2021年「魅力的な映画ポスター」ベストテンを独断で大発表!

第6位『グレタ ひとりぼっちの挑戦』


(C)2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.

グレタ・トゥーンベリと聞いてあなたは何を思い浮かべるであろうか?

あなたが思い浮かべたそのイメージをポスター全体を使って表している。スウェーデンカラーである水色と黄色のコントラストに、グレタ・トゥーンベリの姿。そして、雨のように降り注ぐ文字の一番大きいパートを読むと、彼女のイメージが出来上がる。しかし、本作は彼女の内面に迫ったドキュメンタリー。表層的な認知から、深層レベルに導くドキュメンタリーである。細かい雨のような部分に描かれた彼女の長いメッセージが、この映画の目的を伝えている。クリエイティブながらも本質に迫ったポスターと言えよう。

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日本公開日/2021年10月22日

監督/ネイサン・グロスマン

出演/グレタ・トゥーンベリ、スヴァンテ・トゥーンベリ、アントニオ・グテーレス

第5位『ほんとうのピノッキオ』


copyright 2019 (C)ARCHIMEDE SRL - LE PACTE SASLE PACTE SAS

薄暗い背景に突如侵入する肌色の線。その正体を辿ると、木の人形が何か言いたげな表情をしている。「ピノッキオの冒険」の映画化であることが分かると同時に、不気味の谷の住民のような気持ち悪い造形に好奇心がくすぐられることでしょう。

日本の映画ポスターでは背景を工夫することがよくある。アレサ・フランクリンの伝記映画『リスペクト』を例にする。海外版ポスターでは暗闇の中スポットライト がチラつくデザインであったり、背景が緑色のものだったりするが、日本版ポスターでは豪華絢爛な背景が用意されている。

『ほんとうのピノッキオ』の場合、背景を暗めの色彩にすることで、ピノッキオの存在感を強めた。また、画を分割するように、鼻をフレームいっぱい捉えることでより一層不気味さが増す。構図は変えずとも、大胆な工夫によって映画の魅力を伝えたいい例と言える。

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日本公開日/2021年11月5日

監督/マッテオ・ガローネ

出演/ロベルト・ベニーニ、フェデリコ・エラピ、マリーヌ・ヴァクト

第4位『ヴィム・ヴェンダースレトロスペクティブROAD MOVIES/夢の涯てまでも』


(C) Wim Wenders Stiftung 2014

2021年は『ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ』や『ジム・ジャームッシュ レトロスペクティブ2021』といった旧作企画が充実していた。いずれもポスターに力が入っており、観賞意欲をかき立てられるものがあった。その中でも群を抜いて良かったポスターが『ヴィム・ヴェンダースレトロスペクティブROAD MOVIES/夢の涯てまでも』だ。

『アメリカの友人』のシーンを2枚並べたシンプルな作りであるが、広大な大地を独占する快感と旅先で起こるトラブルの魅力が伝わってくる。2020年から世界は新型コロナウイルスが蔓延し、海外旅行ができなくなってしまった。旅への渇望を癒すように、ロードムービーの魅力を伝える。ヴィム・ヴェンダース映画の中から最も夢の涯てまで誘う画を見つけ、シンプルに提示した力強さがあった。

日本公開日/2021年11月5日

監督/ヴィム・ヴェンダース

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