「珈琲いかがでしょう」全8話の感想|1杯の珈琲が幸せのバトンを渡し続ける
第6話あらすじ&感想
第6話あらすじ
「たこ珈琲」
垣根志麻(夏帆)が淹れた珈琲を味わいながら、青山一(中村倫也)は珈琲の道に進むきっかけとなった、ホームレスのたこ(光石研)との出会い、そして青山が珈琲を淹れながら各地を巡っている本当の理由を打ち明ける。
たこの淹れた珈琲に魅了され弟子入りを懇願した若き青山。その申し出を受け入れたたこは、ただ単純に「珈琲を美味しく淹れる」だけではない、青山自身に足りていない何かを気づかせるための修行を始めるのであった。今まで自分が過ごしてきたヤクザな世界とは真反対な、穏やかな日常を過ごしたり、ちょっとしたシアワセに気づくような日々を送る青山。珈琲の腕前が上達していくのと比例するかのように、青山の中でも小さな変化が起き始めていた…。
とある雨の日、青山がいつものようにたこの家にいくと、そこには寝込んでいるたこの姿が。たこの淹れた珈琲を飲む青山は「いつか俺も誰かに美味しい珈琲を淹れることができるんだろうか」と問いかける。するとたこは青山に一番必要で大事なものが何なのかを語り始めるのだが…。
垣根を家まで送り、ぺい(磯村勇斗)から託されたメモを手掛かりに、本当の目的を果たすべく車を走らせる青山。最終地点に辿り着いたと思ったその時...。
第6話感想:青山と珈琲の出会いは幸せの始まりだったのか
青山の師匠であるたことの関係が丁寧に描かれた今回。
たこの珈琲を「深くて黒くて心地よい落とし穴」と言い、そんな珈琲を淹れられるようになりたいと願う青山の気持ちをたこは受け入れる。
「深く黒くて心地よい落とし穴」。これはいわゆる「沼」というものではないだろうか。この一言によって、青山がとうして珈琲に傾倒していったのか、理解度があがった人も多いはず。
人生で一番勉強した、という青山はなんとも楽しそうで切なくなる。先週から一変して表情に“人間らしさ”が戻ってくる。
たこが青山に教えたのは、これまでの青山に足りなかったことだ。
どういったときに幸せを感じるのか。
何を食べたか問われて青山は「牛丼とか、ラーメンとか」と曖昧に答える。青山にとって食事は空腹を満たすものでしかなく、何を食べていようがどうでもよかったのだ。
そんな青山に向かって「毎日何を食べているのか気にしてみろ。ただ食べて空腹を満たすだけではなく、舌を鍛えろ」と語り掛ける。
たこ師匠に金言が多いのは分かるけど、それ以上に青山がどれだけ空虚な時間を過ごしてきたのかが分かって辛い。
自分が淹れた珈琲を褒められて嬉しそうにしているのも、知れば知るほど奥が深い、と知ってしまうのも、青山にとってはささやかな幸せに感じられたのではないだろうか。
そうなってくると、仕事のほうがままならなくなる。
「頭空っぽにして無心にならないとできない仕事」という青山たちの仕事は「迷い始めたら終わり」。仕事が「中途半端」になってしまい、それを上層部に見とがめられることに。
青山が珈琲を淹れているときとは違う作品ではないかと思うほど、今回は画面も暗く、重い空気が漂う。夜と雨。
移動珈琲店だから当然、昼間と晴れのシーンが多かっただけにその差に心が重くなる。
「自分を大切にできないと他人を大切にできない」とたこ師匠に言われた青山。きっと、今は自分を大切にできているんだろう。だからこそ、ぺいを刺すことができなかった。
逆にぺいはずっと青山を大切に思っていたんだろうな。少しベクトルは違うのかしれないけれど。青山が珈琲に熱中している間、ぺいは飴玉を口の中に放り込んでいて「あ~~~~!!」となる。
空虚だった青山を満たしたのは珈琲だったけど、ぺいを少なからず満たしていたのは青山だったのかと思うとやるせない。
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