<ナイト・ドクター>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
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朝倉美月(波瑠)は高岡幸保(岡崎紗絵)から合コンに誘われるが興味ないと断る。一方、成瀬暁人(田中圭)は医大の後輩で脳外科医の里中悟(古舘佑太郎)と病院内で出会い、ナイト・ドクターとして勤務していることに驚かれた。
幸保は益田舞子 (野呂佳代)と合コンへ。幸保が相手の赤松直人(佐伯大地)たちに自分たちの人数の少なさを謝っていると美月が現れる。美月はめげる事があって参加したのだ。だが、幸保が医師は敬遠されると赤松たちに看護師だと伝えていたことを知らない美月は、ナイト・ドクターだと言ってしまった。すると男性たち全員が看護師の舞子に注目。美月は幸保と揉めてしまう。
その夜、病院をたらい回しにされた患者が運び込まれた。患者を受け渡す救命士の星崎比呂(泉澤祐希)はホッとした様子。美月は患者の顔を見て理由を悟る。その患者は、かつて美月が救助したホームレス(神尾佑)だった。その場に居合わせた深澤新(岸優太)も気づく。美月は帰ろうとする星崎を呼び止め、かつて処置した時の記録が残っていたら身元確認になるかもしれないので調べて欲しいと頼む。
次に搬送されたのは風見まどか(藤嶋花音)。付き添いの父、信行(林泰文)にまどかの緊急手術を幸保が拒否されたことを桜庭瞬(北村匠海)が美月たちに報告。信行は夜間勤務の医師たちを信用していないようだ。本郷亭(沢村一樹)はそれがナイト・ドクターの現実だと美月たちに突きつける。そんな時、昼間の合コン相手の赤松が原因不明の発熱で外来にやって来た。
第7話のレビュー
合コンに出かけた美月たち。「医師であることがバレるとモテない」と考えていた高岡の思惑も虚しく、無邪気に自分たちの肩書きを明かしてしまった美月。案の定、男性たちの注目は看護師である益田に集まってしまった。
「やっぱり人は、肩書きや見てくれで相手をふるいにかける」と持論を強化した高岡。男性の医師はモテるが、女性の医師はモテない(結婚できない)レッテルを貼られるといった彼女の意見は、おおむね世間の見解とも一致するだろう。「女医」と聞くと忙しそうだし頭も良さそうだし、何なら稼いでもいそうだ。できることなら避けたい男性の方が多いイメージはある。
その後、次々と「人は肩書きや見てくれで相手をふるいにかける」と思わざるを得なくなる事案が発生する。10代の娘が強い腹痛を訴えているとして、父親とともに搬送されてきた。すぐに手術をしないと危険な状態だと父親に伝える高岡に、彼は無常にも「日勤の医師が来るまで手術は待ってほしい」と譲らない。
「夜勤の医師は、若い人や女性が多い。できれば力の確かな日勤の先生に手術してほしい」といった要望だ。それを聞いた高岡は脱力する。日勤も夜勤もやることは変わらないし、力の差だってあるわけがないにも関わらず、貼られてしまったレッテルを剥がすのには骨が折れる。
続けて、以前、美月が処置をしたことのあるホームレスの男性が再び搬送されてきた(第一話に登場)。今回も何とか一命を取り留めるも「せっかく死ねるところだったのに」と本人はつれない。治療費を払える目処も立たないゆえに、日勤の医師からは「目を覚ましたなら早く退院させろ」とまで言われてしまう。しっかり名前があるのに、彼はいつまでも「ホームレス」呼びのままだ。
人は、望んで現在の立場に在る場合と同様に、望まぬまま仕方なく今の環境を受け入れている場合もある。夜勤の医師だからって、公務員だからって、保育士だからって、ホームレスだからって、何がどう左右されるのだろうか。肩書きや見てくれが、どれだけ本人を形作る材料になるのだろうか。
女医のロールモデルになりたいと理想を掲げる高岡は、女性の医師でもパートナーを持ち、自分の望むように働けることを示したいと夢見る。だからこそ、安易に「女医だからこうだ」と決めつけられるのを嫌うのだろう。一時は「理想ばかり掲げていても何にもならない、私たちがこんな小さな病院でいくら頑張ったとしても状況は変わらない」と投げやりになってしまうが、見かねた本郷が言葉をかけた。
「自分が変わらなければ、周りも変わらないぞ」
本郷も美月も、ついつい正論を言いがちだと筆者は感じる。それが時には綺麗事にも聞こえるし、偽善だと受け取られても仕方ないのかもしれない。
それでも、自分を含め周りを変えていくのに、綺麗事や理想論は不可欠だとも思う。
変化には時間がかかるものだ。途方もないくらいに、気が遠くなりそうなほどの時間がかかるものなのだ。叶いそうもないくらいの「理想」であればあるほど、到達までの道のりが長く長く感じられるーーそれを乗り越える気力と体力のある先人たちが、これまでも数えきれないほどの「理想」を実現させてきた。
周りを変えるには、まず、自分から。
どれだけ綺麗事や理想論と受け取られようとも、何度だってここから始めないといけないのかもしれない。少なくとも、ナイトドクターという働き方を選んだ彼らは、それを覚悟してここにいる。
※この記事は「ナイト・ドクター」の各話を1つにまとめたものです。
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