国内ドラマ

REGULAR

2022年10月19日

「ファーストペンギン!」第3話:いいかげん漁師たちは和佳(奈緒)を疑うのをやめてください

「ファーストペンギン!」第3話:いいかげん漁師たちは和佳(奈緒)を疑うのをやめてください



▶︎「ファーストペンギン!」画像を全て見る

奈緒主演、堤真一や鈴木伸之が脇を固める日テレ系列ドラマ「ファーストペンギン!」が、2022年10月5日より放送をスタート。

寂れた漁港を復興する”実話を元にした”オリジナルストーリーである本作。奈緒演じるシングルマザーの岩崎和佳(いわさき・のどか)は、職なし・宿なしのギリギリ状態で5歳の息子を連れ、とある港町に行き着く。堤真一演じる漁師かつ漁船団「さんし船団丸」の社長・片岡洋(かたおか・ひろし)と出会ったことで、和佳の生活に変化が訪れる。

本記事では、第3話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「ファーストペンギン!」第3話レビュー

晴れて「お魚ボックス」の営業に打ち込めるようになった和佳(奈緒)。しかし、またもや漁協組合長(梅沢富美男)の策略により、あらぬ疑いをかけられる羽目に……

いきなり東京からゆかりの無い港町にやってきたこと、普通の奥さんだった和佳が国の認定まで取れた理由、営業の経費だけで何十万も口座から出し入れしている現状。「彼女は新手のフィッシング詐欺師なのでは?」と吹き込まれるや否や、そうとしか見えなくなってしまう漁師たちの目、節穴なのかもしれない。

和佳が言っていたとおり、「普通の奥さんにこんなことできるわけがない」「裏に糸を引いてる男がいるに違いない」なんて、なかなか女をバカにしている。全員が全員そうだとは思いたくないけれど、男または女しかいない社会では、マイノリティ側の性別を大雑把にくくって下に見がちなのだろうか?

和佳が営業のために何十万も出し入れしていた理由は、東京までの交通費に加え、何件もの飲食店で味を確かめていたから。一度の往復に5万円もかかるとあれば、なるべく多くの店に行こうと考えるのは自然だ。寿司店、割烹、フレンチなどジャンルも多彩で、食費がかさむのも無理はない。

無理して食べては吐き戻し、また食べる……と無理した結果、身体を壊してしまった和佳。運悪く当日は息子・進の誕生日で、彼女は「誕生日の息子をほっぽって東京で遊び歩いていた女」と認定されてしまう。

あの……漁師さんたち……和佳は必死の思いで大臣にまで掛け合い、漁港復興のために新事業「お魚ボックス」を立ち上げた人なんですけど? いいかげん彼女を信じてあげてください……。

洋(堤真一)に「もうあんたと仕事はできん」と言い渡されてしまった和佳。進が聞き分けの良い子に育ったのは、あんたが適当な母親だからだ、と眉根を寄せるしかない偏見までぶつけられては、まさに堪忍袋の尾も切れるだろう。

「育児に専念するので、あとは皆さんでよろしくお願いします」そう言い残した和佳は、進を自転車に乗せ走り去ってしまう。

その直後、和佳が残していったノートを見た漁師たちは、愕然とする。お察しの流れだが、そこには和佳が営業してきた店の情報がみっちりと書かれていた

ゆかりの無い漁港にここまでするのはなぜ? と疑っていた漁師たちだが、逆を言えば、ゆかりの無い漁港のためにここまで動いてくれる人は皆無に近いのである。ようやく和佳の大切さに気づいた漁師たちは、急いで彼女を呼び戻しに走る、走る!

筆者だったら、たとえ息子から「待ってあげて!」と頼まれても、そのまま無視して走り去るところだ。しかし、和佳は漁師たちの「社長になってくれんか」「わしらのボスは、あんたしかおらんけえ!」というラブコールを受け入れた。

ここで晴れて(?)さんし船団丸の新たな社長が爆誕したのである。

1話の時点から思っていたことだが、和佳の行動力が凄まじい。彼女のモデルとなった坪内知佳さん自身の根性も反映されているのだろう。次々とやってくる壁に負けじと立ち向かっていく様は、さまざまな女性の生きる姿を活写する、水曜ドラマのコンセプトに合っている。

和佳を見ていると勇気がもらえるのは、筆者だけではないはずだ。

(文:北村有)


無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

©Nippon Television Network Corporation

RANKING

SPONSORD

PICK UP!