<鎌倉殿の13人・鎌倉幕府成立編>11話~26話までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第12話ストーリー&レビュー
第12話のストーリー
>>>「鎌倉殿の13人」の画像をすべて見る北条義時(小栗旬)から父・伊東祐親(浅野和之)と兄・祐清(竹財輝之助)の死を告げられ、憤る八重(新垣結衣)。義時は八重をいさめ、源頼朝(大泉洋)から与えられた江間へと八重を送る。政子(小池栄子)が懐妊し頼朝の嫡男誕生への期待が高まる中、比企能員(佐藤二朗)が比企尼(草笛光子)を伴い鎌倉に出仕。さらに、三善康信(小林隆)から推挙された官僚・大江広元(栗原英雄)らが都から下向し、新たな関係が動き出す……
第12話のレビュー
予告映像で映し出された源頼朝(大泉洋)の「ここまでするかぁ!?」に期待が高まっていた「亀の前事件」。なるほど、こうくるか! という展開だった。思惑が絡み合った亀の前事件
男の子を産んだ政子(小池栄子)。吉報に北条家も鎌倉も湧くが、政子が出産のため、御所を離れているのをいいことに、頼朝は側女の亀(江口のりこ)のもとへ通っていた。亀に家も与えており、そこに呼ばれた北条義時(小栗旬)は驚きの表情を見せる。そんな義時に頼朝は「寂しいから」とのたまう。御所に1ヶ月は帰ってくるな、と言ったのは自分のくせに……!
もちろん、義時はそのことを誰にも言わないが、頼朝の異母弟・阿野全成(新納慎也)が亀の存在を実衣(宮澤エマ)に漏らす。実衣が黙っていられるはずがない。源範頼(迫田孝也)の耳に入り、北条時政(坂東彌十郎)とりく(宮沢りえ)にも伝わる。
政子のことをあまりよく思っていないりく。懲らしめてやろうと政子にわざと亀の存在を漏らし、後妻打ち(うわなりうち)で仕返ししては? と提案する。都では「前妻(政子は前妻ではないが)は後妻の家を打ち壊しても構わないの」と、りく。いや、やることがえげつないな!
苛立ちが収まらない政子はその話にのる。最初は時政に頼んでは、とりくは言うが、父を巻き込みたくない政子は首を横に振る。結果、りくの兄・牧宗親(山崎一)が担うことに。
ちょっと壊すだけのはずだったが、義時が亀の屋敷の見張りに義経(菅田将暉)を立てたばっかりに……。
ここまでするのが義経
政子に亀の屋敷の場所を教えてしまい、焦った義時。亀を避難させ、義経を見張りに立たせる。しかし、やってきた牧から事情を聞いた義経は、なんと自身も後妻打ちに加わり、屋敷に火を放つ……!
誰もそこまでやれとは言っていない。
が、義経は政子に懐いている描写がここまでにも幾度となくあった。後妻打ちは慕っている政子の願い。政子がそんなことを考えたのは頼朝が浮気をしているせい、政子を苦しめている亀に腹が立つ! もちろん、義経の中には、頼朝に冷遇されているという鬱憤もあっただろう。苛烈な表情が多い義経だが、政子の前では子どものようだった。亀の屋敷を徹底的に壊すのは義経の中では正義なのだ。
誰が実行犯なのか隠そうとするものの、頼朝の周りには優秀な人間が集まってきている。1分で真相がバレた。義経は謹慎、そして牧は髻(もとどり)を切られることに。髻を切られる牧を見る義経が驚愕の表情を浮かべていることから、どれだけ屈辱的な仕打ちなのかがわかる。
頼朝は随分とご立腹のようだけど、悪いのは頼朝じゃないか? 亀にだけいろいろな怒りが向いてしまっているのはおかしくない? と思っていたら、りくと政子から猛反撃に遭う。
「咎めるのは夫のふしだら、夫の裏切り」という2人の言葉に、そうだそうだ! と思っていたら、頼朝はタジタジになったあと、ブチギレる。「源頼朝を侮辱するのは許さん!」となったところで、黙って聞いていた時政が「俺の身内に対してなんてことを言ってくれるんだ!」とさらにブチギレる。
時政は自分の言葉に後悔するが、諦めたように、「鎌倉は窮屈でかなわない」「田舎に帰って米を作ります」と立ち去る。
このシーン、ものすごくポップに描かれているが、頼朝にとっては大ごとだ。勢力図も変わるし、時政が引退となれば、北条家の家督相続の話も出てくる。
笑っていられる状況ではなかった。
一方、八重は……
父・伊藤祐親(浅野和之)と兄・祐清(竹財輝之助)が亡くなり、ひとりになった八重(新垣結衣)。義時はそんな八重を説得して、頼朝から与えられた江間に送る。「寂しいだろうから、2日に1度は会いに来る」と言えば「1ヶ月に1度でいいです」と言われるし相変わらず不憫な義時。
が、八重はすぐに、鎌倉に戻りたい、頼朝のそばにいたいと言い出す。義時はたまらず、祐親と祐清はおそらく頼朝の企みだと話すが、八重の心は頑なだ。
「それを私に言ってどうするのです」「千鶴丸の仇を討ってくださった」
そんなに頼朝がよいですか……? となるが、頼朝が良いのだろう。頼朝でないとダメだと思っているのだろう。
八重、政子、亀、それぞれ強いが強さの種類が違う。ただ、自分が幸せになるための強さではない気がして複雑だ。
義村は何を言っているのか
前回は八重に秒でフラれ、「フラれてからが勝負だ」と言っていた義村だが、今回は亀に向かって「俺はどうだ」と口説く。「女なら誰でもいいのか!」という義時に「誰でもではない。頼朝の女だ。その時初めて俺は頼朝を超える」と返す義村。「難しすぎてもう分からん」と義時も言っていたが、観ているこちらもよくわからない。口説かれた亀は亀で「悪くない」と答えているし……。そんな亀は、屋敷がなくなったため、上総広常(佐藤浩市)の屋敷でかくまうことに。
色目を使ってくるという亀に「ああいう女は好かねえ」と言う上総広常に妙な信頼感を持ってしまった。なんだかんだで義時に頼まれてかくまってあげているのもイイ。さらに、都に行ったときにばかにされたくないからと字の練習をしているのも好感度が高いし、そもそも義時が愚痴をこぼしに行く相手なんだなあ、と思うと和む。
大変な回だったが、それぞれの人間味が感じられた。だからこそ、回を追うごとに辛くなっていくのだが……。
※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。
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(C)NHK