<アバランチ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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日本版CIA創立を目論む大山(渡部篤郎)によって、テロリスト集団に仕立て上げられたアバランチ。羽生(綾野剛)は主犯格として指名手配犯にされ、打本(田中要次)は一般市民を救うために犠牲となった。さらに、暗躍していた桐島(山中崇)の正体をも見破った大山は、それでもなお正義の灯を消そうとしない山守(木村佳乃)のもとに、ある人物を連れてくる。それは、3年前に偽装テロ事件で命を落としたはずの藤田(駿河太郎)だった――! 驚きのあまり言葉が出ない山守に、藤田は…。
その頃、桐島の手引きで極東リサーチから逃げ延びた羽生は、アバランチの後ろ盾である大道寺(品川徹)の屋敷にいた。大山に完敗したことを認め、もう一度立ち上がろうとする羽生は、藤田が生きていることを知ると…。
第9話のレビュー
今回、出演シーンはないのに大山の存在感ときたら……まさにラスボスである。
3年前の偽装テロ事件で亡くなっていたと思われていた藤田が、山守たちの前に現れた。
「全部お前のために」と桐島が言っていたけれど、そのとおり……。藤田が生きていると分かっていれば、山守はアバランチを結成することもなかっただろう。
そして藤田はいま、大山のもとで、極東リサーチのメンバーとして動いていた。藤田は大山の「正義」に賛同したということなのだろう。
羽生はテロリストとして指名手配。アバランチの後ろ盾だった大道寺は逮捕される。
もうアバランチはおしまいだ、と思うが、誰もまだ諦めていないのはその表情でわかる。しかし、山守としては自分が巻き込んでしまった責任もあるのだろう。どうにかして仲間を守ろうと頭を悩ませる。しかし、やめろと言われて「はい、そうですか」と引き下がるようなら、そもそもみなメンバーには加わっていない。
西城だって一緒だ。山守に手を引くよう言われるが、独自に動き出す。週刊誌記者の遠山と接触し、極東リサーチについて暴こうとし始めたのだ。
やはり、極東リサーチに所属しているのはかつて警察官や自衛隊員に所属していた人間らしい。
それを署内のパソコンとネットワークを使って調べている西城、大丈夫かなと少し不安になるが……彼も目をつけられているはずなんだが。
西城はともかく、遠山は大山側にバレれば危険ではないか。でも、西城の熱くなるところ、真っすぐなところが突破口になるかもしれない、と信じたい。
そして9話は綾野剛に圧倒された。1話から一貫して、「羽生」という役は綾野剛にしか演じられない、と思わせられるが、今回は特にすごかった。
藤田が生きていると知らされたときのその表情の動き。藤田を失ったと知った3年前から、今までのあらゆる感情が言葉ではなく表情で表されていた。こんなにも人間の表情とは雄弁なのか、と思い知らされる。
だからこそ、9話ラストでの羽生と藤田の対峙は辛い。大山の正義は受け入れられない羽生。なら、今の藤田が取るべき選択肢はひとつだ。羽生にむかって、迷いない発砲。それでも、少しだけ期待してしまう。本当は羽生たちの味方ではないのか、と。
大山のたくらみも、ある人たちから見れば正義だ。最終的に、社会にとってプラスになるのは大山の正義かもしれない。しかし、その正義の実現のために誰かの命が奪われてもいいのか。視聴者の正義もまた、試されているような気がする。
来週、最終回。本当に決着はつくのか。
※この記事は「アバランチ」の各話を1つにまとめたものです。
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