幻のスピンオフシリーズ「マーベル・ワンショット」の魅力
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次々と配信されるマーベル・スタジオの新作ドラマシリーズや、劇場で公開されるシリーズの最新作に追いつくのが大変になったファンの方々もいるのではないだろうか。
そんな方々にこそオススメしたいのが、知る人ぞ知るマーベルの短編映画シリーズ「マーベル・ワンショット」。
この記事では、ディズニープラスでの配信もスタートした、ファン垂涎の隠れた短編映画シリーズの魅力を紹介していきたい。
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マーベル・ワンショットとは?
マーベル・ワンショットとはシリーズの脇役などをメインに、彼らの知られざる秘話を描いた作品群。マーベル映画の特典映像として収録され、のちのスピンオフドラマを生み出すきっかけとなったシリーズ初期の実験的試みでもある。
『エージェント・オブ・シールド』や『エージェント・カーター』など、このシリーズを基にしたドラマが作られた影響もあってか、近年は新作が発表されていない。
一方でNetflixのドラマシリーズや、ディズニープラスでのオリジナル配信ドラマなどに先駆け、マーベル映画の世界観を広げたという点で、多大な功績を残したシリーズと言えるだろう。
では、マーベル・ワンショットとは、どのような作品群なのだろうか。
続いて、Disney+ (ディズニープラス)
『相談役』(2011年)
『相談役』は、記念すべきシリーズの第1作となった『アイアンマン』と続く第2作『インクレディブル・ハルク』の間に起きた秘話を描いた作品である。
秘密諜報機関シールドに所属するスパイ・コールソンとシットウィルが、ダイナーで相談事をするワンシチュエーション会話劇。
過去作の映像も用いながら、シリーズを代表するオールスター映画『アベンジャーズ』に繋がるある計画が描かれている。
>>>Disney+ (ディズニープラス) で『相談役』を観る
『ハンマー墜落現場へ向かう途中での出来事』(2011年)
『ハンマー墜落現場へ向かう途中での出来事』は『アイアンマン2』のエンドクレジット後映像と『マイティ・ソー』の序盤に繋がるアクション短編である。
秘密諜報機関シールドのスパイ・コールソンを主役に、アメリカ・ニューメキシコ州に向かう道中の思わぬ大活躍を描く。
前作『相談役』に続いて、コールソンの活躍を描いている。これらの会話劇とアクションが引き継がれ、諜報員たちの活躍を描くスピンオフドラマ『エージェント・オブ・シールド』が制作されることになる。
>>>Disney+ (ディズニープラス) で『ハンマー墜落現場へ向かう途中での出来事』を観る
『アイテム47』(2012年)
『アイテム47』は『アベンジャーズ』でのNY決戦後、宇宙人たちが破壊した街を舞台に一般人が思わぬ事態に巻き込まれるエピソード。
謎の宇宙人“チタウリ”が残した武器を使い、犯罪に手を染める男女の前に秘密諜報機関・シールドが現れることになる。
同じく、NY決戦後の街でシールドが後処理を担当する『エージェント・オブ・シールド』シーズン1や、『スパイダーマン:ホームカミング』の悪役・ヴァルチャーの背景にも重なるような物語は、今観るとより興味深いかもしれない。
>>>Disney+ (ディズニープラス) で『アイテム47』を観る
『エージェント・カーター』(2013年)
『エージェント・カーター』は『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の戦うヒロイン・エージェント・カーターの後日談を描いたスピンオフである。
秘密諜報機関・シールドの前身となる組織・SSR(戦略科学予備軍)で働く彼女の活躍を描き、シリーズで初めて女性キャラクターが主役になった記念すべき作品ともいえる。
のちに、この物語の続編となるドラマシリーズ『エージェント・カーター』が制作され、2シーズンが放送(本作でもドラマ版のテーマソングが使われている)。
『エージェント・オブ・シールド』のファイナルシーズンや、シリーズの一区切りとなった『アベンジャーズ/エンドゲーム』、初のアニメシリーズ『ホワット・イフ...?』でも、その活躍がフォーカスされることになるなど、本作も後押しとなり、エージェント・カーターはシリーズの人気キャラクターとなった。
>>>Disney+ (ディズニープラス)
『王は俺だ』(2014年)
『王は俺だ』は『アイアンマン3』に登場した売れない役者“トレヴァー”のその後を描いたスピンオフ短編である。
『アイアンマン』シリーズのファンにはたまらないサプライズキャラクターが登場し、80~90年代のスパイ物を彷彿とさせるエンドクレジットに至るまで、随所に遊び心の溢れる一作。
『アイアンマン3』で一部のファンから不評をくらってしまったある設定を見事に覆し、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』へと繋がる思わぬ布石にもなったファン必見の短編だ。
>>>Disney+ (ディズニープラス)
『“チーム・ソー”結成』(2016年)『帰ってきた“チーム・ソー”』(2016年)『“チーム・ソー”のその後……』(2017年)
『“チーム・ソー”結成』『帰ってきた“チーム・ソー”』『“チーム・ソー”のその後……』は、第92回アカデミー賞で6部門にノミネートされた『ジョジョ・ラビット』の監督として、世界に名を知らしめたタイカ・ワイティティ監督によるシュールコメディであり、シリーズ初の連作となった。
『マイティ・ソー バトルロワイヤル』のメガホンを執った監督が、作品の公開前に発表したテストフィルム的な立ち位置(そのため、発表時はマーベル・ワンショットの括りでもなかった)というのもあり、作家性が光るシュールな世界観でヒーロー・ソーの一味違う側面を見ることができる。
物語の舞台は、ヒーローチーム・アベンジャーズが内戦を繰り広げた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の裏側。
メンバーから仲間外れになってしまったソーとハルクの哀愁漂う会話や、地球の一般会社員・ダリルと共同生活を送ることになったソーのゆるい私生活が描かれている。
実を言うと、本作の内容そのものは正統なシリーズ作品とは矛盾点(『マイティ・ソー バトルロワイヤル』と話が繋がらないなど)があり、他作品とは異なるパラレル設定の物語とみられる。
一方で過去の短編史上、最も監督の個性が出た作品ともいえるため、タイカ・ワイティティ監督のフィルモグラフィーの1つとしても重要な作品と言えるだろう。
ちなみに、登場人物・ダリルには実際のtwitterアカウントがあり、過去に投稿されたソーのバースデービデオでは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』後の彼の様子が明かされている。
で『“チーム・ソー”結成』『帰ってきた“チーム・ソー”』『“チーム・ソー”のその後……』を観るHappy Birthday @Thor ?⚡️Sorry it’s late but I’m working weekends since “The Snap” ? pic.twitter.com/SEiWIOMdH4
— Daley Pearson (@Daley_Pearson) August 13, 2018
マーベルファンにはたまらない脇役キャラクターたちの活躍や、ヒーローたちの思わぬドラマを描いた「マーベル・ワンショット」。
改めて、マーベル映画を楽しみたいファンの方々はもちろん、短時間でシリーズの空気感を味わってみたい初心者の方にこそ観てほしいのが、この作品群と言える。
わずかな時間でも浸ることのできる世界観には、今後も広がるマーベル作品の真髄が垣間見えるのだ。
(文:大矢哲紀)
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