『オードリー・ヘプバーン』が現代の若者に刺さる「4つ」の理由
4:父や夫から裏切られた過去
©️Sean Hepburn Ferrer
映画の中の華やかなオードリーとは一転して、プライベートでは心に深い傷を負うような暗くて悲しい経験をしている。
オードリーの心の傷は、幼少期に両親の離婚により父親が家を出て行ってしまったことから始まる。
父親から「愛されてもらえなかった」傷はオードリーの心に深く残り、オードリーの1人目の夫となる俳優メル・ファーラーと結婚しても、14年後に離婚してしまう。
そしてメルと離婚後はまもなく2人目の夫・医師アンドレア・ドッティと結婚。だが彼は、結婚後も女性との噂が後を絶たず、数年後に2人は離婚する。
大切な人から何度も裏切られてきたオードリーは、いつも愛を求めていたという。多くの人から愛されているのに、大事な人からは愛してもらえなかったオードリー。寂しさや悲しさを隠しながらカメラの前に立ってきたのだ。
心の傷を愛に変化させたオードリー
©️Sean Hepburn Ferrer
映画『オードリー・ヘプバーン』を観て最も印象に残ったのは、オードリーのユニセフでの活動である。
オードリーは1988年にユニセフ親善大使に就任。以後、亡くなるまでの4年間、食料危機に陥っていたエチオピアやソマリアをはじめ、世界十数カ国をめぐり、劣悪な環境で過ごしている子どもたちの現状を世界に発信し続けたのだ。
作品に登場するユニセフの写真家のジョン・アイザックはオードリーに対し「彼女自身は愛を求めて苦しんでいた。だからこそ愛を重んじていたんだろう」と述べている。
そしてオードリーが貧しい子どもたちのために行動を続けた理由のひとつは、自分も幼少期に戦争で栄養失調に陥り、ユニセフに助けられたためだと映画の中で語られていた。
両親の離婚に加え、戦争まで経験している彼女がどんな想いで幼少期の悲しみを乗り越えてきたかはわからない。だがオードリーは、幼少期の辛い経験があるから、小さくて弱い子どもたちに寄り添い、代弁し続けてきたのだと思う。
映画スターとしてはもちろん、1人の人間としてオードリーに畏敬の念を抱いた。
半世紀以上色褪せない、スクリーンに映るオードリー
©️Sean Hepburn Ferrer
ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』では、本記事で紹介してきた彼女の過去をアーカイブ映像とともに紹介している。
オードリーが出演した過去作品の舞台裏を、本人の肉声や関係者へのインタビューで振り返っているので、もう一度彼女の作品を観たくなった。
劇場で公開されてから半世紀以上経過しても色褪せず、むしろ唯一無二の存在感を誇る彼女の作品たちは、今後も語り継がれていくだろう。
何度も孤独を乗り越え、愛を与え続けた彼女の生き方に、現代を生きる多くの人が勇気をもらうはずだ。
(文:きどみ)
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