<お耳に合いましたら。>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
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チェンメシ愛を語るポッドキャスト配信を始めた高村美園(伊藤万理華)。前回の配信では彼への気持ちと向き合った美園。翌朝、寝ぼけながらSNSで自分の配信を検索すると、たくさんの好評なコメントが寄せられていた。恥ずかしながらも嬉しくてエゴサが止まらない美園だったが、その中で不評なコメントを見つけ落ち込んでしまう。そこで亜里沙(井桁弘恵)は「ネガティブなコメントはミュートすればいい」とアドバイスするが…
第5話のレビュー
主演映画『サマーフィルムにのって』も大好評の伊藤万理華の魅力がたっぷり堪能できるドラマ「お耳に合いましたら。」。チェーン店グルメ、通称「チェンメシ」が大好きなOLが、新しく始めたポッドキャストで「好き」を伝えるストーリー。第5話はSNS社会につきものの「エゴサーチ」がテーマ。
前回の失恋した話をしながらチェンメシを食べるポッドキャストが大反響を呼んだ結果、エゴサにハマってしまう高村美園(伊藤)。褒めてくれるコメントを見ればテンションが上がるが、ネガティブなコメントを見ると気分が下がる。これ、ものすごくよくわかる。何かクリエィティブなことをしている人なら、みんなそうだと思う。
「もう、これ沼だ。意識すればするほど」
そんな折、美園の会社で新製品のらっきょうの消費者グループインタビューが行われる。集まった人たちの意見をマジックミラー越しに美園ら会社側の人間が見るというものだが、出てくる意見はだんだん支離滅裂なものに。それにいちいち応えようとしてパニックになる開発担当者(今井悠貴)。ラッキョウの冷蔵期間が短すぎるという声には「宇宙食の技術を取り入れれば何とか!」。今井悠貴はまだ22歳なのに、芸歴18年だけあって芝居がすごくベテランっぽい。
その後、忘れ物を取りに来て美園と鉢合わせた老婦人がこんなことを言う。
「なんかごめんなさいね〜。顔が見えないからって好き勝手なことばっかり言っちゃってねぇ。ほかの人がいると、ついついつられちゃうのよ。誤解しないでね」
つまり、マジックミラー越しに発せられる無責任な意見=匿名で好き勝手につぶやかれるコメントということ。なるほど、上手い!
「つまり、さっきまでここにいた人の意見は、全部が全部本心からの意見じゃない。この顔が見えない、フェアじゃないシステムに言わされてるんですよ!」という美園の指摘も非常に鋭い。
今回登場するチェンメシは回転寿司チェーンの「くら寿司」なのだが、ここではレーンに流れてくる寿司が、タイムラインに流れてくるコメントに例えられていた。これも上手い!
「顔が見えない相手に想いを伝えるとき、人ってたぶん、過剰に、乱暴に、雑になるみたいなんです。だったら、意見をもらうこっちから、優しく受け止めればいいじゃないですか」と語る美園がたどりついた結論は「意見のサビ抜き」。顔が見えない相手の雑なコメントを好意的に読み替えて受け取ろうというわけ。
「結局、何言いたいか謎…」という意見をサビ抜きすると「何を言い出すかわからないから気になる」に。ポジティブ! 「いや、食べ終わってから喋ろう(笑)」という嘲笑は「落ち着いて食べてね」に。優しい〜。「シンプルにつまらない」……はスルーして自分の体をあたためる。店員に扮して登場したレジェンドパーソナリティは生島ヒロシ。ちっとも偉そうなことを言ったりしないのが面白い。
「こんな風に流れてるコメントもお寿司と一緒! 流れてくるのが多ければ多いほど、きっとみんな楽しいはず! 私はそう信じてます」
エゴサーチと無責任なディスコメントの本質を描きつつ、その受け取り方まで提案してくれて、さらに「くら寿司」の魅力まで伝えてくれる、アクロバティックな脚本が見事に決まった傑作回だった。
※この記事は「お耳に合いましたら」の各話を1つにまとめたものです。
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