<虎に翼 最終章編 >23週~最終週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第118回のレビュー
冒頭は、女性法曹の会の集まり(@竹笹)で、最高裁人事局で出た発言を共有します。女性は裁判官に向いていないというもので、中山(安藤輪子)やよね(土居志央梨)が怒りを爆発させます。
まず、中山が泣き出し、よねが「先輩、早いです」とたしなめますが、次は「よねさんも早い」と寅子がたしなめます。結局、理由その4は中山が泣き叫んでかき消されてしまいました。
梅子(平岩紙)が、時代が進んでも何も変わっていないと悔しそう。
でも中山は検事で、よねは弁護士。女性が向いてないのは、裁判官という話題で、憤慨すべきは寅子なのに、ふたりが逸っています。法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)に女性が向いていない、ではないけれど、彼女たちにとっては同じことなのでしょう。
この場面で印象的だったのは、寅子が老眼鏡をかけて記録を読むことです。ざあますメガネ的なものがお似合いでした。そして梅子は、117回あたりからかなりお年寄りの所作になっています。平岩紙さんも老いの演技をちゃんとやっているグループです(老いの演技をするグループ、余貴美子、滝藤賢一など)
中立であるべき法曹界で女性差別がまかり通るように、意外と中立ではなく、安全保障に関する集会は有罪で、別件の教員の集会は無罪となったりと、同じ公務員なのにこの差はなんだと朋一(井上祐貴)が家で憤慨しています。それを聞いた寅子は、人間は変化を過剰におそれるもので、例えば男女平等が進んだかと思えばぶり返しがくる(先述の女性裁判官批判のような)もので、「なかなか変わらなくても声をあげていくことに意義がある」と諭します。
それから、政民党が、最高裁の判決に偏りがあるとして人事に介入してきます。それを桂場(松山ケンイチ)があくまで司法の独立を厳守すると反論します。
謝罪に来たのは政民党幹事長秘書・反町(川島潤哉)。彼は原爆裁判のときは国側の代表でした。国家という大きなものは具体的に出てきませんが、淡々と粛々と実務をこなしている反町を通して、何かを感じさせるようになっています。
反町の話を無視して桂場は、椅子のカバーを音を立てて整えます。この食えない感じがいい。
この回、出来事が渋滞で、総集編かと思うように、ナレーションで出来事が進んでいくので、松山さんのような芝居が入ると、アクセントになります。
桂場は共亜事件のときも、国家側に流されなかったためしばらく左遷のようになっていました。その悔しさもあって頑ななのかもしれません。1回酷い目に遭っているのに、己を曲げないところは実に立派です。
学生運動の学生たちは法廷で血気盛ん。法曹界が荒れています。
学生運動に参加した、香淑(ハ・ヨンス)の娘・薫(池田朱那)は釈放され、香淑は弁護する問題はあっさり終了。なんやねん。
よねは、女性に向いていないと言われる性犯罪の事件を担当しています。尊属殺に問われている美位子(石橋菜津美)は一審で情状酌量となります。が、きっと控訴されるとよねは覚悟を決めています。そうすると弁護料がさらにかかってしまいますが、美位子は母に頼らず自分でなんとかしようとしています。
このように裁判の問題がたくさんあるなか、のどか(尾碕真花)の結婚問題も勃発して、こういうときの航一(岡田将生)はおろおろと人間臭い。
※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。
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