『そして、バトンは渡された』原作と映画、3つの異なる魅力
梨花の死:ある意味で裏切られた、”どちらにしても”衝撃の結末
映画ではすでに病死してしまった設定になっている梨花。
ここは、原作を読んで非常に驚いた。梨花は、死んでいなかったのだ。
早瀬くんとの結婚にあたり、泉ヶ原さんや水戸さんをはじめ、梨花ともなんとかしてアポイントを取る優子。そこで、梨花はすでに亡くなっていることを知る。
原作では、病弱になっている梨花は描かれているものの、結婚式にも出席し優子の花嫁姿も無事見送ることができている。
映画を先に観ていたため、「え、梨花はどのタイミングで亡くなってしまうんだろう」と原作をソワソワ読み進めているうちに何事もなくハッピーエンドで締めくくられたので、正直なところ少し呆気にとられてしまった。
後々考えると、亡くなるタイミングによっては映画以上に悲しくなってしまうので、原作の展開は確かによかったのかもしれない。
どちらが正解だったのかは、わからない。
ただ、映画化にあたり”すでに亡くなっている”設定にしたことは、大衆に向けた作品の在り方として当然だとは思う。
また、映画では梨花は"子供が産めない身体"という設定になっていたが、原作ではそのような描写はなかった。
時間が限られている映画という世界で、梨花の優子への並外れた愛情を表現する描写として最適解だったのではないだろうか。
そして、バトンは渡された:それぞれの楽しみ方の最良とは
原作の情報量が多いからこそ、空っぽの状態でまず映画を味わい、脳内で組み立てられている骨組みに少しずつ装飾を施すような感覚で原作に向かい合うことが、原作「そして、バトンは渡された」と、映画『そして、バトンは渡された』の最大の楽しみ方であることを、勝手ながらここに証明する。
(文:桐本絵梨花)
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