事に思っていたことが伝わってくる。きっと、長い間黙って家を空けるなんてこと、萌はしなかったんだろうな。もちろん向こうは気づいていないが、“夏川萌”という名前を口にする創甫を見、雪映はどんどん顔面蒼白に。生きた心地なんかしなかっただろう。早く逃げて…! と、心の中で叫んでしまった。
同じ頃、自宅で事件にまつわるルポルタージュか何かを執筆していた正隆は、気が動転して110番をしかける。こんな状況で、この人は何を好き好んで犯罪系の記事を書いているんだろう、という気持ちは置いておいて、警察への電話を思いとどまらせたのは雪映と幸せの絶頂にあったあの場面。もう何度ヤラれたか分からない、北山宏光の優しい笑顔がまぶしい「結婚しよう」だ。微笑んで頷く雪映を守りたいのなら、頼むからしっかりしてほしい。過去を思い出し、ちゃんとせねばという思いがあったのだろう。創甫と遭遇して気が動転した雪映「大丈夫、俺がいるよ」と小さい声でいたわる。…うん、自分もかなりメンタルやばいはずなのに、よく言えたもんだ。
雪映から、萌のことを探してる人のことを考えてしまったと聞いた正隆は、思い出したように、萌の所持品を確認する。正直、まだそんなもの持っていたのか…という気もするが、電源を入れたスマートフォンの待ち受けは、萌と正隆の2ショット。うかつに捨てることもできなかったのだろう。そこにはほのかや創甫、もちろん佐野からも大量の連絡がきていた。
そして、何を思ったか変装のようなものをして街に繰り出す正隆。こんな時に、雪映のことを1人にしないでほしいんだけど…。
佐野と創甫の萌探しもまだまだ続く。
萌と創甫が暮らす家にやってきた佐野は、がちゃがちゃと部屋をあさりはじめた。そこで、萌が正隆の家に無言電話をかけていた時に見ていたメモが見つかってしまう。ご丁寧に、名前と電話番号が書いてある。考えうる中でも1、2を争うレベルで最悪な状況だ。
正隆は、なぜか萌が働いていたガールズバーを訪れる。何か考えがあるのかもしれないけど、それにしたって挙動もおかしいし、正隆が何をしたいのか全然分からない。様子を探りたかったのかもしれないが、萌に聞いてこの店に来たと口走ってしまった挙句、ほのかのペースに乗せられてLINEの交換までしてしまう。登録名は、しっかり“柿野正隆”のまま。気が動転してたとはいえ、あまりにもお粗末な行動だ。
その時、もちろん家には雪映だけ。鳴り響く固定電話に、絶対出ないで…! という思いも通じるわけはなく、仕事帰りで落ち着かぬままの雪映はそうとは知らず電話に出てしまう。
相手は案の定佐野だった。いわく、萌が正隆にボロボロにして捨てられたことで迷惑をこうむっているから500万円を慰謝料として支払えと言う。取り乱した雪映は、自分が教師であるかのようなことまでほのめかしてしまう。こちらも気が動転していたとはいえ、夫婦そろってすぐに墓穴を掘りがちでは…。
雪映との通話を終えた佐野は、店に戻って来る。当然そこには挙動不審の正隆がいる。また萌はいないのか、と萌に電話をすると正隆のポケットの中で振動する萌のスマホ。じっとりと舐めるような佐野の目線に、見ているこちらまで息が詰まりそうになる。さらに正隆のもとへ雪映から「脅迫の電話があった。柿野って名前まで知っていた」と連絡が入る。慌てて帰ろうとする正隆の背に向かって、ほのかは「また来てくださいね、柿野さん」と笑顔だ。完全に、万事休す。
自分たちの行動が、より事態を悪化させているようにも見えた第5話。じわじわと、大きな蛇にでも締め上げられているような感覚だった。
それにしてもほのかは、正隆のことをどこまで把握していたんだろうか。1番怖いのはこの子なのではという気がしてしまった(可愛いけど)。
絶体絶命の展開、次回はもっと息ができなくなりそうだ。
※この記事は「ただ離婚してないだけ」の各話を1つにまとめたものです。
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