<VIVANT>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

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ベールに包まれていた、日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」(TBS系)が2023年7月16日(日)より遂に始まった。
主役の丸菱商事の乃木憂助を演じるのは「半沢直樹」以来、3年ぶりの日曜劇場主演となる堺雅人。タイトルの「VIVANT」(ヴィヴァン)の謎に迫る。規格外のアドベンチャードラマの演出を務めるのは福澤克雄。共演は、阿部寛、二階堂ふみをはじめ、役所広司や二宮和也など”主演クラス”が名を連ねている。

CINEMAS+では毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

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もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・最終話ストーリー&レビュー

・「VIVANT」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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VIVANTとは一体…?

敵か味方か、味方か敵か――
遂に、冒険が始まる

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第1話のレビュー

ついに日曜劇場「VIVANT」がはじまった——。

「他国やネットドラマになんか負けてたまるか!」
「本気を出せば、日本ドラマも面白いんだ!」

と、言わんばかりの出来だったように思う。
2時間観終わった感想は、誰もが思った感想と同じく、「これ、映画じゃないよね?」だ。
スケールの大きさと時間とお金の掛け方に視聴者にも「TBSの本気度」が見えたのではないだろうか。

とはいえ、これは2話以降にかなりハードルを上げてしまっているような気もする。
初回のスケールのまま最終回まで突っ走るのは無理だとは思うが、
「あぁ、やっぱりなんかこじんまりしてきたよね」と思わせないように作るにはどうするのだろう……。
ドラマの内容もさることながら、制作側の本気度も試されている作品なのかもしれない。

とにかく初回はあっという間に心を中央アジア・バルカ共和国に持っていかれた。
堺雅人が演じる乃木憂助が最初は少し頼りない半沢直樹にしか見えなかったが、徐々に”乃木“としての堺雅人が作られていく。

そして、公安刑事の野崎守役の阿部寛が登場すると、さらに作品に重厚感が増した。
しかし、阿部とバルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)両者の画力が強すぎて、ところどころ乃木の存在を忘れてしまうこともあったが、大柄な2人に見え隠れする乃木をなんとかして守らねば!という使命感に駆られていく。

世界医療機構の医師、柚木薫役の二階堂ふみの存在感もさすがだ。
アドベンチャードラマに医師役は欠かせない。
今後、二階堂の活躍も大いに期待できそう。

また、脇を固める役者陣も面白い。
とくに野崎の仲間として出演した、元力士の富栄ドラムが演じたドラム(役名も同じ)が、初回では大活躍。
日本語は理解できるが、話すことは出来ないという設定でスマートフォンの翻訳機能を使いながら野崎とコミュニケーションをとっていく。
この設定は少々無理があるようにも感じたが、時間が経つにつれてその違和感は薄れていき、“ドラムの声”を演じた、人気声優の林原めぐみの声を楽しみにしている自分がいた。

ラスト、このあたりでいよいよ松坂桃李の登場か? 
と、思っていたらまさかの役所広司と二宮和也。
ここでもTBSの本気度が見えた気がする。
役名もどんな存在なのかもまだベールに包まれているのでわからないが、どうやらこの2人は親子のようで今後、乃木にとって「敵か味方か、味方か敵か。」と言える存在になりそうだ。

2話以降は、乃木の過去も物語に大きく関係していくのだろう。
もう一人の人格を持つという設定も何を意味するのか――。

途中、アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)とジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)親子の家で「手の感覚で1kgまでならほぼ10gの誤差で重さを計れる」という“唯一の特技”に思わず「どんな特技やねん!」とツッコミを入れたくなったがこの先、この特技が乃木自身を助けることになるのでは? と予想する。

はたして、あっという間に異国の地で爆破事件の容疑者となった乃木は、誤送金してしまった130億円を回収することができるのだろうか。

「お前がヴィヴァンか? ヴィヴァンなんだろ」の意味は?

これは面白いドラマがはじまった!

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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公安の刑事・野崎(阿部寛)の助けで現地警察の追跡から逃れ、無事日本大使館へとたどり着いた乃木(堺雅人)と薫(二階堂ふみ)。しかしいつまでも、止まっているわけにはいかない乃木は、130億円を取り返すべく動き出す。果たして、130億円の奪還なるか!?
また、野崎はザイール(Erkhembayar Ganbold)の残した「ヴィヴァン」という言葉に引っかかっていた。そして、明かされる「ヴィヴァン」の謎に驚愕する一同。「ヴィヴァン」をめぐる物語が遂に動き出す。

>>>「VIVANT」第2話の予告をYouTubeで見る

第2話のレビュー

誤送金された140億を取り戻すために中央アジアのバルカ共和国に向かった乃木(堺雅人)だったが、地元警察にテロリストだと誤解されたまま、公安刑事の野崎(阿部寛)と、医師の薫(二階堂ふみ)と日本へ向かうことに。

「世界中を巻き込む大きな渦に入り込んだ」という野崎の言葉。

大きな渦とは何を意味するのか。
第2話もあっという間に79分が過ぎてしまった。
最初から最後まで瞬きを忘れて…と言うと、少し大袈裟だが、それくらい夢中で視聴した。

第2話でわかったことは、次の通り。

  • 駐バルカ共和国・日本大使の西岡英子(檀れい)はバルカ側の人間
  • 乃木は別人格が出てくる前は右手の人差し指を「こめかみ」にあてる
  • タイトルの「VIVANT」は「別班(BEPPAN)」を指している(野崎談)
  • 丸菱商事の中にテロリストと繋がっている人物がいる(野崎談)
  • “得体の知れない組織“が存在しており、CIAと野崎が追っている
  • ジャミーンは難病指定されている重度の心臓病患者(薫談)
  • 乃木の好物は赤飯

頼りがいのある野崎の指示で日本に向かう乃木と薫。
しかし、乃木の別人格は野崎に対して不信感を抱いているよう。
まさかの野崎にBL疑惑!?
壁ドンだけで野崎が乃木のことを好きだとは思えないが、別人格の
「お前に気があるんじゃないの?」
のセリフから野崎の行動が気になって仕方がない。

乃木の好物である赤飯を作り、砂漠では優しく乃木に自分の洋服を掛けていたな……。
たしかに野崎は乃木のことを特別視しているが、それはなにかもっと別の意味で「保護」しているように思う。

「お前が別班? まさかな……」

というセリフの答えが、どこかでつながるのではないだろうか。

また後半で野崎は、

「実は日本にいる仲間にお前のことを徹底的に調べさせたが、お前の経歴に怪しいところは一つもなかった」

と、大声で笑っていたが、これは”ウソ“だ。
二重人格設定はさておき、乃木にはCIAで働くサムという友人がいる。
この事実は“怪しいところ”には入らないのだろうか。
乃木の夢の中のシーンもかなり壮絶だが、この”経歴”は単なる乃木の妄想だというのか?

オドオドする乃木、恐ろしいほど頭がキレる野崎、感情的な薫、そして無言のドラムの4人の旅が始まった。
「アド砂漠」と聞いた途端、感情をむき出しにしたドラム。
この様子を見る限り、アド砂漠を渡ることは死を意味するのだろう。

今回もドラムが「ドラえもん」ばりにいい働きをしてくれた。
こうしてみると、乃木が「のび太」に見えてくる。
(ドラムの「ドラ」はドラえもんの「ドラ」で乃木の「の」は野比のび太の「の」か? と、つまらないことを想像したが、局が違った)

砂漠のシーンはまるで映画。
浅田真央さんがバンクーバーオリンピックで使用したことでも知られるラフマニノフの前奏曲「鐘」が過酷な旅のシーンを一層、不気味に演出していた。

どうやってこのアド砂漠を乗り切るのか。

薫がいないけれど、大丈夫?

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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日本大使・西岡(檀れい)の裏切りに気付いた乃木(堺雅人)たち。バルカ警察から逃れ日本へ脱出するには、バルカ人も決して足を踏み入れない“死の砂漠”を突破するしかなかった! 一か八か、死と隣り合わせの砂漠の横断が始まった。
しかし、薫(二階堂ふみ)を乗せたラクダから薫の姿が消えていた。そのことに気づかず、進んでいく一行。薫、そして乃木、野崎(阿部寛)の運命は?
そして、誤送金を引き起こした人物がついに正体を現す!

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第3話のレビュー

第2話の最後に薫(二階堂ふみ)の姿が消えて、多くの視聴者をヒヤヒヤさせたが、命の恩人を助けるべく、乃木(堺雅人)は何時間もかけて歩いてきた道を引き返していた。

乃木の別人格のセリフ
「あんな聖母マリアみたいなところを見せられたらな、俺だって胸が熱くなったよ。そんな女に惚れる気持ちはわかる」
から、乃木が薫に特別な感情を抱いていたことも判明。
このシーンでは砂漠の上に別人格の足跡はない。
細かい演出に脱帽だ。

野崎(阿部寛)には8時間しか待たないと言われていたので、急いでラクダを走らせる。
しかし、ラクダも疲労困憊の様子。
水筒に残っていた最後の水を上げるものの立ち上がることはなかった。

結局、野崎に助けられた乃木と薫。
ドラム(富栄ドラム)のファインプレイもあって、乃木たちは命がけで砂漠を抜けることができた。

しかし、そこに待つのは、バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)だった。
チンギスの嬉しそうな顔に対して絶望的な表情を浮かべる乃木。
あぁ、手錠まで掛けられてしまった……。
ここからどうやって日本へ帰国するんだろうかと思っていたら、戦車に乗ったモンゴル国境警備隊が登場。
チンギスに「領土侵犯だ!今すぐそこから立ち去れ」と言い、威嚇射撃とは言えないレベルで銃を乱射する。
「この借りは返す必ず返すからな、分かったか?」と悔しさを隠しきれない表情でチンギスらは撤退していった。

チンギス達が来ると予想し、モンゴル国境警備隊に連絡していたのは新庄(竜星涼)だった。
モンゴル大使にお願いして5分だけ衛星をいじっていたとは。
スケールが大きすぎるお願いにびっくりだ。
朝ドラの「ちむどんどん」(NHK)ではどうしようもないダメ男を演じた竜星が、今作では名誉挽回するかのようによく働く。

ここでドラムとはお別れ。
乃木たちを運んでくれたラクダたちはドラムが数日をかけてウランバートルに連れていくという。困った時のドラム頼み。
「こいつはもうバルカには戻れねぇ。ジャミーンと一緒に護衛として日本に来させる」と野崎は言うが、はたして、ドラムに祖国を捨てさせるようなマネは許されるのか? 

それに対してドラムもドラムである。
ニコニコと笑顔を見せてグーポーズ。
ここまで物語全体のスケールが大きすぎて、ドラムという人物に違和感を覚えなかった。
それどころか、絶対的な安心感を抱いていたが、よくよく考えるとなぜそこまでして野崎に仕えているのだろう。
ドラムが実は日本人で、別班。
もしくは、テロリストの一人という展開だったらひっくり返るのだが……。

日本に戻った乃木と野崎と薫。

丸菱商事に戻った乃木は、丸菱商事の業務監査部、河合(渡辺邦斗)に責められるが何も知らないバカなふりをしているのが一番という野崎のアドバイス通り、「何もしらない」の一点張り。

すると、“物的調査”という名の家宅捜索に応じる羽目に……。
河合らを引き連れて、自宅に戻る前に立ち寄った神社のシーンで乃木は小さな祠にチラっと目をやったが、あのシーンにはどんな意味があるのだろうか。
もしかして、あの祠に“何か”を隠しているのだろうか。

また、第3話では明らかになったことがある。

乃木のもう一人の別人格は「F」というらしい。
「なぁ、F。この件が収まるまで出てこないでくれ。頼む」と懇願するも、
「何言ってるんだよ。いつだって俺を呼んでいるのはお前のほうじゃないか」と、Fも即答。

ここからは筆者の妄想だが、乃木はよく悪夢にうなされている。
その夢に彼の両親らしき人物が出てくるが、両親が別班のメンバーだったら乃木が別班という可能性は濃くなる。
そして、もう一人の人格、Fこそが本来の乃木憂助の姿であったとしたら、徐々に増える出番にも納得がいくのだが……。
これは考えすぎだろうか。

第3話では新キャラ、警視庁サイバー犯罪対策課の東条(濱田岳)が登場。

東条の指示のもと、サーバールームにある特別ルームに侵入した乃木と同期の山本(迫田孝也)。
映画『ミッション:インポッシブル』のトム・クルーズさながらの動きで、財務部の太田(飯沼愛)が経理部長の原(橋本さとし)のPCを操作していたことを突き止めた。

次週の展開も気になるが、またしても松坂桃李はお預け状態。

そしてワンカットしか出演していない、役所広司と二宮和也の存在も気になるところ。
と、いうことはまた乃木はバルカに戻ることがあるのかもしれない。

妄想だけがどんどん膨らんでいくドラマ「VIVANT」。
いろんな意味で恐るべきドラマだ。

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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システムを改ざんして誤送金を仕組んだ人物が、財務の太田(飯沼愛)だと突き止めた乃木(堺雅人)たち。野崎(阿部寛)たち公安は、太田の自宅へ急行するのだが…。

ついに誤送金事件が完結! 事件の真相が明らかになったとき、誰も予想できない、衝撃の展開が待ち受ける!

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第4話のレビュー

初回から第3話までは野崎演じる阿部寛の存在が大きすぎて、主演の堺雅人がどこか心許なく、脱力感のある人物だな…と思っていたが、やはり堺雅人はさすがである。

ドラマ4話目。

中だるみしそうなところで、こんな面白い展開に持っていくとは、原作・演出を手掛ける福澤克雄の神業にもうなる。
その第4話は、まるで映画を一本観終わったかのような疲労感と達成感を受けた。

(以下、ネタバレがあります)

先の展開がまったく読めないが、舞台はふたたびバルカ共和国へ移るようだ。
役所広司と二宮和也演じる謎の親子や、チンギス(Barslkhagva Batbold)の出番が期待できる。

丸菱商事の専務、長野(小日向文世)がこの誤送金事件の重要人物かと思われていたが、観終わってみたら初登場の黒須(松坂桃李)と乃木のチーム別班と、乃木の同期でテントのモニターだった山本(迫田孝也)にすべてを持っていかれた。
自白剤を体に入れられてからの迫田の怪演と、乃木の別人格「F」の過激すぎる演技は圧巻。
ようやく登場した松坂の存在感も半端ない。登場しただけでさらに“映画感”を与え、物語に深みが増した。

堺と松坂が別班の先輩後輩という設定にもシビレたが、野崎(阿部寛)の公安の後輩、新庄(竜星涼)と黒須のシーンも面白かった。
昔、ハマったシンケンジャー松坂と、キョウリュウジャー竜星の攻守戦が個人的には胸アツだった。

ここで乃木が「別班」、それをマークする「公安」の野崎という図を理解した上で初回から第3話までを見返してみると、いくつも納得いくシーンがある。

野崎にとって乃木は完全に「標的」だった。
だからあの死のアド砂漠でも置いてはいかなかったのだろう。
むしろ、置いていくなんてことはもってのほかだったのだ。

乃木も出世のできない頼りない商社マンを演じながら、“機会”をうかがっていたとは。
GFL社社長でテントの幹部だったアリ(山中崇)とのやり取りのシーンは、怪しい点が満載。

砂漠で携帯のライトを付けたまま倒れ、ジャミーン親子に救ってもらったことも“シナリオ通り“だったら恐ろしい。

ここからは完全に筆者の個人的な考察だが、薫(二階堂ふみ)を執拗に守る乃木の姿も異常に映る。
薫も別班、あるいはテントに関係しているのだろうか。
それとも唯一、薫だけは今回の事件にはまったく関係がなく、純粋に乃木にとって特別な存在になったからアド砂漠で往復8時間以上をかけて救出するという無謀な行動に出たのかもしれない。

今後、この薫が乃木とどう関わっていくかが物語のカギとなるような気がする。

その薫もジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)の存在を必要以上に気にかける。
医師であれば多くの難病患者には出会うだろう。バルカにもジャミーンと同じように苦しんでいる少女はいるはずなのに、なぜジャミーンだけを執拗に助けようとするのか。

きっとジャミーンの父である、アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)も何か関係しているのだろう。初回、乃木がアマン建設のアル(Erkhembayar Ganbold)のいる建物に入っていく姿を心配そうに見つめ、なかなか立ち去らないことが不思議だったが、これは乃木を気にかけていた訳ではなく、アル側のことを気にかけていたのだとしたら……?
すべてがすーっと線でつながっているようではあるが、まだその線がおぼろげすぎてなかなか見えない。
ドラマのキャッチコピーの通り、「敵か味方か、味方か敵か。」わからない。

野崎はここまで何度も乃木に「共同戦線」と言う言葉を使っていたが、敵対してしまった乃木と野崎の関係はどうなっていくのだろうか。

放送開始前から一切、ストーリーや出演者の役柄などの詳細を明かさなかったドラマ「VIVIANT」。
大胆な手法と工夫で放送前から盛り上がりを見せていたが、このような“しかけ”はまったく必要ないと思えるくらい、内容が充実している。

とんでもない展開だった第4話を観終え、まだ興奮している。
同時にごちゃごちゃしてきて頭の中が混乱中。

第5話までにゆっくり整理し、さらに増える登場人物たちにも注目していきたい。

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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乃木(堺雅人)の正体はなんと、国内外で民間人に紛れて諜報活動を行う特殊部隊“別班”だった! 同じく別班の黒須(松坂桃李)とともに、テロ組織“テント”のモニターである山本(迫田孝也)を排除した乃木は、次の目的のため、ある人物の元を訪れる。
一方、山本の死に違和感を抱いた野崎(阿部寛)は、自分たち公安以外に唯一山本の正体を知っていた乃木に疑惑の目を向ける。野崎が徹底的に乃木を調べる中、衝撃の過去が明らかになっていく。それぞれの運命を繋ぐ鍵は、壮絶なる“想い”…。

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第5話のレビュー

「衝撃展開」だった第4話。
第5話は「情報量」で視聴者を魅了した。

誤送金問題は、テントのモニターだった乃木(堺雅人)の同期、山本(迫田孝也)が計画したということで処理されようとしていた。

しかし、野崎(阿部寛)は山本の死に不信感を抱いていた。
そこでまずは徹底的に乃木の経歴を調べることに……。

一方、乃木は別班の司令塔、櫻井(キムラ緑子)の指示を仰ぎながらテントに近づこうとする。
櫻井の「奇跡の少女と出会い、テントにつながるモニターをつきとめることができた。あなたの強い執念が運を引き寄せるかもしれない」という言葉から、乃木がジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)に出会ったことは偶然だということがわかる。
と、いうことはその先にいる薫(二階堂ふみ)に出会ったことも計画にはなかったのか?

自分が殺した山本の席に悲しそうな表情を浮かべながら花を手向ける乃木の心情は理解できないが、監査部の河合(渡辺邦斗)に謝罪を求めるシーンは観ている側もスッキリ。
とはいえ、自分が殺した人に花を手向ける行動も、河合に怒鳴り散らす行動もどちらも背筋が凍りつく。

第5話では、登場人物の関係性に少しずつ変化が表れたように感じる。
まずは、乃木と野崎の関係だ。
「仲間」のようなふりをしながら、明らかにお互いが疑心を抱いている。
乃木の過去を知った野崎はこれからどのような行動に出るのか。

野崎とチンギス(Barslkhagva Batbold)の関係性にも大きく変化が見えた。
あんなに敵対していたのに今では同士のような雰囲気だ。

そして、野崎の部下、新庄(竜星涼)も野崎が自分に情報をくれないことに少々いら立つ様子を見せた。ここの関係性にも今度、注目だ。

乃木もアリ(山中崇)の情報から自分の父親がテントの指導者、ノゴーン・ベキ(役所広司)だということを知り、愕然とする。アリの家族を殺したと見せかけて、アリから自分の両親の話を聞き出すなんて非道だが、アリは今後、乃木側に付いてくれるような予感……。
個人的には黒須(松坂桃李)の仕事ぶりに冷酷さを感じながらも、魅了されている。

また、第1話で乃木の父はジャミーンについて
「また一人にさせてしまったな。退院後は我々で面倒をみる」
と息子らしき男(二宮和也)と話している。
この「また」という言葉が気になる。
以前にも似たようなことがあったというのか?
ジャミーンと乃木の父の関係も気になるが、ジャミーンと薫の関係は本当に医師と患者だけの関係なのだろうか?

「奇跡の少女」、ジャミーンに助けられた乃木は今回、資金援助という形で逆に彼女の命を救っている。
この行動も今後、大きな鍵となるような気がするがどうだろう。

第5話では乃木の伯父、乃木寛道(井上順)が登場。
野崎に弟家族の個人情報をペラペラと話したことで物語が大きく進展していきそうだ。
「人身売買」、「記憶障害」、「丹後隼人」というワードに加え、「戦場ジャーナリスト」という言葉も気になる。
乃木を日本に連れて帰ったこの戦場ジャーナリストとはいったい誰なのか。

乃木と父の対面はいつ、どんな形ではたされるのか気になるが、それはまだ先のことだろうと予測する。

今はジワジワと乃木に近づいていく野崎の動向に注目したい。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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乃木(堺雅人)は、“テント”のリーダーであるノゴーン・ベキ(役所広司)が、幼い頃に生き別れた父だと確信し愕然とする。一方野崎(阿部寛)もまた、乃木家の家紋とテントの犯行現場に残されたマークの類似に気付き、乃木とテントの関係にたどり着いていた。“テント”の実体とは? いよいよその謎に迫っていく。
さらに、明かされるFの秘密、乃木の正体を追う野崎ら公安、そして、遂に行われるジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)の手術の行方は…怒涛の後半戦が幕を開ける!!

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第6話のレビュー

体感10分そこらで終わってしまった「VIVANT」第6話。

4話、5話ほど劇的な展開はなかったが、主人格を守るために生まれた“F”との会話から乃木(堺雅人)の過去が明らかに。

乃木は、悲惨な幼少期を送ったため「家族」の存在がわからない。
そして、「愛する」ということもよくわからないでいた。
そんな時、2001年9月11日にあの事件が起きた。
「国より、愛する家族を守るため」というCIAのサム(Martin Starr)の言葉を聞いた乃木は、その言葉の真相を“知るため”に自衛隊に入った。
いつかは自分の家族である父親のベキ(役所広司)に会って、話をしてみたい。
もしかしたら、自分に愛を注いでくれるかもしれないという淡い期待を抱いていたようだ。

しかし、Fは「バカかっ!」と強く叱責する。
さらに、ベキを始末するのはお前の役目だと追い打ちをかける。
この言葉に愕然とするが、すでに「愛する」という感情は薫(二階堂ふみ)とジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)が教えてくれたのでは? と気づかせてくれた。

長い年月を経て、薫とジャミーンに出会った乃木。
今後、この3人の関係が気になるところだが、そもそも薫は単なる医者なのだろうか。
なぜ、乃木の自宅の場所を知っていたのだろう。
ジャミーン父子と昔から繋がっていることから「テント」の一員なのでは? と、ここまで何度も考察しているが、薫がテントならばジャミーンの高額な手術費用は、テント本部にお願いすればいいだけだ。
しかし、乃木の提案だったクラウドファンディングで資金を得た薫。
(ほとんどが乃木のポケットマネーだが…)
やっぱり薫という人物の背景がまだよくわからない。

そして、主人格とFとの会話の中で、日本に戻るきっかけは「飯田さん」という人物だったことがわかった。
前話でも乃木は、戦場ジャーナリストに日本に連れてきてもらったという会話があったので今後、この”戦場ジャーナリストの飯田さん“もキーになりそうだ。
乃木が少年時代にすでに第一線で活動していたということは、乃木よりもかなり年上だということが想像できる。

となると、丸菱商事の専務、長野(小日向文世)か、警視庁公安部部長の佐野(坂東彌十郎)あたりが疑わしい。
空白の期間があることから長野のほうが飯田さんだと考察できるが、筆者はどちらかというと、佐野のほうが怪しいと思っている。

野崎(阿部寛)との会話の中で
「昔、一度だけ会ったことがあるような気がしたんだ」と話している佐野。
さらりと話していたが、佐野とベキに面識があることは重要なことだ。
また、野崎が「乃木卓=テントの首謀者」ということに気づき、ワクワクした表情を見せたあとに、かなり厳しい表情を見せた佐野。
ほんの一瞬だったが、あの含みのある表情は何を意味するのだろう。

野崎(阿部寛)との会話の中で
「昔、一度だけ会ったことがあるような気がしたんだ」と話している佐野。
さらりと話していたが、佐野とベキに面識があることは重要なことだ。
また、野崎が「乃木卓=テントの首謀者」ということに気づき、ワクワクした表情を見せたあとに、かなり厳しい表情を見せた佐野。
ほんの一瞬だったが、あの含みのある表情は何を意味するのだろう。

次週はテントに近づく別班の姿が!
いよいよ乃木VSベキの息子?(二宮和也)の対峙が本格的にはじまりそう。

すっかり忘れていたが、テント幹部のアリ(山中崇)とその家族が無事にベネズエラのカラカスに渡り、「クアイド」という人物に会えていますように。

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

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ブルーウォーカー・太田(飯沼愛)の協力で、テントのサーバーからある重要な情報を得ることに成功した乃木(堺雅人)たち。そんな中、乃木、黒須(松坂桃李)をはじめとする6名の“別班”精鋭部隊が、司令・櫻井(キムラ緑子)の下に集結した。目的は、テントの最終標的である日本での犯行を未然に防ぐこと。そこで乃木は別班メンバーに、テントのリーダー・ベキ(役所広司)が自身の父であり、元公安の警察官だったと打ち明ける。
徐々にテントへと近付いていく乃木たち別班、そして、チンギス(Barslkhagva Batbold)と手を組み、乃木を徹底的にマークする野崎(阿部寛)たち公安。テントの真相を暴き、日本を守るのはどちらか——。

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第7話のレビュー

あまりに衝撃的な展開だったので、すっかり乃木(堺雅人)と薫(二階堂ふみ)の癒しの時間も頭から吹っ飛んでしまった。
まさに「敵か味方か、味方か敵か―」が実現した内容になってしまっている。

乃木は、野崎(阿部寛)と腹の探り合いをしながらも良好な関係を築いている。
バルカ行きの飛行機の中でも2人の会話から絆が感じられた。
野崎にはかつてリュウというかわいがっていた後輩がいた。
しかし、リュウは度を越えた調査のせいで、今はこの世にはいない。
リュウを自分が“もう少し見てやっていたら死なずにすんだ”と自身を責める野崎。
そのリュウと乃木が似ていることから「つい見ちまう」という。
前半部分でFが野崎は乃木のことが好きなのでは? というセリフがあったが、そういう過去があったから乃木のことを目で追ってしまっていたのか!

そして「全部終わったら、ちゃんと先生のところに戻ってやれよ」と乃木を諭す野崎。
その乃木も野崎の手を握り、「あなたは鶏群の一鶴。眼光紙背に徹す 」と言って、そっとその手を離した。

野崎は特別だということを言いたいのはわかるが、この言葉にはもっと深い意味があるような気がする。
別班と公安、追われる立場と追う立場。
対極にいる二人だが、お互いが特別な存在だということがわかる。
最終回の展開はまだわからないが、乃木が第二のリュウにならないことを祈るばかりだ。

乃木の父親、乃木卓(役所広司)は公安だった。
砂漠地帯の緑地化事業に従事、バルカ政府に感謝状を贈られるほどの功績を上げ、ノゴーン・ベキと呼ばれるようになったという。
ノゴーンは「緑」、ベキは「魔術師」という意味らしい。要するに現地の英雄だった。
そんなベキがなぜテントというテロ組織を作ったのか?
考えられることは公安がベキを“なんらかの事情”で見棄てたのでは?と野崎も乃木も予想している。

第7話では、二宮和也が演じるノゴーン・ベキの息子と思われる人物の名が明らかになった。
名前は「NOKOR(ノコル)」
第7話でこのノコルと乃木が対面。そして、ここではまさかの展開を迎えた。
なんと乃木はノコルの背中にあった銃をいとも簡単に奪い、別班のメンバーに発砲。
しかし、ここで少々違和感が……。
テントほどの組織が交渉相手に背中を見せるだろうか。
ノコルはまるで自分の背中の銃を乃木に差し出したかのようにも思えた。
結果、黒須(松坂桃李)以外の別班メンバーは死亡。
(次週の予告に棺らしきものが飛行機に乗せられるシーンがあったので、そうではないかと予想できる)

まさか乃木が別班を裏切るとは。
ここまで完璧に任務をこなしていた乃木だったが、薫に出会い「愛」を知ってしまったことで、さらに父親の愛情も確かめたくなってしまったのか?
もしくは、指令の櫻井(キムラ緑子)からの個別任務として、「テントの中に入るためなら、どんな手を使ってもいい」と指示されていたから仲間を裏切る形になった。
あくまでも乃木は、別班として任務を全うしたという展開も期待したい。
(そうであってほしいとは思うが、黒須の怒り方、櫻井の愕然とした態度を見る限りそうではなさそうだ)

そして気になるのが乃木とノコルの関係だ。
ノコルは乃木が「僕はノゴーン・ベキの息子です」と叫んだ直後、驚きながらも小さな声で「息子……」とつぶやき、その表情はみるみるうちに怒りの表情へと変わっていった。
もしかするとノコルは、長男である乃木にずっと嫉妬していたのではないだろうか。
もしくは、ベキに「息子」と偽って側にいるため、本物の息子が出てきたことに驚いているのか。

今回出番が少なかったFの、前半部分での「俺がお前を死なせない」という心強い発言だけが頼りだ。

次週、父子対面。
乃木は薫とジャミーンの元へ帰れるのか。

この先の展開がまったく予想できない。
考えても仕方ないので、とりあえず乃木に教えてもらった方法で目玉焼きを焼いてみようと思う。

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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乃木(堺雅人)たち別班はテントの会合に潜入し、ノコル(二宮和也)を捕らえる。しかし、乃木は次の瞬間、別班の仲間を次々と狙撃するという衝撃の行動に出た。別班、ひいては国を裏切ってまでも乃木が果たしたい“想い”。そして訪れる父・ベキ(役所広司)との40年越しの再会…。
別班を裏切った乃木、テントのリーダー・ベキ、幹部としてベキを支えてきたノコル、それぞれの想いが絡み合い、予測不能な物語が紡がれる。

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第8話のレビュー

いよいよ佳境に入ったドラマ「VIVANT」。
これまでの疑問を回収された部分もあるが、さらに謎が深まったことも。

筆者にとって最大の謎はなぜテントは、黒須(松坂桃李)を殺さないのか?ということだ。
黒須が純粋な別班員であればテントにとっては必要のない人物だと言える。
しかし、黒須は生かされている。
これはベキ(役所広司)の方針なんだろうか?
もしくは、黒須が本当はベキの子どもだとしたら……?
いや、それを言い出したらすべての話がぐちゃぐちゃになってしまうのでやめておこう。

また、乃木(堺雅人)が「アリの家族を殺しました」と告白したシーン。
しかし、そのあとしっかりアリ(山中崇)の家族を助けている映像を、側近のバトラカ(林泰文)と確認している。
「辛かったろ、アリは……」とベキ。
「しかし、オユン達が生きていてよかったです」とバトラカ。

さらにベキは「家族3人を犠牲にされてもアリは私を守った」と発言。
この家族3人というのは、最初に黒須たちに撃たれたあの男性3人のことだろうか。
あの人たちもアリの家族だったとは。
もしくは、ベキは仲間のことも“家族”という認識でいるのかもしれない。
だとしたら黒須は、この時点では息子だと思われる乃木の仲間なので、殺さないという判断だと考えられる。

そして第8話では、乃木が手の感覚で重さがわかる特技が大いに役立った。
そこでベキは、黒須のことを殺さなかった乃木のことを理解したのだろう。
だから仲間を裏切らない乃木を認め、ノコル(二宮和也)と一緒に働かせるようにした。

また側近のバトラカがさらりと
「ベキを救出したあと、もしかしたら息子さんが日本に戻っているんじゃないかと思って……」
と発言していたが、この人がベキのことを助けたのか。
このバトラカ、実はベキが最も信頼している重要人物のように思う。
そもそもは何をしていた人物なのか? 
まだ謎だが、徐々に乃木のことを助けてくれているようにも映る。

そして、何といっても今回、表情の演技で視聴者を魅了してくれたのは、ノコル役の二宮和也だ。
乃木の出現で自分の立場が危ういと感じていることが、こちらに伝わる。
これまでベールに包まれた存在だったからか、ノコルの存在は大きくて見えていた。

しかし、乃木に嫌味を言ったり、明らかにムッとしたりするところから、ある意味人間味を感じる。
どうやってベキの“息子”となったのかの経緯はわからない。
(日本語が話せるので養護施設から引き取られたのか?)

そして、極悪非道だと思われていたベキがポロポロと涙を流しながら「明美……憂助が生きてた」と天国にいる妻(高梨臨)に報告するシーンは、胸が張り裂けそうになった。
やはり役所広司の存在感はすごい。

第8話を観たものの、新たな謎が増え、あまり消化されなかったのが正直な気持ちだ。
ここからどうやってさまざまな問題を回収し、最終回に持っていくのか?

次週は79分!
(21:30スタートなのでお間違いなく!)

やはり60分では足りないので嬉しい限りだ。

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

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テントは、テロや犯罪行為を他から請け負うことで収益を得て、その金でバルカ国内の孤児たちを救っていたことが判明。そんな中、ベキ(役所広司)はノコル(二宮和也)に、ノコルが運営する会社で乃木(堺雅人)を働かせるようにと指示を出す。果たしてベキの真意は…。
ベキのもと、協力体制を敷くことになった“宿命の兄弟”!そして乃木が知ることとなる、父・ベキの過去と、テント誕生の秘密とは!?

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第9話のレビュー

乃木(堺雅人)は、なぜノゴーン・ベキ(役所広司)が、3年前からバルカ北西部の広大な土地を購入しているのかが、わからなかった。
しかし、その理由が純度99%のフローライトを採掘するためで、そこで得た莫大な利益を孤児や貧しい人に分配するためだと知ると、自分も一翼を担うことに。
(とはいえ、ここのくだりで黒須(松坂桃李)はいい迷惑。仲間にあんなことするなんて乃木が信じられない!)

乃木は、土地購入に必要な3000万ドル(日本円で42億)のうち、1000万ドルを「別班の機密情報」を使って集めることに成功。
誰の血を流させることなく、1000万ドル以上のおよそ、1400万ドルを手に入れた。

その瞬間、
「あなたは7回撃たれた狼だ」
と男性の声がつぶやかれた。
この言葉は、「何度も苦境を乗り越えてきた人は、その経験を生かし、その後も困難を克服できる」というトルコのことわざらしい。
この声の主が誰で誰に対して言った言葉かはわからないが、きっとバトラカ(林泰文)がベキに対して言った言葉だろう。
死の縁から今に至るまで、何度も這い上がってきたベキに対して称賛のようにも取れる。

「料理が得意だったら、ベキに何か日本料理を作って差し上げたらいかがですか?」と、乃木に提案したのもこのバトラカだ。
もち米によく似たお米と、小豆のような豆を用意したのはバトラカではないだろうか。
何度もうなずきながらおいしそうに食べるベキに「喜びも格別でしょう」と、バトラカも嬉しそう。
バトラカにとってベキはリーダーであり、兄のような存在だと想像がつく。

第9話では現在のベキ、役所広司がストーリーテラーとなって、乃木の母、明美(高梨臨)との生活のことや、ノコル(二宮和也)やバトラカ、ピヨ(吉原光夫)、アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)との出会いを語っていく。

若きベキを演じるのは、林遣都。
母役の高梨臨と共に愛溢れる夫婦を好演している。
そして、その夫婦の間に生まれた乃木は、間違いなく3歳までは幸せだったことがよくわかる。
しかし、武装組織や日本の公安の指揮官の裏切りで坂道を転げ落ちるようにそれぞれ不幸になってしまった。

明美の無念の死は残念だったが、ベキは生まれ持ったリーダー気質と情け深い性格からどん底から仲間を増やし、今に至ったこともわかった。
こんなにも頭が良く、情に厚い人間を裏切った公安は無能と言える。
あの時、この家族を救ってあげていれば、大袈裟かもしれないが世界は変わっていたかもしれない。

公安と言えば、第9話は野崎(阿部寛)の出演が一切なかった。
前半は“野崎”劇場のようだった同ドラマも、少しずつ“ベキ”劇場へと移行していった。
野崎が最終回にどのくらい出演するかも楽しみだ。

乃木の話により、ジャミーンの無事がわかると初めて笑顔を見せたノコル。
しかし、ノコルは明らかに乃木に対して敵意をむき出しにしている。

・父がテントの収支報告書を乃木に見せるほど信頼していること。
・父に赤飯を振る舞い、心の底から「美味しい」と言わせたこと。
・たった数日で、テントに1400万ドルもの利益を生み出したこと。

ノコルは乃木に感謝の意を込めて一度ワインを注いでいるが、兄の行動、すべてが気に入らなさそう。
フローライトの情報が政府に漏れたことは、兄に罪をなすりつけるためにノコルが情報を提供していたとしたら……。
ノコルの父への愛は計り知れないので、無きにしも非ずと思えてしまう。

次週でまさかの最終回。
このまま親子の溝が埋まり、乃木はテントの一員として世界中の孤児や貧しい人のためにその頭脳を使い、親子仲良く世界平和に貢献。そして、こっそり薫(二階堂ふみ)やジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)を呼び寄せ、みんなで幸せに暮らしましたとさ、ではいけないだろうか。

フローライトの存在が政府に知れてしまったことや、日本のモニターから送られてきた映像から、乃木が殺したはずの別班員の生存が確認されたことなど、乃木は窮地に立たされているが、“7回撃たれた狼”のごとく、この難局を乗り越えると信じたい。 

一大旋風を巻き起こしたドラマ、「半沢直樹」シリーズの福澤克雄が生み出した「VIVANT」。

この大きな渦のようなドラマがどのようにしてまとまるのか、1週間後が待ち遠しい。

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{最終話ストーリー&レビュー}–

最終話ストーリー&レビュー

最終話のストーリー

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「私は、別班の任務としてここに来ました」

乃木(堺雅人)が別班を裏切っていなかったことが判明。そして、撃たれた別班員たちは急所を外されていて、日本で生きていた。
事実を知って激昂するノコル(二宮和也)と、乃木の言葉に刀を抜くベキ(役所広司)。

過酷な運命を乗り越えた親子。40年の時を超えた宿命の物語の結末は―

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第10話のレビュー

敵か味方か、味方か敵か――。
意味深なキャッチフレーズではじまったドラマ「VIVANT」。

第1話を観た直後の感想は、「初回のスケールのまま最終回まで突っ走るのは無理だとは思うが…」だった。
しかし、息をのむストーリー展開、次々に登場する出演者たちの怪演に魅せられ、最後の最後まで楽しませてもらうことができた。

最終回を終えた今、「VIVANTロス」というよりも、「考察癖」が抜けない自分がいる。
視聴者と同様にいくつかの「なぜ?」は残っているが、これも製作者からの「置き土産」だと受け取り、しばらくは家族や仲間内で“答えのない考察”を楽しみたいと思う。

最初は主人公の乃木憂助(堺雅人)が勤める丸菱商事の誤送金からはじまった問題が、公安と別班、そしてテントという3つの組織の攻防戦を経て、最後は国と国の大きな問題へと発展。
物語の背景もさることながら、乃木という人物の変わりようと、彼を支えると登場人物たちの貫禄がこのドラマの魅力だった。

たとえばテントのリーダー、ノゴーン・ベキを演じた、役所広司。
最初は、極悪非道な人物に映っていたが、次第に愛情あふれる慈悲深い人間なんだということが視聴者の心にすっと入っていく。
カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞したことが記憶に新しいので、その演技に注目していたが、筆者のような素人目にも「すごさ」が画面越しに伝わってきた。

次にこのドラマに欠かせない存在だったのが、阿部寛が演じた野崎だ。
野崎がいなくてはこのドラマは成立しなかったのではないだろうか。
彼の行動力、勘の鋭さ、周りを動かすカリスマ性があったから、乃木が頭の中で描いていた通りに展開していった。
この2人はこの先、立場上、友情関係になれるかどうかはわからないが、お互いにとって”特別な存在”になったことは確かだ。

最終回を見返すと、「すぐ日本に向かいます」と電話で野崎に伝えたところで2人の会話劇は終わっている。欲を言えば、この2人の最後のシーンをもう少し見せてほしかった。

ドラマが中盤に差し掛かると、「裏切者は誰だ?」という考察合戦が繰り広げられたのも、このドラマの特徴だ。
とくに素性がよくわからないドラム(富栄ドラム)が怪しいと思ったが、彼の公式グッズやLINEスタンプが発売されたあたりから裏切者ではないことを確信。(最後に裏切るような者のグッズなど販売しないだろうから)
最終回直前は、TBSが「ドラム祭り」を展開し、富栄が連日、愛くるしいキャラクターを懸命に演じてくれたことが印象に残っている。

主人公に“F”という別人格がいるという設定が最初からあったことも斬新だった。
このFと乃木が会話をすることで、自然と視聴者に説明をしているようなシーンが何度かあった。
同時に、主人公だけど「この人も怪しくない?」という不信感を観る側に与え、惑わすことにも成功しているように思う。
要するにFという存在はこのドラマにはとても好都合な存在で、最後の最後にも薫(二階堂ふみ)と抱き合っているところに登場し…
「おいおいおい、いいところ悪いけどよぉ、憂助!そろそろ見たほうがいいんじゃないの?置いてあるぞ!」
と、ストーリーテラーの役割をきっちり務めていた。

また、他国に比べるとそこまで馴染みのある国ではなかったモンゴルがずいぶん近い存在になり、その魅力も大いに感じることができた。

初回では憎たらしくてたまらなかった、バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)が孤児院出身という設定には無理矢理感が否めなかったが、最後にベキに土下座をしているシーンは胸アツで涙が出たし、広大な土地をベキとノコル(二宮和也)が馬で走るシーンや、砂嵐の中をラクダに揺られながら渡るシーンなどはやはり日本では撮影できないと思う。
モンゴルでのロケ、モンゴル人の役者とモンゴル語が飛び交うという異例の“モンゴルづくし”も私たち日本人の度肝を抜いたように思う。
要するにモンゴルという国の“スケール”もこのドラマの一翼を担っていたと言い切れる。

最終回を観終わって数時間が過ぎたが、なぜ乃木は黒須(松坂桃李)に刀を渡したのか? 丸菱商事は大損したままで終わりなのか? 薫と乃木はどうなる? など、考えればきりがない疑問はある。
しかし、最大の謎、「ベキは生きているのか?」という疑問の答えだけは、番組のタイトル「VIVANT」(フランス語で「生きている」)がすべて意味していると都合よく考え、おとなしく続編を待ちたいと思う。

あっという間の3か月間。
少し大げさかもしれないが、ドラマの存在があったから1週間を乗り切れた日もあった。
異次元の体験をさせてくれたドラマ「VIVANT」のキャスト・スタッフの方々に感謝と「お疲れ様でした」という言葉を心から贈りたい。

※この記事は「VIVANT」の各話を1つにまとめたものです。

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–{「VIVANT」作品情報}–

「VIVANT」作品情報

放送日時
2023年7月16日(日)スタート 。
毎週日曜21:00~21:54 ※初回は108分スペシャル

出演
堺雅人/阿部寛/二階堂ふみ/竜星涼/迫田孝也/飯沼愛/山中崇/河内大和/馬場徹/Barslkhagva Batbold/Tsaschikher Khatanzorig/Nandin-Erdene Khongorzul/渡辺邦斗/古屋呂敏/内野謙太/富栄ドラム/林原めぐみ/櫻井海音/Martin Starr/Erkhembayar Ganbold/真凛/水谷果穂/井上順/林遣都/高梨臨/林泰文/吉原光夫/内村遥/井上肇/市川猿弥/市川笑三郎/平山祐介/珠城りょう/西山潤/檀れい/濱田岳/坂東彌十郎/橋本さとし/小日向文世/キムラ緑子/松坂桃李/役所広司

プロデューサー
飯田和孝

大形美佑葵
橋爪佳織

原作・演出
福澤克雄

演出
宮崎陽平
加藤亜季子

脚本
八津弘幸
李正美
宮本勇人
山本奈奈

音楽
千住明

制作著作
TBS

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