映画コラム

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2021年08月20日

『猫の恩返し』が公開された2002年、こんな時代だった

『猫の恩返し』が公開された2002年、こんな時代だった


2002年の音楽は2強の歌姫(notマクロス・フロンティア)

2002年といえば、初代iPhoneが発売される5年前だ。iPodはギリギリ第1世代が登場しているが「持ち運ぶ音楽」としては未だCD・MDが主流だった。



この年の音楽は、表通りだと浜崎あゆみ、宇多田ヒカルの2強だった。オリコンの年間シングルヒットチャートを参考にしてみると、1位は浜崎あゆみの「HANABI」、「independent」、「July 1st」からなる3曲A面シングルで、2位には宇多田ヒカルの「Travelling」がチャートイン。3位には元ちとせ「ワダツミの木」が付けている。

女性陣強しだが、4位にはDragon Ashの「Life goes on」、5位にはGLAYの「Way of Difference」がランクインしている。桑田佳祐も「東京」で11位につけ、チャート常連のMr.Childrenは「君が好き」で12位、B'zも「熱き鼓動の果て」で14位と健闘している。

ちなみに、ドラマの項でも登場したEGO-WRAPPIN'は、「~Midnight Dejavu~ 色彩のブルース」で61位に昇りつめており、100位までの面子を見ても結構異色だ。本シングルはライブ音源を含めて全5曲が入っていて、なかでも「かつて..。」のライブバージョンはEGO-WRAPPIN'史上最高峰の音源と言っても言い過ぎではないだろう。

ここで正直に告白すると、筆者はこの頃のヒットチャートは全く追っていない。今からおそらく1000人が読んだとして2人くらいしか伝わらない情報を書くが、60〜80年代ガレージ、マージービートにホットロッド、ネオロカ・サイコビリーに傾倒しており、ついでにSTIFFレコードをコレクションしているような人間だった。

よって当時メインで流行っていた音楽と、その空気感を表現するのは少々難しい。のだが、2002年のライジングサンに行っている。このラインナップがまさに2002年なので、これを突破口としたい。

2002年のライジングサン初日、8月16日のSUNステージにはオープニングアクトのDragon Ashを皮切りに、KICK THE CAN CREW、SNAIL RAMP、山嵐、モンゴル800、THE HIGH-LOWSがラインナップされていた。

他にもガガガSPにSHAKA LABBITS、HERMANN H.&THE PACEMAKERS、RIZE、KEMURI、たま、キセルも出ている。懐かしすぎるだろう。

上記豪華な面子のなかでも、筆者が最も記憶しているのは遠藤ミチロウ&中村達也のTOUCH-MEとTHE TRAVELLERSなのは如何に好事家であろうとどうかと思うのだが、それにしたっていずれも素晴らしいライブだったし、THE HIGH-LOWSでヒロトはやっぱり脱いだ。

2日目のSUNステージのオープニングアクトは奥田民生。この時点で最高だが、筆者は同時刻に行われたTHE NEATBEATSに行っている。今思えばニートは新宿あたりで見ても良かったんじゃないかと思うのだが後の祭りである。

メインステージアクトを補足すると、BACK DROP BOMB、Dry & Heavy、東京スカパラダイスオーケストラ、TOKYO No.1 SOUL SET、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、井上陽水、忌野清志郎&矢野顕子、THE MAD CAPSULE MARKETS、JUDE、GOING STEADY、EGO-WRAPPIN'、ゆらゆら帝、WRENCH、THE BOOMである。一つも抜けないので全部書きだしてしまった。これだけでも当たり年なのがおわかりいただけると思う。

ミッシェルの出番はちょうど日が落ちるか落ちないかくらいで、「ドロップ」のイントロが流れた際に感動して死にそうになったし、JUDEの時はベンジーっぽいシャツ1枚で参戦したため寒さで死にそうになった(夏の石狩は夜になるとマジで寒い)。そういえば、JUDEで浅井健一、TOUCH-ME・LOSALIOSで中村達也、ROOSOで照井利幸が来ていたので「もしかしたら、ブランキーやるんじゃ……(願望)」とちょっとした話題になっていた。

結局ブランキー再結成事件は無かったが、夜にはスカパラとロッソとトラベラーズをバックにしたようなバンドで、おそらく泥酔状態のチバユウスケが「Light My Fire」を歌っていた(もしかしたら、曲間で叫んでいただけかもしれないが)。完全に客と化した向井秀徳は人のテントで飯を食い、至るところで弾き語りを披露していた。プログラムには載らない楽しさが盛り沢山だった。

面白すぎる向井秀徳はさておき、メインステージ以外にもデキシード・ザ・エモンズとKING BROTHERSを並べるセンスの良さは流石だし、CRAZY KEN BANDやTHA BLUE HERBなどもよく覚えている。斉藤和義も元ちとせもUAも山弦も、TAKKYU ISHINOも、売れてる / 売れてない関わらず、ジャンルを飛び越えた豪華なラインナップは、おそらく今では不可能とまでは言わないまでも、かなり難しいのではないか。「皆さん! こんなアーティスト集めましたよ」ではなく「集まっちゃった」感じが良い。

完全な思い出話で恐縮だが、よくよく考えると、ライジングサン1つとっても『青い春』で楽曲を提供したTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、シングル売上年間3位を達成した元ちとせ、『私立探偵 濱マイク』のオープニングを担当したEGO-WRAPPIN'などなど、まさに2002年である。

ちなみに苗場の方に目を向けてみると、日本人アーティストはライジングサンと結構重複している。それ以外ではChar、BRAHMAN、V∞REDOMS、四人囃子、SUPERCAR、Rhymester、CORNELIUS、THE BACK HORN、少年ナイフ、Going Steady、曽我部恵一、Ska Flames、Polari、渋さ知らズオーケストラなど多数出演しており、これまたジャンル問わず豪華な面子だろう。今となってはフジロックに行けば良かったと思う。

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